【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.36 飛ばしも距離調節も“手先”に頼ってはダメ
競技ゴルファータニシゲwith青木翔
元プロ野球選手の谷繁元信が「ベンちゃん」こと和田一浩と対決しながらさらなるスキルアップを目指すシーズン3。対決1ホール目は両者ボギーで、舞台は次のパー4へ。すると、「何でも吸収したい」と意欲満々の“スポンジベンちゃん”に進化した和田が、青木翔にさらなる質問をぶつける。
PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/カレドニアンGC

青木翔 1983年福岡県生まれ。2019年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年、「レッスン・オブ・ザ・イヤー」受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長
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- 元プロ野球選手の谷繁元信が青木翔とタッグを組み、日々、研鑽を積む本連載。シーズン3では、中日ドラゴンズ時代の盟友、“ベンちゃん”こと和田一浩が登場。「真剣勝負」のはずだったが、こちらも上達に貪欲な和田が青木翔を質問攻めにする展開に……。 PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/カレドニアンGC 谷繁元信 1970年広島県生まれ。1988年のドラフト1位で横……
飛ばしも距離調節も
手先に頼らない
青木 377ヤードのパー4。右には大きな池があります。
和田 ここで青木さんにレッスンのお願い! 対決に入る前に教えてほしいんです。僕の悩みはドライバーが安定しないこと。特に「右だけはダメ」という場面が大の苦手。このホール、右ペラしたら終わりですよね。
谷繁 さっき「左だけはダメ」の場面用に、引っかけ防止の吊り打ちを習ったばかりなのに、また習うの?
和田 谷繁さんはこれまでずっと習ってきたんですから、ちょっとぐらいいいじゃないですか?
青木 そんなことを言いながら、打ってもらったらめちゃめちゃいい球が出て、300ヤード弱飛んじゃった。そういうの、困るんですよ(笑)。
谷繁 ベンちゃん、そういうとこあるから(笑)。
青木 ただ、今のショットも練習場で見ていたときもですが、スタンスを取る際、ボールからやや離れすぎて立っていると思います。お腹の前に必要以上に隙間ができている状態です。すると、スウィングの時に手を入れやすくなっちゃうんです。
和田 手を入れやすい状態?
青木 打ちながら「ああ、右に行きたくないなあ」などと思うと、とっさに手で操作してしまい、左にバキューンと行ってしまったり。器用だし、スペースがあるから手先の操作ができちゃうんです。
和田 そうなんですー。
青木 ですから、さっきのスタンスの位置から両足を半歩ボール方向に近づける。そして、前傾したまま右手をクラブから離してブラーンと下ろす。そのまま左に移動させてグリップを握ってください。アドレスはそれでOK。
和田 そのアドレスで打ったらヒールに当たったけど、それでいいんですよね。ボールに半歩近づいたんだから。
青木 あとは慣れですね。
谷繁 俺も同じようなことを青木さんに注意されたな。どうしても手先で調整しようとしてしまう。ヘンに器用なもんだから。でも、それじゃあ再現性が下がるよね。
和田 そう、目標は安定させること、なので。
青木 で、実際に勝負に入ったところ、谷繁さんのティーショットは完璧。和田さんは、最初のホールのティーショットより曲がり幅が小さめでした。
和田 アドレス効果ですね。
谷繁 ティーショットは完璧だったんですが、飛びすぎちゃって左のフェアウェイバンカー。バンカーの低いあごに左足がかかるもんだから、アドレスをどうしようか迷いながら打ったらトップしてあごに少し当たっちゃった。アドレスで左足をあごの上に上げて打つ手もあったけど、その場合、フルショットができないからクラブを短く持つか……。
和田 クラブを替える選択もあったわけですね。
谷繁 ほんの短い時間だったけど、実はどの引き出しを開けるか、大変な選択を迫られている一瞬でもあったんだね。
青木 だから、上級者の方ほどプライベートのラウンドではチャレンジしてほしい。自分のミスの幅を知ってほしいんです。
和田 僕はフェアウェイ右めから、青木さんのアドバイス「緩めないで」を守って、ナイスオンでした。
青木 さっきのティーショットのときも言いましたが、距離を抑えたいと思ったときも同じで手先で調整しちゃダメなんです。手先を緩めて距離感を作るのではなく、スタンス幅を狭めたり、ボールに近づくなど、アドレスで作るのがいい。
谷繁 俺も同じだけど、再現性に差が出るよね。手先に頼るのはやめよう。
青木 “小手先”って言葉もありますしね。
谷繁 そんな話をしていたら、俺の球はカレドニアン名物の渚バンカーにはまっていた。
青木 バンカーからバンカーになっちゃいました。でも、リカバリーは悪くなくて、2パットでボギー。
和田 谷繁さんがバンカーショットについて悩んでいる間に、僕はパーで上がらせてもらいました!
青木 先ほどのホールは両者ボギーだったので、このホールで和田さんが1打リードとなりました。
谷繁 敗因は2打目のバンカーショットだったと思う。バンカーに入ること自体は想定内だったけど、ライが複雑で、思いのほか経験値=引き出しを求められるシチュエーションでした。
青木 でもこれでまた谷繁さんの引き出しが増えたじゃないですか。次、行きましょう!

バンカーtoバンカー、コースの罠にはまった谷繁。2打目のアドレス時、左足の位置を迷ったまま打ってしまった
週刊ゴルフダイジェスト2025年10月28日号より
CS放送のGAORAでは「谷繁元信×青木翔の勝つゴルフノート」がオンエア中


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