地面反力で飛距離アップ!<後編>“踏み込み”と“抜重“で反力を回転力に転換
週刊ゴルフダイジェスト
クォン教授のスウィング解析によって飛距離アップの課題が明らかになった杉山美帆。後編では、クォン教授の理論に詳しい吉田洋一郎プロに、具体的な体の使い方や練習法を教えてもらった。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Tsukasa Kobayashi THANKS/南が丘ゴルフガーデン


解説/吉田洋一郎
よしだ・ひろいちろう。1978年生まれ。多くの海外コーチのもとを訪れ直接指導を受けるなどスウィング研究に情熱を燃やす。クォン教授とも親しく、2019年には教授とともに「反力打法」でレッスン・オブ・ザ・イヤーを受賞

杉山美帆
すぎやま・みほ。ドラコンプロとして活躍し、2019年ドラコン日本選手権で優勝。最長飛距離は325Y。TPI公認トレーナー資格を取得し、現在はアマチュアへのレッスンも行っている
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- バイオメカニクスの世界的権威・クォン教授がドラコンプロ・杉山美帆のスウィングを分析。飛距離をさらにアップするための効率的な体の動かし方が見えてきた。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/ネクストベース・アスリートラボ 杉山美帆 ドラコンプロとして活躍し、2019年ドラコン日本選手権で優勝。……
右足を踏んだ反力で
バックスウィングする
ここからはクォン教授の理論に詳しい吉田洋一郎プロの指導で、クォン教授の指摘を実際のスウィングに反映させていく。
クォン教授は「バックスウィングはもっと足を使ってスピーディに」と指摘していた。吉田プロによると、杉山プロは腰を横方向に回転させる動きが強すぎるため、もっと骨盤を斜め上に切り上げるように動かすことがポイントだという。
「始動の際に右足で地面を押し、その地面反力で骨盤を切り上げれば、体が一気に回ります。この動きができれば手でなぞる動きが消え、手首の動きも自然とよくなるはずです」(吉田)
「私はつま先側を踏む感じがあったのですが、もっとかかと側に乗って、その反動でバックスウィングすればいいんですね。これなら手の意識は消えて、一気に上げられます。丁寧に上げるよりも軌道がよくなるのは不思議ですね」(杉山)
骨盤を斜め上に切り上げることが大事

つま先体重になりすぎていた
杉山プロはややつま先体重で右足を踏ん張り、腰を横方向に回す傾向が強かった。これを補うために手で軌道をなぞるようにゆっくりバックスウィングしていたことがさまざまな問題の元凶だった


バックスウィングが速くなるとコックも自然に入る
フラットな始動を手の動きと肩の回転で相殺するように上げていたせいで、手首が使えずシャフトクロスになっていたが、骨盤を斜めにスピーディに動かすことで、軌道もよくなり手首も自然と動くようになった
踏み込むよりも
「抜重」が重要
クォン教授の解析によれば、杉山プロはダウンスウィングでの地面反力は非常に大きいという。しかし問題は、その反力をスウィングスピードに生かすことができていない点だった。
「杉山プロは男子プロ並みの踏み込みで強い地面反力を生んでいるのですが、そのエネルギーを上に逃がしつつ回転に転換するための“抜重”が遅く、いわば左サイドが詰まり気味だったんです。踏み込むのは切り返しの一瞬だけ。その後は左足をステップアウトするように解放することが重要です」(吉田)
インパクトでは左のつま先が外を向いてしまってOK。「踏ん張らない」ことが大事だ。
「海外のドラコン選手はみんなこうなってます! 私はどうしてもつま先側を踏んでしまうのですが、左かかとでポンと地面を蹴るような感じでいいんですね。これができると自然とクラブも走って、リリースもスムーズになります。球も上がるし、つかまりもよくなって、確実に飛ぶようになってます! いままでのスウィングの意識とガラッと変わりましたが、これならまだまだ飛距離も伸びそうなので、練習します!」(杉山)


リリースも自然と起こります!
バックスウィングでのコッキングがよくなったことに加え、抜重によってクラブが放り出されていくので、リリースも自然と生じる。フォローの引きずるような悪い動きも勝手に解消された
地面反力活用ドリル
杉山プロが指摘された「バックスウィングを速く」「一気に抜重」はアマチュアにとっても重要なポイント。これらが身につく練習方法を吉田プロに紹介してもらったので、普段の練習に取り入れて飛距離アップを目指そう!
Drill 1
クラブを短く持って“タテ振り”

右かかとを踏んで始動
バックスウィングで地面反力を使うために、右かかとを浮かせた構えからかかとをポンと踏み、その反力で右ひざを伸ばしながら骨盤を切り上げ、一気にバックスウィングしよう

Drill 2
左足ステップアウト打ち

週刊ゴルフダイジェスト2025年10月14日号より


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