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ショートゲームシェフ直伝! アプローチ講座<後編>ミート率を「下げれば」フワッとした球が出る!

昨年11月、有名ショートゲームコーチのパーカー・マクラクリン氏が初来日し、日本のコーチ向けセミナーを開催した。セミナーに参加した兼濱開人プロが世界最先端とも言えるアプローチ技術をやさしく解説する。

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Yasuo Masuda、Hiroaki Arihara THANKS/上総モナークCC、学芸大ゴルフスタジオ

解説/兼濱開人

かねはま・かいと。90年生まれ、沖縄県出身。プロコーチ・森守洋氏の一番弟子で、プロからアマチュア、ジュニアまで幅広い層を指導する。「学芸大ゴルフスタジオ」ヘッドコーチ

>>前編はこちら

飛ばしたくないときは
ハンドアップ&フェースオープン

 「ベーシックピッチ」より、さらに初速を落としたい状況、たとえばカップまでの距離が近くて、しかも下りといったときには、まずフェースを開き、さらにボールに近づいてハンドアップにして構えます。そこからベーシックピッチと同様、手首は使わずに体の回転で打っていきます。

アドレスがパターに近いので、「ヒット」ではなく「ストローク」だと脳を“だます”効果があり、それも初速を落とす要素になります。パーカーさんは、グリーンエッジから5番アイアン、少し離れて7番アイアン、また少し離れて9番アイアンというふうに、番手を落としながら同じターゲットを狙うドリルがおすすめだと言っていました。

このドリルではグリーンに近いほど強く打ち過ぎるミスが出やすいですが、「ハンドアップ+フェースオープン」でパターみたいに打つと飛び過ぎません。アマチュアがアプローチで「カツーン」と強く打ち過ぎてしまうのは、普通のアイアンショットみたいに「しっかり当てよう」という意識があるからです。この打ち方は打感が頼りないので、最初は不安ですが、そのうち「飛び過ぎない安心感」から、逆にしっかりヘッドを振れるようになり、ザックリも減るはずです。

【第2の構え】ハンドアップ

基本の構えよりもボールに近づき、手元を上げて構える。フェースは必ず開く(基本の構えはスクエア~オープンを状況に応じて選択)。パターの構えと似たイメージ。クロスハンドでも可


コックを使わずシャローに振ると初速を落とせる

●初速が上がる要素:
手首のコック、左への重心移動、ハンドファーストインパクトetc
●初速が落ちる要素:
ノーコック、センター重心、シャフトが垂直なインパクトetc

スティープ(鋭角)スウィング

ボールを右足寄りに置き、積極的に左に踏み込んで入射角をスティープ(鋭角)にする打ち方。スピンロフト(インパクトロフトと入射角の差)が増大してスピンが増えるが、初速は速くなる

シャロースウィング

バウンス(ソール)を滑らせ、フェースの上に柔らかくボールを乗せて運ぶような打ち方。しっかり振ってもボールはゆっくり飛び出す(ミート率が低い)ので、カップが近くても安心

ラフに沈んでいるときは
ハンドダウン&スティープ

これまでの2つの構え(と打ち方)は、手首を使わずに体の回転で打つので、必然的に入射角がシャロー(緩やか)になります。しかしそれだと、ライによっては対応しきれない状況が、実際のラウンドでは出てきます。たとえば、深いラフにボールが沈んでいるようなとき。 

この場合は、これまでとは正反対に、テークバックで手首をしっかりコックし、左への体重移動も使ってなるべくスティープ(鋭角)にヘッドを入れていく必要があります。アドレスでは十分にフェースを開きますが、そのままだとボールが右に出てしまうので、ボールから離れて手元を下げ(ハンドダウン)、フェースの向き自体はスクエアでロフトだけが増えた状態を作ります。

ラフからボールを出すにはヘッドスピードが必要なので、最初に「飛ばない構え」を作っておくことはとても重要です(安心して速く振れる)。インパクトはソール全面ではなく、ヒール側のバウンスから入れる(エンゲージする)イメージを持ってください。ボールに当たってもすぐにヘッドを抜こうとするのではなく、ソールをずっと地面に押し当てるように手元を下げ続けることで、フワッとしたボールで安全に寄せることができます。

【第3の構え】ハンドダウン

フェースを開き、第1の構えよりボールから離れ、手元を下げて構える。フェースは開くと右を向くが、手元を下げるとスクエア方向に戻る(つま先上がりでフェースが左を向くのと同じ原理)

深いラフからは速く振らないと脱出できないが、単に速く振ると飛びすぎてしまう。ゆえに構えに工夫が必要となる

バンカーも同じ構えでOK

脱出するのにヘッドスピードが必要なのはバンカーも同じ。つまり、「第3の構え」はバンカーショットの際も有効ということ。思い切って速く振ることで、砂を弾く力がアップする

ヘッドの「高さ」を意識できたら上級者 

低く転がしたいときはボールを右足寄りに、高く上げたいときは左足寄りに置くのがセオリーですが、それだけでなく、ボールを右足寄りにした場合は、最下点より手前でヒットできるので、たとえば、密集したラフにボールが浮いているような状況に最適です。ティーアップしているのと同じなので、通常のボール位置だと下をくぐりやすいですが、右足寄りに置くとそれを防げるということです。また左足上がりでは、最下点付近にボールがあると当たってすぐにヘッドが斜面に刺さりやすいですが、左足寄りに置くことで抜けをよくすることができます。

ラフに浮いているとき=右足寄りに置く

ヘッドがボールの下をくぐってしまう「だるま落とし」に警戒が必要。回避するには、最下点の手前でインパクトを迎えられる右足つま先に 足寄りのボール位置がいい

ボールが右足寄りになるだけで入射角は勝手にスティープになるので、自分で上から打つ必要はない。最下点の位置にある仮想ボールを打つイメージ

左足上がり=左足寄りに置く

左足上がりでボールが右足寄り~真ん中だと、クリーンに当てやすいものの、その後すぐにヘッドが斜面に刺さってしまう。左足寄りにすると斜面に沿ってヘッドを振り抜きやすい

週刊ゴルフダイジェスト2025年7月8日号より