Myゴルフダイジェスト

会員登録
  • ホーム
  • レッスン
  • 「レベルブロー」を極めよう＜前編＞意識すべきはインパクトよりもテークバック

「レベルブロー」を極めよう＜前編＞意識すべきはインパクトよりもテークバック

週刊ゴルフダイジェスト
2025.05.25
KEYWORD インパクトレベルブロー再現性アップ辻村明志
お気に入り

ドライバーが曲がる、アイアンが飛ばない、ミスヒットが多い……ゴルファーのこうした悩みを解決するポイントが「レベルブロー」だと辻村明志コーチは言う。詳しく話を聞いていこう。

PHOTO／Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki　THANKS／鎌ヶ谷CC

解説／辻村明志

1975年、福岡県生まれ。日大ゴルフ部出身。上田桃子ら多くのプロを指導してきたツアープロコーチ。プロ転向後、アジアンツアーを転戦。プロコーチの第一人者・江連忠にレッスンの基礎を教わる。王貞治氏を育てた故・荒川博氏を師と仰ぎ、その指導法を学ぶ。2023年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞

>>後編はこちら

レベルブローなら飛んで曲がらない　

上田桃子を筆頭に多くのプロを育てた辻村明志コーチによると

「パットも含め、ショットはすべてインパクトに集約されます。ここさえ上手くいけば、イメージ通りの球が打てるからです」

では、球筋はどう決まるのか?

大まかに言えば、インパクト時のフェースの向きとヘッド軌道で決まります。アマチュアは引っかけやスライス、ダフリなど、芯に当たらないことが多く、どうしてもフェースの向きに意識がいきがちです。ボクの考えは逆で、フェースの向きよりヘッド軌道を重要視しています。軌道が整えば、ヘッドが暴れることはなく、フェース面を管理できるからです。というか、フェース面はずっとスクエアの感覚でよく、ヘッドをどう入れてどう抜いていくか、それだけなんです。そしてそこにレベルブローが関係してくるのです。

プロはインパクトをゾーンで考えます。点ではなく、線のイメージがあるわけですが、そこでヘッドがレベルに動く時間を作れれば、ボールを強く押すことが可能です。ボクが見ている（上田）桃子は、低く長いインパクト（レベルブロー）が上手いです。だから歳を重ねても飛ばせるんです。フェースは常にスクエアのまま、ヘッドを水平に動かせば、ボールは曲がりませんし、そこから強く押し込めます。これがインパクトを極めた証しなんです」

「プロはインパクトをゾーンで考えます。このゾーン、ボールの前後15センチくらいでヘッドが水平に動くのが理想です。実際には無理ですが、このレベルブローが作れるかでショットの精度は大きく変わります」

軌道が整えばフェース面も管理しやすい

「フェースの向きと軌道の関係はターゲットライン（狙う方向・下の棒）とクラブを振っていく方向（ヘッド軌道・上の棒）の間にフェース面が向いていることが基本です。フェースの向きよりヘッド軌道を整えることが先決。軌道がブレなければフェース面も管理できます」

丸い円弧の中で水平を作るには回転が必要

「クラブは上から下へ振るのでV字の動きになりやすいです。これでは水平の時間は作れません。軌道はあくまで円ですが、イメージはV字からU字へ。そうすることでレベルブローが作り出せます。そのカギが体の回転にあります」

ヘッドを引く方向と体のエネルギーに集中

では、レベルブローのインパクトを身につけるにはどこを意識すればいいのか。

「インパクトゾーンが一番大事なのですが、実際のスウィングのなかでヘッド軌道やフェース面をどうこうできるものではありません。つまりその前段階が重要なんです。まず意識したいのがテークバックです。シャットに上げるとかアウトに上げるとか、いろいろなレッスンがありますが、打ち出したい方向に対してヘッドを引くだけでいいです。弓道と同じで、的に対して弓を引く感覚です。右に打ち出したいならヘッドはややインサイドに上がる。これがもっともシンプルです。あとは始動でエネルギーと集中力を使うこと。スウィングは始動のみの感覚でいいくらいです」

Point 1　
手でクラブを上げない。腕の三角形をキープ

「絶対に手でクラブを上げないこと。手を使うとヘッドは、あらゆるところに動いてしまいます。イメージとしては両腕で作った三角形をキープすること。この三角形が崩れないようにテークバックします」

Point 2
体幹のエネルギーを使って始動に集中

「テークバックは重力に逆らってクラブを上げる動きなのでエネルギーを使います。大切なのは手じゃないところを使うこと。お腹で上げる、胸骨を回す、足裏で上げるなど、体幹や足を積極的に使いましょう」

>>後編はこちら

週刊ゴルフダイジェスト2025年6月3日号より