【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.30「カップ1個右」という狙い方だと入らない人は“曲線型”!? 青木流ライン読みの極意

競技ゴルフに真剣に取り組む谷繁元信をプロコーチの青木翔が徹底指導! 今回はいよいよパッティングをチェック。曲がるラインの狙い方について、目からウロコのコツを教えてくれた。
PHOTO/Tadashi Anezaki

青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長
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- アプローチでシャフトが真っすぐ見えるように構えるテクニックを伝授された谷繁。次なる舞台はバンカーだ。プロ野球の現場で数々のピンチをくぐり抜けてきた男が、改めてピンチ脱出術を学ぶ。 PHOTO/Tadashi Anezaki 谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ入団。02年中日ドラゴンズに移籍。14、15年はプレーイングマネジャー、16年は専……
真っすぐ狙うか
曲げて入れるか
青木 今回はパターの打ち方、グリーンの読み方もチェックしていきましょう。
谷繁 何球か打ってみたけど悪くなかったですよね。
青木 ほとんど狙った所に行っていましたし、やっぱりお上手だと思います。でも、気になったのはアドレスの際、ボール位置に近づきすぎることがある点でしょうか。左腕とシャフトはなるべく一直線になるように構えてほしいんです。
谷繁 ということは、ちょっとボールから離れればいいんですね。
青木 そう。で、ひじは軽く曲げてOK。わきは締めてくださいね。すると芯に当たりやすくなります。
谷繁 ひじは軽く曲げるとのことだけど、どれぐらい?
青木 両腕を左右に広げてください。その後、ひじを少し落としてわきを締めます。そこから両方の手のひらを体の前でパチンと合わせる。そして前傾して、グリップを握る。

パットのアドレスを決める際は、両手を左右に広げてわきを締め(写真)、その後、両手のひらをパチンと合わせ、前傾してグリップを握る
谷繁 けっこう前傾角度が深い気がするけど、これでちょうどいいんですね。
青木 はい。実際に打ってもらったら、バックスウィングでスッとインサイドに引けました。この構えにする前、谷繁さんのパット練習を見ていたら、バックスウィングでグリップエンドごと右に動かすケースがありました。するとロフトがついたままクラブが上がって、引っ張り込む動きが入ってしまう。または引っ張り込む動きが嫌だから手元で調整して打点が安定しなかったり。
谷繁 構えが決まるとストロークも安定しましたね。
青木 そのアドレスを毎回作るようにしてください。
谷繁 ついボールに近づき過ぎちゃうから気をつけます。
青木 あとはラインの読み方も伝授します。すごく深い部分に入っていきますよ。
谷繁 待っていました!
青木 練習グリーンで実際にカップインしてもらうべく、谷繁さんに狙い所を尋ねたところ、カップからボール1個右とのことでした。そのポイントに僕がティーを刺し、打ってもらったら……。
谷繁 ボールがティーに当たってカップインしませんでした。
青木 それは谷繁さんが「曲線タイプ」だからです。
谷繁 曲線タイプ?
青木 曲がるラインをイメージして入れるタイプということですね。だからさっきのように狙い所を目指して打つと外してしまう。そういう人は、1本刺したティーをポイントとして狙うのではなく“通す所”を意識してほしいんです。ティーで目安を示すとしたら2本。カップからボール1個右のラインだったら、その手前に2本のティーを刺してその中を通すイメージです。真っすぐ構えて真っすぐ打つのではなくて、曲線を通すイメージで逆算してアドレスするんです。
谷繁 すると気持ちよく入りだしました。ティーを1本刺して、そこを目指して打ったときは、どうも右を向いているような気がしたんです。そうじゃなくて、曲線を通すイメージに変えたらアドレスも決まった。でも、これって個人差があるでしょう?
青木 ですね。例えば、僕が教えている新垣比菜選手は直線タイプ。真っすぐ構えて真っすぐ打つと入るんです。さっきのティー1本刺しのケースで、ティーに向けて打ってしっかり入るタイプ。
谷繁 俺みたいな曲線タイプは「カップ1個右」と言われると、カップ1個右よりもっと右を通そうとしてしまう。
青木 実は僕も曲線タイプなので、谷繁さんのキャディに付いたらバッチリなんです。「ここを狙って」じゃなくて「ここを通すイメージで」と言えるので。
谷繁 そうか、その日のキャディさんが直線タイプで「ここに打てば入ります」と言うような人だったら、曲線タイプの俺はその日一日入らない危険性がある。
青木 同じスライスラインでもイメージに違いが出るんですよね。一番曲がる所に打ち出すのが直線タイプ。僕たち曲線タイプもそこに打っているんですけど、一番曲がる所よりも前、ボールが通過する所を大事にします。「ここに打つ」じゃなくて「ここを通す」イメージを持つというか。
谷繁 自分が直線型なのか曲線型なのかは、ある程度ゴルフをやっている人なら何となくわかりそうだけど、さっき青木さんがやってくれた、狙い所にティーを刺す実験をしてみてもいいかもしれないですね。ティーに当たったあなたは、俺たちと同じ曲線タイプかもしれない。
青木 カップインしたあなたは新垣比菜選手と同じ直線タイプかも。
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月22日号より
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