【キミこそ王子だ】Vol.347 小さい部分だけど超重要! “左親指”の位置にこだわるグリップ美人

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王女候補は宮城県出身、東北高校新1年の入倉愛莉さん。昨年、東北ジュニア選手権で優勝した彼女のスウィングを見て、武市はある部分を大絶賛! その部分とは!?

今回の王女候補
入倉 愛莉さん
いりくら・めぐり ●主な戦歴/2024 東北ジュニアゴルフ選手権12歳~14歳の部優勝 ●ベストスコア/70(グレースリッチCC) ●練習/毎日2時間200球 ●トレーニング/週2回筋トレ
小1のとき父親の勧めでゴルフを始めた入倉愛莉さん。
「お父さんはゴルフ好きなの?」
「はい、好きというか……東北福祉大のゴルフ部出身で岩田寛プロ、谷口拓也プロと同期です」
「えッ! そうなの!! じゃあ、お父さんがコーチ?」
「いいえ、トミーアカデミーにお世話になっています。父には、ゴルフを始めるときにグリップやアドレスは教わりましたが今はほとんど教わりません。取り組む姿勢とかは、アドバイスしてくれますが、スウィングの細かいところは言いません」
「なるほど。経験者だけに、分かっているんだろうね、選手と外野のいい距離感を」
そんな愛莉さんのスウィングで武市が注目したのは、父親直伝のグリップとアドレスだ。
「さすがキレイ! 特にグリップは、はなまる! どんな意識で握っているの?」
「左手の親指をいつも必ずグリップの同じ位置に置いて、スウィング中もそれがズレないようにしてます」
と言って、グリップデザインのある部分を指さす愛莉さん。
「愛莉ちゃんはゴルフの真理を知っているね。まずサイコーなのがグリップ。これがまた、スクエアに握りやすいようにグリップを入れてるんだわ。これは完璧にプロの仕業やな(笑)。だから彼女はそのグリップデザインを目印にして、全クラブ、毎回同じように握れる。アドレスの両腕の三角形もナチュラルでキレイだよね。そこから右ひじを体から離さず、体の回転で上げている。
そうするとトップは若干フラットになるでしょ。で、そのままダウンスウィングも体の回転とともにクラブを下ろせば、おのずと内側からクラブが下りてくるからドローボールとなる。まぁ、ざっくり言うと、こんな動きかな。シンプルだよね。無駄な動きがなく、効率よくボールにエネルギーを伝えている印象。すごくいいね!!」
「ありがとうございます」
「ボク的にはグリップがマジでツボ。まさかグリップが適当でいいって思っているゴルファーはいないと思うけど、彼女ほどピンポイントでこだわっている人も少ないかも。彼女が気にかけている左親指の位置はボク的にも超重要ポイント。なぜならボクは左親指でフェース面をコントロールしている感覚があって、左右に1ミリでもズレると、全く違う球筋になるんだよね。
愛莉ちゃんはいつも同じ位置にセットすることで安定した球筋を武器にしているけど、ボクは逆に、それを利用して球筋を打ち分けたりもする。定位置から左親指を1ミリ右にずらすと手首が返りやすくなるのでドローに、親指を1ミリ左にズラすと、手首が返りにくくなりフェードとなるので、コースレイアウトによって変える。たかが1ミリされど1ミリ。それを知っている愛莉ちゃんはカッコイイね!」
「憧れの選手はネリー・コルダ」と語る新高校1年生の瞳は輝いており、これからの道が前途洋々であることを直感する武市であった。
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月22日号より