話題の「センターシャフト」パター 使っていい人orダメな人 あなたはどっち? 打ち方のポイントも

松山英樹が使用して話題になった「センターシャフト」のパター。いったいどんな人に合うのか? 使用する上で注意すべきポイントとは? 引き続き大本研太郎プロに話を聞いた。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Shinji Osawa、Getty Images THANKS/GPC恵比寿


解説/大本研太郎
パッティングの指導を得意とするプロコーチ。2018年には「PGAティーチングプロアワード」で最優秀賞を受賞。「GPC恵比寿」主宰
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- 今年1月、ハワイで行われた「ザ・セントリー」で優勝した松山英樹がセンターシャフトのパターを手にしていたことは大きな話題となった。名手に愛用者が多いセンターシャフトの魅力に迫る。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Shinji Osawa、Getty Images THANKS/GPC恵比寿 解説/大本研太郎 パッティングの指導を……
センターシャフトが合うのはどんな人?
ではセンターシャフトのパターが合う人、使って効果が出る人はどんなプレーヤーなのか。引き続き大本プロに聞いた。
「率直に言えば、構えてみて振ってみて、ポジティブなイメージが湧く人です。オフセットがなく、フェースバランスで、シャフトと芯が直結している。これらの要素を『どう感じるか』は人それぞれですが、これらによっていいイメージが湧くなら、必ず結果もよくなります」
シャフト=芯というのはわかりやすく、多くのプレーヤーにメリットがあるとはいえ、シャフトがネック側にあるほかの13本と大きく異なるぶん違和感のほうが強い人もいる。また前述のように、センターシャフトは「構えるとつかまりやすく、ストロークするとつかまりにくい」という相反したイメージを備える。これらの要素を総合して、構えたとき、振ったときに自分にとっていいイメージが湧くならOKというわけだ。
「センターシャフトはフェースバランスで『真っすぐ』のイメージが湧きやすいのは確かですが、実はストロークのアーク(弧)はほぼライ角によって決まるので、機能的にはフェースバランスは真っすぐ動かしたほうがいいというわけではありません。しかしこの見た目によって生じる『真っすぐ』のイメージが、自分のストロークイメージと合致するとか、強すぎるアークを緩和するというようないい方向に働くのであればそれはプラスになります。その意味ではまさに『印象』が大事なんです」
センターシャフトにも、最近流行りの「L.A.B.Golf」やオデッセイの「スクエア2スクエア」のようにフェースがターゲット方向を向く「ゼロトルク」のものや、スコッティキャメロンのようにシャフトがフェースのセンターよりも若干ヒール寄りに挿さっているモデルもある。これらも、機能そのものよりもそこから生じるイメージが「こうストロークしたい」という自分の意図とマッチするかどうかが重要だと大本プロは言う。
自分の感覚と合うモデルを選ぼう
【ゼロトルク】=より開閉を抑えるイメージ

フェースバランス以上にフェースの開閉を抑えたストロークをイメージしたいなら、クラブをフリーにしたときにトウが上を向く「ゼロトルク」(「ライ角バランス」)がいい
【センターからちょっとだけヒール寄り】=開閉のイメージが湧く

極端な「真っすぐ」よりも少しだけフェース開閉のフィーリングを残したいなら、シャフトがフェースセンターよりも少しヒールに寄っているもののほうがイメージが出やすい
【大型マレット】=ヘッドがブレにくい

ヘッド形状もイメージ重視。ミスヒット時のヘッドのブレが怖いなら大型マレットにしたり、よりソリッドなヒット感を際立たせたいならブレード型を選ぶとよい
センターシャフトを生かす打ち方のコツ
大本プロは「イメージさえ自分に合えばいい」と言うが、センターシャフトの特徴を生かすストロークのコツはあるはずだ。
「どんなパターでも自然なアークで振り子のようにストロークしたいので、本来はセンターシャフトだからといって特別なストロークは必要ありません。ただしシャフト=芯という特徴を生かすには、ボールの近くに立って真上から見る構えがおすすめです。こうするとストロークも直線的な軌道をイメージしやすく、ヘッド自体が持つ『真っすぐ』のイメージとマッチしやすいと思います」
構えに関しては、オンセットぶんボールを左に置くのではなく、体に対するボールの位置やヘッドの位置はオフセットのあるパターと変えず、手元を少し右に寄せてややハンドレイトにするのがポイント。シャフトが少し右から入って見えて、ロフトもしっかり見えるのが自然だ。
またセンターシャフトは「芯をイメージしやすい」「芯に当たりやすい」反面、これが強調されすぎるとインパクトのヒット感が強くなりすぎたり、手先でクラブを操作しようとしてストロークのスムーズさを損なう危険がある。これを避けるためには、どんな握り方でもバックスイングでは右手薬指でクラブを引っ張り、ダウンスウィングではそれを解放して重力に任せて振っていくようなイメージがおすすめだと大本プロ。
「この『引っ張って落とす』のが手で余計な操作をしないコツです。グリップはなるべく下から支えるように持ちましょう。大事なのは意図して芯で打つことではなく、結果的に芯に当たることなんです」
センターシャフトは前述のように「飛ばない」のも特徴。そのためしっかり打てるタイプの人にはいいが、普段からショートしがちな人にはそれが強調されやすくロングパットのタッチが出にくい側面もある。
そこで大本プロはロングパット用にタッチが出やすいエースパターを生かしたまま、ショートパット用に試してみてはいかがだろうか。
上から見ることで芯のイメージがそろう

ボールに遠く立つと、ヘッドに対してボールはトウ寄りに見える。センターシャフトの特徴を生かすなら、ボールに近く立ってなるべく真上から見るほうがよい
「アーク次第では5度の開閉は生じます」
ストロークのアーク(弧)は基本的にはライ角で決まるので、センターシャフトだからといって直線で動くわけではない。フェース開閉も5度前後は生じるのが自然だ

オンセットなぶんハンドレイトに構えよう

左右のボール位置は心臓の前。ヘッドの位置もそれに合わせ、普通のパターよりも手元の位置を右にズラすことでオンセットにアジャストしよう
アドレスでは0.5~1度程度ロフトがつき、フェースが少し見えるように構えると、適正なインパクトを得やすい

右手薬指で引っ張ってから“落とす”イメージで打つ

バックスウィングは右手の薬指でクラブを引っ張り上げ、切り返しでそのテンションを解放して、ダウンスウィングは重力で「落とす」イメージだと、パンチが入りにくくスムーズにストロークできる
「引っ張って落とす」ストロークをするには、グリップは下から支えるように持ち、手のひらを上に向けて動かすイメージがいい


“飛ばない”ことを補うならパター2本持ちも手
センターシャフトは方向性に優れる反面通常のパターよりも飛ばず、タッチを出しにくい。大本プロは、タッチの出やすいロングパット用のエースパターと、方向性のいいショートパット用のセンターシャフトの2本をバッグに入れる「パター二刀流」を推奨する
月刊ゴルフダイジェスト2025年5月号より