【教えて! なっち先生】Vol.3 自分に合う「ハンドファースト」の度合いは?

クラブヘッドより手元が先行する「ハンドファースト」な状態でのインパクトは、ボールをより遠くまで飛ばすために重要な動作だが、その度合いは「ご自身のパワー、ヘッドスピードによっても変わってきます」とプロゴルファー・大谷奈千代は言う。詳しく教えてもらおう!
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- 思うようなスコアが出ない、正しいスウィングの仕方が分からない、とお悩みのゴルファーに、“なっち先生”ことプロゴルファーの大谷奈千代がイラストを使って分かりやすくアドバイス! 今回は、正しいハンドファーストの作り方について。 >>前回のお話はこちら Lesson 2飛ばしに重要なハンドファースト正しい形はどう作るのが正解? ……
Lesson 3
ハンドファーストの度合いは
ヘッドスピードの速さで変わる
ハンドファーストの形は、男性のほうが女性よりハンドファーストの度合いが大きくなる傾向にあるのですが、この理由はヘッドスピードとパワーにあります。男子プロのように速いヘッドスピードで、芯でボールをとらえながらショットすることができると、ボールのバックスピン量(ボールの飛距離や高さなどの弾道特性を決定する要因のひとつ)が増えすぎてしまうので結果的にボールは空高く上がってしまい、前に飛んでいかなくなってしまうのです。
そういった理由から、ボールの上がりすぎを抑えるためにクラブのロフトを立ててハンドファーストの度合いを大きくします。こうすることで、やっと適正な打ち出し角度とスピン量になって、ボールはグングン伸びて遠くに飛んでいくようになるのです。

もちろん、女子プロでもヘッドスピードが速くハンドファーストが強い選手もいます。しかし、男子プロと比べてヘッドスピードの出ない多くの女子プロは、スピン量が少なくなるので弾道が放物線を描くようにポーンと飛んでいきます。これはヘッドスピードが速い男子プロよりボールの打ち出し角度が高いということになります。
ということは、結果的に見てもハンドファーストの度合いが小さくなっているということがわかりますね!
球が上がりすぎるなら
ハンドファーストを強めに
一般男性のヘッドスピードの平均値はおよそ38〜43m/s(200〜230ヤード)、一般女性の平均値はおよそ33m/s(150ヤード前後)といわれているのですが、平均値から見ても男性のほうが速く振れることがわかります。
ヘッドスピードが速い男性はスピン量が多くなりますので、クラブのロフトを立てるために、ハンドファーストの度合いを強めなければならないのです。逆にヘッドスピードのあまり出ない非力な女性はスピン量が少なくなるので、ハンドファーストの度合いを小さめにして、クラブのロフトを上手に使う必要があります。また、女性の場合は関節が柔らかい(可動域が広い)ことで体の回転でボールを上げることができるので、ハンドファーストの度合いがさらに小さくなる傾向があります。

アマチュアの男性ゴルファーの場合、女子プロと似たようなヘッドスピードの方がたくさんいらっしゃるかと思います。体が硬い男性は腕力を使ってクラブを振るので、ほんの少しだけハンドファーストの度合いが大きくなることが予想されます。そんな方の弾道のイメージは男子プロと女子プロのちょうど中間くらいになりますね。
このように、ハンドファーストの度合いはヘッドスピードとパワー、そして可動域の広さによっても変わってくるわけです。

プロ同様、アマチュアもパワーの違いによってヘッドスピードも変わる。ハンドファーストの度合いもそれに合わせて調整することが必要だ

大谷奈千代
1984年、神戸市出身。JLPGAトーナメントプロ&ティーチングA級。関西を中心にレッスン活動を行う
週刊ゴルフダイジェスト2025年4月8日号より