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【“残り100Y”に強くなる】#3 フルショットだけどマン振りではない「しっかり振る」の極意

確実に乗せたいけど意外と乗らない「100Y」を攻略するには? ここでは熊本を代表するトップアマの2人に話を聞いていく。

TEXT/Daisei Sugawara Masato Ideshima PHOTO/Takanori Miki、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara、THANKS/千葉セントラルGC、金乃台CC、ゴルフリゾートSOGA、熊本空港CC、茨城GC

(左)井手尾環さん(59歳 /HC0)昨年の日本シニアゴルフで9位に入ったトップアマ。ショットの精度でスコアを作っていくスタイル
(右)小杉康之さん(65歳 /HC0.7)数々の競技に出場する熊本を代表するトップアマ。アプローチイップスを克服した努力家

“しっかり振る”を
勘違いしている人が多い

熊本を代表するトップアマの井手尾環さんと小杉康之さん。練習量の少ないアマチュアは「100Y以内はフルショットだ」と口を揃えるが、フルショットの概念を勘違いしている人が多いと話す。

――100Yは乗せたい距離? それとも寄せたい距離?

小杉 やっぱり100Yだったら1ピン以内につけたいよね。

井出尾 プロとアマの違いが最も出るのは100Yの精度。100Yがビシビシきているときはやっぱりスコアもいいですからね。

――100Yの精度を上げるために大事にしていることは何ですか?

小杉 スウィングリズムですかね。きっちり距離をコントロールするにはリズム良くしっかり振ることが一番大事です。

――「しっかり」とはフルショットという意味ですか?

井出尾 ゆるまずに打つという感じですかね。

――目いっぱい振るということではないわけですよね?

小杉 勘違いしている方が多いですが、我々のフルショットは決して“マン振り”ではなく、コントロールされた“しっかり”です。

井出尾 私も振るというよりは運ぶ感じ。特に100Yはタテもヨコも大事だからライン出しを常に意識していますね。でも、だからといってゆるめているわけではありません。

小杉 目いっぱい振るフルショットだと力が入ってダフったり、トップしたり、ミスが出やすくなるからね。100Yに限らないけれど、フルショットって感覚的には8割とか9割くらいでリズム良く振ることやね。

井出尾 しっかり振ってゆるまないことは大事ですよね。

小杉 そう! ウェッジでもドライバーと同じく芯でヒットすることが大事だから、いかにきれいにヘッドを入れるかを大切にしていますね。

井出尾 きれいにヘッドが入るとボールがフェースに乗るのでボールもコントロールできますよね。マン振りだとヘッドの動きをコントロールできないので、ナイスショットとミスショットの差が大きくなる。だから8割、9割が適正なんですよね。


フルショットは“マン振り”ではない

アベレージゴルファーはしっかりというとマン振りをイメージしがち。「その感覚だから力んだりするわけですね。コップでいうと溢れるくらいの感覚でしょう(笑)」

力まないための
自分なりの工夫を持っておこう

8〜9割でもゆるまずしっかり振るということはつまり、力みとの戦いでもある。それはトップシニアも同じ。“しっかりだけど力まない工夫”を2人に聞いた。

「私はアドレスで少しフェースを開いておいて、そこからややフェースを立てながらインパクトすることで力みを防止しています」(小杉)

「グリップで手の平に余りができないように密着させて、インパクトの瞬間どうしても力が入るので、ぎゅっと握ってもフェースがかぶらないようにケアしています」(井手尾)

意外と繊細な100Yだが、2人のトップシニアの共通点は球筋がドローということ。100Yにおいてもボールをつかまえることは大前提で、フェースで包み込むようにナチュラルにつかまえられるから、変な力みが生じず、スムーズにフィニッシュまで持っていける。

工夫1
振り抜く位置を決めておく

スウィングをフィニッシュから逆算すればインパクトの瞬間の力みが解消される。まずはフィニッシュとフォローのイメージを作って、そこに向かって振ることだけを考える

工夫2
トップは無理して上げない

8~9割でいいと考えると無駄に大きくクラブを上げる必要はない。コンパクトなトップから最短距離でインパクトすることがポイント

工夫3
アドレスで少しだけフェースを開く

少しだけウェッジは基本的につかまりやすく左に引っかけが出やすいので、それを想定して少しアドレスでフェースを開いて構える。ナチュラルなフェースの開閉でボールがつかまる

小杉さんの100Yスウィング

工夫1
フェースがかぶらない握り方で持つ

グリップと手の平の間に空間ができているとインパクトの瞬間、フェースがかぶりやすくなる。それを防ぐ意味で余りが出ないように密着させて握ることを意識している

 

工夫2
インパクトを点ではなくゾーンで考える

インパクトを点で考えずにゾーンで捉えて、その間をしっかり振ることで、タテ距離が合うようになる。インパクトでゆるむと思ったより飛ばなくなる 

工夫3
右手は少しローテーションを入れる

ライン出しのイメージでフェースを動かすために右手は少しだけローテーションを入れて、フェースが開かないようにしている

【ここもポイント】
ピンの5Y右を狙う

基本的に左に行きやすい距離なので狙い目はピンの5Y右。つかまる想定をしておくことで思い切って振り切れるようになり、結果、インパクトがゆるまない

井手尾さんの100Yスウィング

月刊ゴルフダイジェスト2025年4月号より