【ダフらないアプローチ】<後編>「右手首の角度をキープして“胸”でクラブを引っ張りましょう」

プロ仲間からも認められるアプローチ名手・日高将史プロが、ザックリ&トップを克服するための極意を教えてくれた。
PHOTO/ARAKISHIN THANKS/UMKカントリークラブ


解説/日高将史
ひだか・まさし。1986年生まれ。宮崎県出身。170センチ66キロとツアープロの中では小柄ながら、昨年はチャレンジツアーで9年ぶりの2勝目を挙げ、今季レギュラーツアーに参戦する注目の選手
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- 飛距離があまり出ない日高将史プロが昨年38歳にしてチャレンジツアーで優勝できたとき「アプローチのおかげです」と言った。というのも、実はツアーの中でアプローチが上手い選手は? と聞くと、必ずといっていいほど名前が挙がる小技の名手なのだ。そこで今回ザックリ&トップを克服するアプローチの極意を教えてもらった! PHOTO/ARAKISHIN THANKS/UMKカントリークラブ ……
胸でクラブを引っ張る感覚
――具体的に右手はどう使えばいいですか?
日高 常にヘッドが胸の前にあり続けることがポイントです。そのために右手首の角度をキープする必要があります。
――右手の動きを抑えるわけですね。
日高 はい。その練習法としてやるのが、右手1本での片手打ちです。僕もですが多くのプロがトーナメント中でも取り入れていますよね。それほど右手の動きが重要だという証拠です。
――アマチュアにとって片手打ちは、上手く打てるときもあれば、上手く当たらないこともあったりとても難しいと感じている人は多いと思います。
日高 まさに手打ちになっているからです。アドレス時の右手首の角度をキープして、胸でクラブを引っ張る感覚で胸を回して打つんです。胸が動かないと手打ちの原因になります。最初は怖いと思いますが、思い切って胸をターゲット方向に向ける感覚で振ってみてください。まずはボールに当てようとする意識を持たないことで、手打ちを防ぐアプローチが習得できるようになります。
右片手打ちをやってみよう
片手打ちをする際に、手でクラブを上げようとすると体の正面からクラブが外れてしまう。ヘッドに重さがあるウェッジは、手先でなく体の回転でクラブを上げて下ろすのがポイント

Point 1
右手首の角度をロックする
アドレス時の右手首の角度がほどけると、ヘッドが早く地面方向へ落ちてダフリやトップの原因になる。胸を回すことを意識して振れれば、右手首の角度は自然とほどけない
Point 2
体の回転でボールを運ぶ
体がしっかり回転すると小手先でフェース面を操作しないので、インパクトでクラブが自然とスクエアに戻ってくる


Point 3
目標を見ながら素振りする
胸を大きく動かすのが怖いという人は、胸を最初にターゲット方向に向けた状態で素振りを行うのが効果的。そこから徐々に胸を開閉させると胸でクラブを引っ張る感覚が身に付く
カット軌道は刺さりやすい
日高 もうひとつ、大事なポイントがヘッド軌道です。アプローチはオープンスタンスに立って、カット軌道で振るものだと思っている人が少なくありませんが、基本的にイン・トゥ・インです
――カット軌道はダメなんですか?
日高 カット軌道はヘッドの入射角が鋭角になりヘッドが地面に刺さりやすいですし、インパクトが点になりやすいので、フェースにボールが乗らず距離感を合わせづらくなります。
――スクエアなスタンスではダメでしょうか?
日高 アプローチは振り幅が小さいため、体の回転がしやすいようにスタンスを少しオープンにしたほうが振り抜きやすいからです。そこで僕がオススメしているのが、左足つま先を開かず、少し下げるだけのオープンスタンスです。左足つま先を開かないことで、カット軌道になりづらいのと、程よく体の回転を制御しているので右手と体の一体感が出しやすく、より手打ちを防げるからです。結果、ヘッドの動きがイン・トゥ・インになるのでフェースでボールを押す感覚も出せて、ザックリ&トップのミスを防ぎつつ距離感も出せる動きになります。
ヘッド軌道はイン・トゥ・イン

左つま先は開かず半歩後ろに引く

体、手元、ヘッドの関係性をキープする

スウィング中、グリップエンドを常におヘソに向け続けるイメージで体、手元、ヘッドを同じスピードで動かすと、イン・トゥ・イン軌道になりやすくザックリ&トップのミスが起きにくくなる

左手はインパクトの緩みを防いでくれる
日高 右手は、勝手な動きを抑えつつフェースの面を意識する役割として使いますが、左手のグリップの役割ってわかりますか?
――教えてください
日高 インパクトでの緩みをさせない役割があるんです。
――どういうことでしょうか。
日高 右手の動きを制御しても、緊張するとインパクトで緩んでザックリやトップすることがあります。それを左手の中指、薬指、小指をしっかり握ることで防げるんです。左手のこの3本をしっかり握ることだけを意識すれば、あとは胸を回して振りつつ右手でフェース面を意識する。これさえやれば、ダフリとトップは必ず防げるので練習してみてください。
1球ずつ目標を変えて
どの景色で打っても握る強さが一定になるようにする

練習場ではできるのにコースに出るとミスを連発する理由は、景色によって右手を使いたくなってしまうことがあるという日高。本番
でミスしないために、練習場ではいろいろなターゲットを狙う練習をする。できれば、1球ずつガラッと方向を変えて練習すると、手打ちを矯正できるようになってくる
週刊ゴルフダイジェスト2025年3月18日号より