【“残り100Y”に強くなる】#1 左足にしっかりと体重を乗せて打っていこう

ピンまで残り100Y。「これくらいだったら乗るだろう」と思って打つも意外と乗らないなんて経験、ないだろうか? ゴルフ場で調査をしても、9割近い人がグリーンを外していた。いったいなぜ100Yが乗らないのか、どうすれば乗るようになるのか。プロやトップアマに話を聞いた。
TEXT/Daisei Sugawara Masato Ideshima PHOTO/Takanori Miki、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara、THANKS/千葉セントラルGC、金乃台CC、ゴルフリゾートSOGA、熊本空港CC、茨城GC


解説/柳橋章徳
臼井麗香のスウィングコーチを努める傍らアマチュアへのレッスンも行う
- 確実に乗せたいけど意外と乗らない「100Y」を攻略するには? ここでは、昨年3勝を挙げ一気にトップ選手の仲間入りをした桑木志帆に、自身も課題のひとつにしているという100Yの精度アップに向けた取り組みを聞いた。 TEXT/Daisei Sugawara Masato Ideshima PHOTO/Takanori Miki、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara、THAN……
- 確実に乗せたいけど意外と乗らない「100Y」を攻略するには? ここでは熊本を代表するトップアマの2人に話を聞いていく。 TEXT/Daisei Sugawara Masato Ideshima PHOTO/Takanori Miki、Shinji Osawa、Hiroaki Arihara、THANKS/千葉セントラルGC、金乃台CC、ゴルフリゾートSOGA、熊本空港CC、茨城GC ……
乗る確率を上げるのは
打ち方よりも狙い方
残り100Yから2打以内で上がる確率、プロとアマでは雲泥の差。それは一体なぜか。「簡単に言うと、アマチュアは狙い方が間違っているから」と、柳橋章徳コーチは言う。
「残り100Yだからといって、必ずしもピンを狙うのが最善とは限りません。ナイスショットが出ればもちろん問題ないですが、仮にミスしたとしてもグリーンに乗るような『安全策』を含んだ狙い方をしないと。仮にピンが左手前なら、ちょっと極端ですが『右奥』を狙うくらいの勇気が時には必要だということです」
ダメな思考1
「乗せたい」「寄せたい」と思いすぎ

残り距離に関係なく、「ターゲットを決めてそこに打つ」というのがアイアンの鉄則。距離が短いからといって、「絶対にグリーンを外せない」と考えるとプレッシャーが大きくなる
ダメな思考2
狙いがピンだけ
カップがグリーンの端にある場合、ピンを狙うことでショートサイドに外すリスクも高まる。そのリスクを冒す価値があるかどうか、冷静な判断が求められる

ダメな思考3
100Yをラン込みで考えている

100Yはキャリーだけの距離で狙う。100Yキャリーした地点が必ず「グリーン上」であることが大前提。ランも含めて狙うと、グリーン手前にキャリーしてショートしやすい
ショートアイアンは設計上左に飛びやすい
そもそもロフトが寝ているクラブはフェースが左を向きやすい。加えて、重心角が大きいのでクラブの特性上ヘッドが返りやすく球がつかまる(クラブ設計家・松吉宗之氏)

ウェッジはロフトのコントロールが命
100Yを52度のウェッジで打つ場合、プロならそれよりロフトを立てて打つ(=ハンドファースト)。加えて、入射角はダウンブロー(=最下点がボールより先)。これがウェッジで狙った飛距離を出し、なおかつスピンを利かせるための条件となる。
「アマチュアはこの逆で、クラブのロフトよりインパクトロフトが寝て当たっていることが多いです。打点位置が上めになるとロフトが寝る方向に働き、ボールが上に飛びやすくなります。さらに、最下点がボールの手前になるとますますロフトが寝て、飛ばなくなります。いわゆる“ポッコン”の状態になっているんです」と、柳橋コーチは指摘する。
ミスの原因1
打点位置がバラバラ

ロフトが立った番手だと、打点(インパクトのヘッドの高さ)が上下にずれても球筋への影響が少ないが、ウェッジの場合は打点が上にずれる(ヘッドの高さが低い)と飛距離が大幅に落ちる
ミスの原因2
ロフトが寝ている
シャフトを目標方向に傾けて(ハンドファーストで)当てることで、フェースの下部でボールをとらえやすくなる。ロフトを寝かせて当てると、ボールは前より上に飛びやすくなる


100Yの理想の打ち出し角は30度以下
PGAツアーの選手はウェッジでの打ち出し角が低め。つまり、最下点をボールの先にして(左への重心移動を多くして)、入射角を鋭角にして当てているということ
体が突っ込むくらい左に乗ってもOK
インパクトでロフトが「寝る」ということは、シャフトが目標とは反対側に傾いているということ。だとすれば、その原因は体重が「右に残っている」ことなのは明らか。
「100Yだと、ダウンブローで打つというのは大前提で、そのためには少なくとも切り返しでは左に体重を乗せ始めていないと間に合いません」と、柳橋コーチ。ダウンブロー、あるいはハンドファーストというと、手元を前(目標方向)に出して打つものと勘違いしている人が多いが、実は左への体重移動を増やすだけで最下点がボールの先に移動し、勝手にハンドファーストになり、自然とダウンブローになる。「左に乗る」が何より大事なのだ。

100Yのインパクトは頭が左にズレてOK
「ビハインド・ザ・ボール」というのは、ボールを飛ばすコツ。飛ばさなくていいウェッジは、むしろ頭がボール位置を追い越すくらい左に動く(踏み込む)ことで、ダウンブローに当てやすくなる
腰も左にスライドさせる
切り返しで左に体重を乗せる際には、同時に腰を目標方向に少しスライドさせる。これにより、最下点の位置が確実に左に移動し、インパクトゾーンを長く取れる。左への踏み込みと同時に腰を開くと、軌道がカットになる

インパクトでロフトを立てるには…
Point 1
テークバックを手元から上げる
勢いよくアドレスで手首の力を抜き、ある程度のスピードで手元を動かすと、重いヘッドが時間差で上がる。すると、切り返しでも手元が先行してヘッドが遅れる関係(=タメ)を作りやすい

Point 2 トップで左手をゆるめる

プロはみんな左にグッと乗っている!
青木瀬令奈の100Yスウィング
臼井麗香の100Yスウィング
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月刊ゴルフダイジェスト2025年4月号より