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49歳でQTトップ通過! 海老根文博のゴルフ<後編>「やっぱり体は開かないほうがいい」

昨年のQTで若者たちを相手にトップ通過を果たした海老根文博・49歳。これまで一度もシードを獲得したことのなかった選手にいったい何があったのか。後編ではスウィング面の気づきについて教えてもらった。

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/サザンヤードCC、ロイヤルグリーン水戸

海老根文博 えびね・ふみひろ。1975年2月9日生まれ、茨城県出身

>>前編はこちら

行きついた結論は
「体を開かない」こと

パーシモンヘッドからメタル、チタンと劇的な道具の進化とともにプレーしてきた海老根は、一時期ドライバーイップスになりかけたという。

「若い頃はフェードを打っていたのですが、ヘッドの大型化で重心距離が急に長くなったときに球がつかまらなくなり、右にしか飛ばなくなったんです。そのときはフックグリップにしたり、手首を返したり左を向いて打ったりと試行錯誤しました。いろいろとやったけど、結局は体を開かずに打つということが大事だという結論になりました。さらにクラブが進化して、重心距離が長くてもつかまりやすくなりましたが、今でも体を開かないということはいつも意識しています」

若い選手や女子プロは体を開きながら打つ人が増えたが、ベテランにはベテランなりの打ち方があるということか。「僕は体が開くと球が右にも左にも行ってバラけてしまうんです。体が開かないこととフェースがスクエアに戻ることがセットになっているんだと思います」


Point 1
“右のフトコロ”を広く保つ!

体を開かずに打つポイントは、ダウンスウィングで右サイドのフトコロを広く保つこと。そこを意識することで胸が開かずインパクトを迎えられる。早く体が開いて右サイドのスペースがなくなると、手の通り道がズレてしまって打点もズレて球がバラけてしまう。「イマドキのスウィングではないけど、アマチュアの方も体は開かないほうが真っすぐ飛ばせると思います」

右のフトコロを広く保って体を開かないためには、ベタ足を意識することも有効。かかとの上がりが大きいと右腰が前に出て、フトコロが狭くなってしまう

Point 2
高いトップから最短距離でヘッドを下ろす

フラットなトップが流行っているが、海老根の場合クラブが垂れたりフェースが開きやすかった。高いトップからヘッドをボールに最短距離で下ろしたほうがミート率が上がる

Point 3
グリップはパームではなくフィンガーで握る

パームグリップで握っていた昔はフェースがターンしやすかった。「フィンガーグリップのほうがフェース面をキープできて、球が曲がりにくいことに気付きました」

海老根文博の1Wスウィング

地面にある球は上から打つべき

ドライバーは、大型化についていけずに苦労したものの、体を開かず打つことで打ちこなせるようになった。だがその後、アイアンにも問題が発生した。

「最近のドライバーはアッパーブローのほうがいいと思って、一昨年くらいまで無理してアッパー気味に振っていたんです。でもそうすると、ドライバーが上手く打てる日はアイアンが悪くなり、アイアンがいい日はドライバーが不調になるという問題が起こりました」 

これはアマチュアにもよくある現象だが、どう解決したのか?

「もう割り切ってドライバーだけは別物だと思うことにして、アイアンは昔ながらのダウンブローで打っています。昔、林由郎先生に教えられた通り地面にある球はダウンブローに打つべきだし、ティーイングエリア以外は傾斜があるのでいろいろなライに対応できるのもダウンブローなんです」

変えたことと変えなかったこと、この見極めが正解だったからこそ、若手に負けない対応力が武器となっているのだ。

Point
手元を低く下ろして左下に振り抜く

ダウンブローに打つためには手元を低く下ろして左下に振り抜くことが重要。上体が浮いてしまうと手元も浮く

Drill
9Iで通常の半分の高さの低空ショットを打つ

アイアンの調子が悪くなった時は低い球の練習をすれば修正できる。ボールを右に置かずに、体重を左足に多く乗せたまま左1軸のイメージで振るといい

ダウンブローなら左足下がりでもフワッと打てる

林由郎仕込みだけあって小技も多彩。ダウンブローの基礎があるからこそ、左足下がりからでもフワッと上がる球を難なく打ててピンに寄せられる

フォローでフェース面が自分を向くように振る

手首を柔らかく使ってヘッドを走らせるのに加えて、フェース面が返らないようにすることも大事。フェース面が自分に向いていればOK

海老根文博のアイアンスウィング

月刊ゴルフダイジェスト2025年3月号より