兼本貴司のアプローチ奮闘記<後編>「球を左に置いて腰を回し続ければダフらないんだ!」
アプローチが刺さるミスに長年悩まされていたという兼本貴司。中嶋常幸の合宿に参加したことでつかんだダフらないアプローチの秘訣とは? 一般ゴルファーにも参考になるアプローチ上達のヒントが満載!
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara ILLUST/HASHIMOTO Kouki THANKS/グリーンバーズGC
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- シニアツアーの会場で弾道計測器を使いながらひたすらアプローチの練習を続けている兼本貴司。昔から300ヤード超の飛距離を武器にしてきたが、実はアプローチが苦手で長年悩んでいるという。今季もシニアで優勝して好調そうに見えるが、何を悩みどう解決しているのか、詳しく聞いた。 TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara ILLUST/Koki Hashim……
ミスがミスにならない
打ち方がある
長年の研究の末、現在は苦手ながらもダフりにくい打ち方がわかってきたという。
「中嶋(常幸)さんに教わった基本をベースに自分なりにアレンジを加えながら練習してきて、こうすればダフらないという打ち方がわかってきました。それがボールを左に置いてヘッドを緩やかに入れながら、腰を回し続けるということです。ボールを左に置けばハンドファーストにならないし、腰の回転を止めなければヘッドが多少ダフっても抜けてくれるんです」
昔は体の意識はなく腕で打っていたことも問題だった。
「いまは腕はゼロの意識で体が100パーセントくらいのイメージで打っていますよ」
気づき1
腰が止まると手が出てヘッドが刺さる
腰の回転が止まると手だけが前に出ていくことになってダフりに繋がってしまう。腰を回し続ければ多少ダフってもヘッドは抜けてくれるからミスになりにくい
バックスウィングでも腰をしっかり回す
バックスウィングで体が止まっているとダウンスウィングでも回りにくくなる。腕で振らずに上半身をしっかり回してクラブを上げる
気づき2
緩やかな軌道ならソールが滑ってくれる
ダフリを恐れずに手前にヘッドを入れていく。入射角が緩やかであればソールが滑るからダフらずにヘッドが抜けていく。ボールに向かってヘッドを下ろしてしまうとダウンブローになる
ボール位置は左足かかと内側
ボール位置は左足かかと内側にセットすれば、ハンドファーストが弱まり入射角も緩やかになる。ボールを右に置くのは転がしのときだけ
気付き3
左肩が浮かなければ入射角は緩やかになる
ダフリが怖い人はインパクトで左肩が浮きやすくてトップになりやすい。肩は下げたり上げたりせずに、平らに回していくイメージ
気付き4
スクエアスタンスでヘッドも真っすぐ出す
オープンスタンスのカット軌道はダウンブローになるし、インサイドアウトに振るとフェースが開きやすい。スクエアに立ってヘッドも真っすぐ振る
片山晋呉のインパクトは精密機械のようだった
片山に20ヤードのアプローチを5球打ってもらったら、そのうち4球のキャリーがピッタリ16ヤードだったという。「どれだけインパクトが正確なのかわかりました」
打ち方が良くないと
ゆっくりは振れない
長年の研究で上手い人の共通点にも気付いたという。
「中嶋さんも(片山)晋呉もそうなんですけど、上手い人はヘッドが加速も減速もしないでゆっくり同じスピードで動くんですよ。それに気付いて僕もゆっくり振る練習をしてみたらダフらないんです。結局僕みたいなアプローチが苦手な人は早くボールに当てたくて打ち急ぐから、余計それがミスになるんですよね」
実際にやってみるとゆっくり振るのは意外と難しい。
「手打ちではできないから体をゆっくり回すことが大事。でも手を使わないとはいってもひじを伸ばして硬くなってしまうとミスが出ます。手首はある程度力を入れてもいいけど、ひじはゆとりを持たせた状態でクラブを体の前にキープしたまま打つことがコツです」
Point 1
コックは振り幅に応じて適度に入れる
ノーコックもコックを入れすぎもヘッドがスムーズに動かなくなってしまう。振り幅が大きくなるにつれて自然に入っていくのがベスト
Point 2
ヘッドは体の左側に外れないようにする
腕とヘッドはずっと体の前から外れないようにす
る。ヘッドをリリースして体から外れる打ち方で
はゆっくり振れない
Point 3
手首は力を入れてもひじの力は抜く
手首の使いすぎは良くないが、インパクトでは抵抗があるので、手首はある程度力を入れておく。ひじまで力が入ると動きが硬くなるためひじは緩めておく
ピンが近いときはクロスハンドで打ちます
アプローチは振り幅が小さいときほどきれいに打つのが難しい。そんなときはクロスハンドグリップで持ち、パターのように振るとミスが出なくてそこそこ寄る
月刊ゴルフダイジェスト2024年12月号より