【通勤GD】芹澤信雄「1番ホールの木の下で…」Vol.35 「りきみ」はゴルフいちばんの敵 ゴルフダイジェストWEB
「飛ばそう」という意識からうまれる「りきみ」ほど、スウィングに悪影響を与えるものはない。百害あって一利なしの力みを抑える方法とは?
【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
芹澤信雄プロ
1959年生まれ。ジャンボ尾崎に「世界一パーパットが上手い」と評されたパットの名手。1987~2000年にツアー5勝。その後シニア1勝。飛距離優先時代をショットの質で生き抜く。チーム芹澤ゴルフアカデミー主宰。
上体や腕の力みはスピードダウンの元
飛距離を出したいと思ったら、クラブを速く振らなければなりませんから、人間の心理として、それを持っている手を速く、強く振ろうとするのはある意味自然なことです。
でもそこには大きな誤解があって、ゴルフクラブのように長くてやわらかいシャフトの先端に重いヘッドが付いている道具を速く振るためには、手を速く振ろうとするのは効率が悪いのです。
ゴルフクラブは、棒ではなくて鞭のような道具だと考えてください。力みが抜けず、手を振り回してしまう人の多くは、この感覚を理解できていないのです。
ではゴルフの飛ばしのパワーはどうやって生むのかといえば、体の捻転を使うのが一番効率がいい方法です。プロペラ式のおもちゃの飛行機をご存知ですか?
プロペラの根元に長いゴムひもが付いていて、プロペラをぐりぐりと回してゴムをねじり、それが戻る力でプロペラが高速回転して飛ぶ仕組みです。ゴルフスウィングも同様に、テークバックでねじれた体が、ダウンスウィングでねじり戻ることで生まれるパワーを使って振ることが大事なのです。
ところが、腕や手に力が入ってしまうのは、プロペラ部分を直接指でつまんで回そうとしているようのもので、せっかくのゴムの反発力を防げてしまうだけです。腕というのは、その捻転動作の中でクラブが正しく動くように保持してあげるのがよく、余分な力は極力入れないほうが効率がいいのです。
しかしこういう感覚というのは、ある種のコツと、成功体験がなければなかなか身につかないものです。ゴルフスウィングとは、得てして「軽く振った“ほうが”飛ぶ」ものです。
アイアンで刻もうとするときなどによくあるのですが、フルショットせずに軽く振ったら思ったよりも飛んでしまってラフまで行っちゃった、というケース。
これは、「軽く振った“のに”飛んじゃった」のです。これを、ドライバーでも経験して、体で理解してほしいのです。この感覚がわかると、「グリップはゆるく持て」とか「下半身リードでスウィングしろ」などという多くのレッスン用語にも、心底合点がいくようになるはずですよ。
【通勤GD・今日のポイント】腕の力を抜くには下半身を使うこと
【ポイント①】ねじったものが下からねじり戻る
テークバックでは、スタンスの向きが変わらないまま、腰は45度程度、肩は90度程度回り、体がねじれる。これがねじれ戻るパワーを使うのが飛ばしの秘訣。上体に力が入るとスムーズなねじり戻りを邪魔してスピードを損なう。
【ポイント②】ストッパーが効いていればヘッドが走る
ねじり戻ってきた体の回転を、インパクト直前に左サイドの「カベ」で少しブレーキをかけてやることで、回転の外周部分にある腕やクラブヘッドが遠心力で一気に加速する。これには、腕が脱力していることが絶対的な条件だ。
月刊GDより