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【ゴルフの急所】Vol.44「下半身からの切り返しは、意識して作る動きではありません」

30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/美奈木GC

前回のお話はこちら


よく、「下半身から切り返せ」「下半身リードで下ろせ」などと言いますが、下半身主導で切り返そうとしても上体が先に動いて、クラブが外から下りてしまいます。下半身主導で切り返すためのアドバイスをお願いします(吉田進さん・51歳・HC20)


たとえば、ボクの場合、バックスウィングで左肩があごの下に入ったら、下半身はダウンスウィング方向にスタートします(上半身がバックスウィング方向に動いているうちに、下半身がダウンスウィング方向に動き始める)。その結果、上半身と下半身にわずかなタイムラグが生まれ、それが体のタメ(捻転差)となってスピードとパワーを生み出すのです。

野球をやっていた人であればわかると思うのですが、球を投げるときにも、打つときにも、必ずこのタメを作る動きがあります。おそらくこれが、質問をいただいた方の求める「下半身からの切り返し」だと思われます。


問題は、ボクのように子供の頃から野球をやってきた人間には自然な動きでも、未経験の人がその感覚をつかむのは大変な作業だということです。さらに、よほど体が柔らかい人でない限り、目に見えるほど下半身を先行させて切り返すのは難しいということも理解してください。

正直、この動きができなくても、70台のスコアを出すことは可能です。ですから、単純にスコアを求めるのであれば、今までやってきたスウィングのまま、ショートゲームやマネジメントを磨くことをおすすめしたいと思います。

とはいえ、どんな道を選んで、どの道に進むかは、それぞれのプレーヤーの自由です。遠回りをしてでも新しい世界にチャレンジするというのであれば、それは応援したいとボクは思います。

では、どうしたら下半身から切り返す動きに近づけるのか。

やってもらいたいのは、いつもより手をインサイドに下ろす練習です。通常、トップからダウンスウィングにかけて、手はほぼ真下に下ろすのですが、それをもっとインサイドに下ろすのです。この動きは、下半身を止めたままではできません。それを行おうとすることで、自然に下半身が動くようになるのです。球を打つときは5Wを使い、なるべくティーを高くして、右に打ち出して左に曲がるフックを打つようにします、そうすることで、この練習の効果はより高くなるでしょう。

最後に。下半身主導の動きを目指すのも、目指さないのもプレーヤーの自由。ただ、人間というのは、できていたものを完全に捨て去ることができない生き物です。今までやってきた動きを捨て、新しい動きに生まれ変わるのは、経験の長いプレーヤーほど難しい。ですから、できない動きを無理に身につけようとするのではなく、今までのスウィングでやっていくという選択は決して悪くないとボクは考えます。

プロがやっているからといって、みんながマネをする必要はありません。大事なのは、自分にとって気持ちよく打てる技術を身につけること。それこそが、上達への最短ルートだとボクは思うのです。

上半身=バックスウィングの動き
下半身=ダウンスウィングの動き

Drill
ハイティーでフックを打つ

クラブをインサイドから下ろすほど、下半身から動きやすくなる。練習をするときには、5Wで、一番高いティーを使い、右に打ち出して左に戻るフックを目標にする

トップからボールに向かって、ヘッドをぶつけにいくと、下半身が止まり、クラブが外から下りてしまうので注意

Point
手をインサイドに下ろす

通常は、トップから手はほぼ真下に下ろすが、下半身から切り返す動きを身につけるときには、手をもっとインサイドに下ろす。胸を目標の反対方向に向けたまま、手をお尻のほうに下ろしていく感じだ

月刊ゴルフダイジェスト2024年11月号より

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