Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • 【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.16 夏ラフ対策はティーアップして練習しよう

【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.16 夏ラフ対策はティーアップして練習しよう

アプローチレッスンで、スポンジのごとく青木メソッドを吸収していく谷繁元信。ベストスコア67の上級者にして、まだまだ吸収しようとする気概に驚くスタッフに谷繁は「このレッスンの様子、外に出さないで。だって、ほかのライバルに見られるじゃん」という、まさかの“わがまま”発動。しかし、許せ、谷繁、このレッスンは読者、視聴者に大公開されているのだ……。

PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/立野クラシックGC

谷繁元信 1970年広島県生まれ。88年ドラフト1位で横浜大洋ホエールズ入団。02年中日ドラゴンズに移籍。14、15年はプレーイングマネジャー、16年は専任監督。通算3021試合出場は日本記録、捕手として2963試合出場は世界記録。ベストスコア67
青木翔 1983年福岡県生まれ。2017年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長

前回のお話はこちら

いい音がしたら
ナイスアプローチ

青木 引き続きアプローチレッスンですが、前回のレッスンでさらにコツをつかんだようですね。

谷繁 ハンドレイトに構えているつもりが、ハンドファーストになっていたなんて。もともと、ハンドファースト気味に構えるほうだからレイト気味にしたつもりでもまだハンドファーストだった。指摘されるまで全然気付きませんでした。

青木 ハンドファーストで構えて、さらに打ち上げようとするから慣れないインサイドアウトの動きが入ってしまい、ミスがちょこちょこ出ていましたね。でも、それに気付いてからの修正は早かったですね。

谷繁 でしょう(笑)。ウェッジらしい、すごくいい音がし出したよね。

青木 そうそう。そして谷繁さんはよく「音」の話をしますよね。

谷繁 野球でもそうでした。打球音でわかるんですよ。特にキャッチャーとして球を受けていた際、バッターが一見いい当たりをして観客が「ホームランか」とウォーッと沸いているときでも、僕は「あ、入らない」というのは音でわかっていました。「詰まったな」とか「バットの先だ」とか。

青木 そんなもんですか。

谷繁 ホームランのときは、快音だもんね。でも、たまにこすり気味なのにパワーでスタンドに持って行かれることがあって。そんな時は唖然としていました。


青木 アプローチレッスンで「フェースを思い切り開く」とか「ハンドレイト気味に構える」ができていないときは、「バフォッ」とか「ドサッ」みたいな、変な音がしていましたよね(笑)。

谷繁 確かに(笑)。いや、だから「音」って野球でもゴルフでも大切なのよ。コロナ禍でプロ野球が無観客だったとき、打球音や捕球音、選手の息遣いまで聞こえて、あれはある意味野球の醍醐味だった。ゴルフでもプロの打球音を聞くと、ほんとすごいよね。

青木 そうそう。男子プロの音なんてほんと迫力ありますよね。

谷繁 僕も、常にいい音、本番は特にいい音でプレーしたい。

浮いているのか
沈んでいるのか

青木 天王山の関東ミッドは予選が8月19日です。まさに夏ラフの時期ですね。

谷繁 そう、アプローチがやっかいな時期。引き出しの多さが試されますよね。

青木 日本の芝はほとんどが浮き芝だと考えていいです。沈んでいるように見えて実は浮いている状況。その対策が練習場でできます。

谷繁 ほう。

青木 ボールを低いティーに乗せて打つんです。これで、52度、58度の2本で同じ距離を打つ練習をしましょう。本番を想定して、しんどいパーパットを残さないための引き出しを作ります。

谷繁 競技でもよくある受けグリーンが2段になっていて、ピンは上段に切ってある。ボールはファーストカット(セミラフ)の辺りにある、みたいなシチュエーション。長いパットを残しちゃうとダメージが蓄積されちゃうよね。

青木 はい、そこで寄せるバリエーションを増やします。52度と58度両方で同じ距離を打てるよう練習してみましょう。

谷繁 まず58度でやってみた。やや吊り気味に構えて打って、悪くはなかったんだけど、途中、また「ボコン」みたいな悪い音がした。

青木 明らかに溝より上に当たった音でした。

谷繁 それを52度に替えて同じように打ってみたら、こちらのほうがやりやすい感じがしました。

青木 58度がなぜ難しいかというと、ロフトが寝るほど芯から(打点が)離れるからです。ロフトが立つほど芯が近づくでしょう。僕はセッティングに(52度ではなく)54度を入れることが多いんですけど、この時期の浮いているライではほとんど54度を使います。くぐるミスが出にくいので。

谷繁 そういうことね。その後、52度で球をやや左に置いて打ったら、ゆっくり飛んだよね。

青木 そう、打ち方を変えずに違う球が出せました。これを覚えておいて使い分けるんです。

谷繁 じゃあ、もう少し転がし上げたいというときは……?

青木 ボール位置はかなり右に。で、すごーく重要なのは吊って構えること。手をギューッと下に下げるハンドダウンは絶対ダメ。リーディングエッジが刺さってしまいます。

谷繁 おー、なるほど。右に置けば置くほど吊らなきゃいけないのね。実際に打ってみたけど、いい音でいい球が出ました。「芯の近さ」とか聞いたことのないフレーズだったけど、納得できたし、いい感じになってきました。

青木 では、コースで実践してみましょう。

谷繁の最新セッティングではアプローチは46度、52度、58度。「これがハマっていると思う」と谷繁。関東ミッドもこのままか!?

週刊ゴルフダイジェスト2024年8月6日号より

CS放送のGAORAでは「谷繁元信×青木翔の勝つゴルフノート」がオンエア中