【イザワの法則】Vol.47 “スコアの夏バテ”を防ぐにはウォーキングが重要です
「上がり3ホール」で息切れしてしまうことはよくあるが、暑い時期のゴルフならなおさら。18番のホールアウトまで集中力を保つには、どんな準備が必要で、どんな心構えでプレーすればいいのだろうか?
TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)
思うように足が動かないのは
暑さによる疲労の兆候
夏のゴルフは、何よりもまず熱中症対策が重要です。寝不足やアルコールの取りすぎはもってのほか。ラウンド中はこまめな水分補給を心がけつつ、可能な限り日陰に入るとか、体温を上げない工夫が必要です。最近は氷のうを持参して、首筋などを冷やしながらプレーするアマチュアをよく見かけます。私も夏場の練習ラウンドで使ってみたことがありますが、手っ取り早く体を冷やすのにはとても有効だと感じました。ただ、最近の夏の暑さは尋常じゃないので、ほんの数ホールで氷が解けてしまうのが難点ですが……。
たとえ熱中症にならなかったとしても、暑さというのは集中力と体力を想像以上に奪います。涼しいときのラウンドに比べて、とくに後半の疲労感というのは何倍にも感じることが多いのではないでしょうか。疲労がたまってくると、ほとんどの場合、それが「足」にきます。要するに下半身の土台が揺らいで、ダフリ、トップはもちろん、右にも左にもミスが出るようになるということです。これは技術の問題というより体力の問題ですので、そういうミスが出始めたなと思ったら、100パーセントのスウィングをしようとせずに、そのときの足の疲労度に応じてコンパクトなスウィングを心がけてください。
普段から歩くことで
ラウンド終盤の疲労を軽減できる
プロのトーナメントでも、やっぱり暑さから疲労がたまってくると、足が動かなくなって飛距離が落ちたりすることはよくあります。一緒に回っているプロが、午前中に比べて少し飛んでないというときは、顔を見るとやっぱり疲れた表情になっていることが多いです。もちろんプロですから、そういう状態でも技術的に破綻することはないですが、自分が思った通りの球が出にくくはなるので、多少、自分にムチを入れるというか、気持ちの立て直しは必要になります。
といっても普段と違うことをするというのではなく、むしろ普段からやってきたことを「しっかりやる」というふうに、改めて気持ちを入れる感じでしょうか。よく「気合いを入れる」と言いますが、そうするとアマチュアの場合、上体に力を入れてしまうことが多いようです。そもそも疲労で足がふらついているのに、上体だけ力を入れて振ろうとしても、いい結果は望めません。あくまで、なるべく普段通りにやれるように、気持ちを整えるという感覚がいいかもしれません。
それと、大事な上がりの3ホールまでしっかり集中力を持続させるには、やはりある程度足腰を鍛えておく必要があります。たとえば、1日30分程度のウォーキングを、週に3、4日のペースで続けると、夏場でも後半にバテにくくなります。続けて30分が無理なら、15分を2回とか、10分を3回というふうに分けて行っても大丈夫です。一番大事なのは「継続する」ということなので、自分なりに継続しやすいやり方を考えてみるといいでしょう。上がりのホールでも足が動くようになると、格段にミスは減りますし、真夏の「ベストスコア更新」も夢じゃなくなると思いますよ。
「継続は力なり!
日常のウォーキングが
バテない強さを生む」
気合いを入れても力まない!
ラウンド後半に足が踏ん張れなくなるのは、足そのものの疲労はもちろんだが、暑さで脳が疲れて、足に意識を向けづらくなることも大きい。ラウンド後半に球がぶれてきたと感じたら、下半身をしっかり使う意識を普段より強く持ってスウィングすることが大事
伊澤利光
1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中
月刊ゴルフダイジェスト2024年10月号より