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【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.136 上がらなくて当たり前! 3Wは“転がし”専用クラブ

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!

ILLUST/Masaaki Takauji

前回のお話はこちら

男子のトーナメントは距離がどんどん伸びている。パー5では600Y近いホールも珍しくない。2オンが難しい場合は、得意距離を残すというのがセオリーだが、手前に池があったりして、それも難しいときがある。

そんなとき、男子プロだと直ドラを選択する人がいる。石川遼プロなんて、よくやるよね。微妙な場所に刻むなら、できるだけグリーン近くに運ぶ、という戦略なのだろう。

「直ドラ」ってネーミングも響きもいいし、エンターテインメント性があって、見ていて楽しい。

でも、間違っても真似してはいけない。プロゴルファーのスウィングや技を参考にするのは、ぜんぜん悪いことではないけど、こればっかりはアカン。

だって、1Wはティアップして打つことを前提に設計してあるのだがら、どう考えても“直”は無理があろう。僕らがフェアウェイから少しでも遠くに運びたいなら、やっぱり3Wが一番である。

でも、どういうわけか3Wって苦手な人が多い。大抵の人が「当たらない」「球が上がらない」と口を揃える。そりゃ、そうだ。だって、そういうクラブだもん。「球が上がらない」と嘆く人は、もしかして、球を上げようと思ってない?

だとしたら、スウィングをいじらなくても、その考え方を変えるだけで、めちゃくちゃ3Wが使えるようになる。

3Wはそもそも、球が上がるクラブではない。だって、3Wのロフト角は15度とか16度でしょ。

地面から打ったら、そもそも球なんか上がらんのよ。だから ボクは、はなから3Wはゴロゴロゴロ~っと転がして距離を稼ぐクラブ、そう思っている。『転がし専用』そう割り切ると、実に便利なクラブである。だって、ナイスショットしなくたっていいんだから。フェースを開くとか閉じるとか、そんなこと考えなくても、普通に当たれば、そこそこ転がる。

3Wは、そもそも球が上がらないクラブ、ということを認識しよう。「転がして飛距離を稼ぐ」気持ちを持てれば、リラックスして簡単に打てる

セカンドで一番やりたいこと。それはグリーン、もしくはグリーン近くまで安全に球を運ぶことである。球を上げることではない。だから、ゴロで正解なのだ。そう思えれば、こっちのもの。3Wが途端に簡単になる。うちの母親なんて、わざわざロフト13度のウッドを入れているくらい。フェアウェイからゴロを打つためだけに。

ゴロといっても、ちゃんと当たれば、少しは球が浮くはずだから、少しくらいのラフなら使えるしね。

池越えやバンカー越えで球を上げたいときは、7Wとか9Wを使えばいい。距離は出ないけど、しょうがない。球も上がって、距離も稼げて……なんていうのはプロだけ。

普通は、二兎を追うものは一兎をも得ずなのだ。

これから、だんだん寒くなって芝が枯れてくる。まさに今こそ3W、「転がし専用クラブ」の出番である。

さあ、みんなで転がそ!


全員がチャンピオン! 二宮家

(左から)●慎堂(ボク)1983年生まれ。13、15年四国アマ優勝。HC+2。ベストスコア59 ●英二(父)1958年生まれ。90、95年四国アマ優勝。HC0。練習場経営 ●薫(母)1960年生まれ。94~97、01、03年四国女子アマ優勝。HC2。主婦 ●歌奈子(妹)1985年生まれ。07年四国女子アマ優勝。HC5

週刊ゴルフダイジェスト2019年12月17日号より