【古江彩佳の強さを解く】<アイアン&パット編>自分で返さない。勝手に返るだけ
古江彩佳をジュニア時代から見てきたナショナルチームのコーチ、岩本砂織プロに、古江の強さの秘密を聞いた。後編では、正確無比なアイアンショットとパッティングを支える技術に迫る。
PHOTO/Yasuhiro JJ Tanabe、Blue Sky Photos、Hiroyuki Okazawa、Hiroshi Yatabe、Getty Images THANKS/Loun9ine神宮前店
解説/岩本砂織
いわもと・さおり。ナショナルチームのテクニカルコーチ。古江が高校1年からずっと指導しており、現在も古江のショットデータを基にアドバイスを送り続ける。JLPGAティーチングプロA級の資格を持ち、横浜のSALTO GOLFを中心に、レッスン活動も行っている
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- 7月のエビアン選手権でメジャーを制した古江彩佳。ジュニア時代から見てきたナショナルチームのコーチ、岩本砂織プロに、古江の強さの秘密を聞いた。 PHOTO/Yasuhiro JJ Tanabe、Blue Sky Photos、Hiroyuki Okazawa、Hiroshi Yatabe、Getty Images THANKS/Loun9ine神宮前店 エビアン選手権の最終日、……
左サイドの使い方が
バツグンに上手い
――エビアン選手権の最終18番のセカンドも見事でした。
岩本 そうですね。古江プロのアイアンショットを見ていて感じるのは、左サイドの使い方の上手さです。
――具体的に言うと?
岩本 腰の動きを止めて、左の壁ができて、腕が振られていくわけですが、ビジネスゾーンで左腕は下向きに押していく感覚が必要です。
――下向きに押す?
岩本 そうです。下向きに押すことで、胸と手元の位置関係がキープできるんです。
――手が体の正面にある状態を保つということですね?
岩本 インパクトやフォローで左ひじを引くと、体と手元の距離が変わるため、スウィングを調整しないと正確にヒットできません。古江プロにはそういうムダな動きがなく、シンプルで再現性の高いスウ
ィングが完成しているんです。
Point
左腕を下向きに“押す”ことでフェースが自然に返っていく
古江彩佳のアイアンスウィング
これがホントの
振り子式ストローク!
――エビアン選手権の最終日は、まるでパットの神様が降りてきた感じでしたが、古江プロのパットは、打ち終わった後、ヘッドが戻ってくるんですよね。とくにショートパットは、まさに振り子のように振り戻ってくることがあります。
岩本 それは、上半身を完全に脱力できている証拠ですね。そのためグリップもとてもソフトに握っているはずです。
――たとえばタイガーのように、フォローでヘッドを止める選手はブレードタイプを使うイメージですが、古江プロはスパイダーですね。
岩本 ネオマレットは重心深度が深いので、ヘッドの重さを利用して、振り子式にストロークする古江プロには合っていると思います。外から見ているとわからないかもしれませんが、体の重心をごくわずかに上下させることでパターを振っているはずです。
Point
体の重心を上下させて振り子式に振る
腕を使わないから
正確に振れる
――一般ゴルファーが古江プロのようなスウィングに近づく練習法はありませんか。
岩本 古江プロは下半身と上半身を連動させるのが上手いんです。左右の足を踏むことで下半身を動かして、上半身が何かをしようとはしていません。メディシンボールのような重いものを振ると、体全体を使ってスウィングする感覚が少しずつわかってきます。
Drill
メディシンボールで体全体を使う感覚を養う
「腕の力を使わない古江選手のスウィングに近づくには、メディシンボールを振ったり投げたりする練習がおすすめです。球を打つ練習の前と後にやると、体を使ってスウィングする感覚が少しずつわかってきます」(岩本)
週刊ゴルフダイジェスト2024年8月20・27日合併号より