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【古江彩佳の強さを解く】<アイアン&パット編>自分で返さない。勝手に返るだけ

古江彩佳をジュニア時代から見てきたナショナルチームのコーチ、岩本砂織プロに、古江の強さの秘密を聞いた。後編では、正確無比なアイアンショットとパッティングを支える技術に迫る。

PHOTO/Yasuhiro JJ Tanabe、Blue Sky Photos、Hiroyuki Okazawa、Hiroshi Yatabe、Getty Images THANKS/Loun9ine神宮前店

エビアン選手権最終日の18番パー5、ピンまで180ヤード地点から放たれた第2打は、手前の池をクリアしてピン横にオン。この一打が逆転優勝の決め手になった

解説/岩本砂織

いわもと・さおり。ナショナルチームのテクニカルコーチ。古江が高校1年からずっと指導しており、現在も古江のショットデータを基にアドバイスを送り続ける。JLPGAティーチングプロA級の資格を持ち、横浜のSALTO GOLFを中心に、レッスン活動も行っている

>>前編はこちら

左サイドの使い方が
バツグンに上手い

――エビアン選手権の最終18番のセカンドも見事でした。

岩本 そうですね。古江プロのアイアンショットを見ていて感じるのは、左サイドの使い方の上手さです。

――具体的に言うと?

岩本 腰の動きを止めて、左の壁ができて、腕が振られていくわけですが、ビジネスゾーンで左腕は下向きに押していく感覚が必要です。

――下向きに押す?

岩本 そうです。下向きに押すことで、胸と手元の位置関係がキープできるんです。

――手が体の正面にある状態を保つということですね?

岩本 インパクトやフォローで左ひじを引くと、体と手元の距離が変わるため、スウィングを調整しないと正確にヒットできません。古江プロにはそういうムダな動きがなく、シンプルで再現性の高いスウ
ィングが完成しているんです。


Point
左腕を下向きに“押す”ことでフェースが自然に返っていく

「注目は左腕の使い方です。上の写真では左腕にずっと下向きに押さえる力が働いています。スウィングはテコの原理ですから、この左手の動きによって、胸と手元の位置関係を完璧にキープしたまま、フェースが自然にターンしていきます」(岩本)

古江彩佳のアイアンスウィング

これがホントの
振り子式ストローク!

――エビアン選手権の最終日は、まるでパットの神様が降りてきた感じでしたが、古江プロのパットは、打ち終わった後、ヘッドが戻ってくるんですよね。とくにショートパットは、まさに振り子のように振り戻ってくることがあります。

岩本 それは、上半身を完全に脱力できている証拠ですね。そのためグリップもとてもソフトに握っているはずです。

――たとえばタイガーのように、フォローでヘッドを止める選手はブレードタイプを使うイメージですが、古江プロはスパイダーですね。

岩本 ネオマレットは重心深度が深いので、ヘッドの重さを利用して、振り子式にストロークする古江プロには合っていると思います。外から見ているとわからないかもしれませんが、体の重心をごくわずかに上下させることでパターを振っているはずです。

Point
体の重心を上下させて振り子式に振る

「古江プロは、ショットだけでなく、パッティングも体の重心をわずかに上下させて反動を使っていると思います。そのため、両腕とも脱力して、グリップをソフトに握っています。とくにショートパットでは、本物の振り子のようにヘッドが自然に戻ってくることがあるようで、これは、完全に脱力できている証拠ですね」(岩本)

腕を使わないから
正確に振れる

――一般ゴルファーが古江プロのようなスウィングに近づく練習法はありませんか。

岩本 古江プロは下半身と上半身を連動させるのが上手いんです。左右の足を踏むことで下半身を動かして、上半身が何かをしようとはしていません。メディシンボールのような重いものを振ると、体全体を使ってスウィングする感覚が少しずつわかってきます。

Drill
メディシンボールで体全体を使う感覚を養う

「腕の力を使わない古江選手のスウィングに近づくには、メディシンボールを振ったり投げたりする練習がおすすめです。球を打つ練習の前と後にやると、体を使ってスウィングする感覚が少しずつわかってきます」(岩本)

週刊ゴルフダイジェスト2024年8月20・27日合併号より