Myゴルフダイジェスト

  • ホーム
  • レッスン
  • スピンアプローチをマスター!<前編>“振っても飛ばない”打ち方を覚えよう

スピンアプローチをマスター!<前編>“振っても飛ばない”打ち方を覚えよう

スピンの利いたアプローチは、上級者向けの技かと思いきや、「意外と難しくない」と小暮博則プロは言う。覚えておくとより攻め方の幅が広がるスピンアプローチのコツを教えてもらおう。

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/久邇CC

解説/小暮博則

こぐれ・ひろのり。タイガーのショートゲームコーチだったStan Utley氏に師事し、世界水準の理論を習得。帰国後は企業ゴルフ部のコーチなど、アマチュア指導にも精力的。PFGA代表

>>後編はこちら

クッションを使えないときこそ
スピンの出番!

「前提として最もリスクが低いのは転がし。スピンアプローチはステップアップの技です」

冒頭からスピンアプローチの位置付けを力説する小暮。ということは全部転がしで……?

「ひと昔前であれば、それでスコアは出たかもしれません。でも最近、グリーン自慢のゴルフ場が多いですよね。メジャー大会のような速さや硬さのグリーンを売りにしたコースは珍しくなく、さらに砲台も多い。そこでスコアアップを目指すのに、ぜひトライしたい技なのです」

さらに、これからの時季に特有の問題もあると小暮は言う。

「ツアーが開催されるコースはグリーン周りまで締まっていることから、手前でクッションを入れる計算もできますが、一般的なコースはグリーン周りが軟らかいことのほうが多く、雨がさらにそれを助長します。一方でグリーン面は水はけが良く、グリーン上だけは締まっているというケースも少なくありません。だからこそグリーン面に落とし、球を止める技術が必要となるわけです」

砲台グリーンで、エッジまで20ヤード、エッジからピンまで1ピン強という状況。ここは転がしたいが、雨の季節はキックが予想しづらい。「この場合、グリーン面に落としてスピンで止めるのが一番安定します」

雨だけじゃない!
スピンアプローチが効果的な状況

高速グリーンや複雑な形状をしたグリーンを持つゴルフ場が増えてきている昨今、スピンアプローチが必要とされる状況は意外と多い。特に左の3つはスピンで転がりを抑え、惰性で寄せたい状況だ。「単純なラインや上り傾斜は転がすほうが安全です」

しっかり振って
“飛ばさない”

スピンアプローチは簡単に身に付けられる技ではないが、「3つのステップさえきちっと踏めば、そう難しくありません」と小暮。

「まずスピン量を増やすには、しっかりとヘッドを走らせることが不可欠です。『これじゃ飛びすぎる』と思うかもしれませんが、“振って飛ばさない”のが本質。フェースを開いて構え、ロフトを立てて当てすぎないことで飛距離は抑えられます。イン・トゥ・イン軌道で長く球を押すことも大事ですね」

ただし、手先で速く振ろうとすると打点は安定しない。あくまでも、わきを締めて体重移動を抑え、体の回転だけでヘッドを速く動かすことが重要だ。

「慣れないうちは左足体重で右かかとを浮かし、体を回してください。だんだん体の回転で振る感覚がつかめるはずです」

アドレス
左足体重で右かかとを上げる

回転をスムーズに行うために、左足体重で右かかとを上げてアドレスする。ボールは普段より少し右に置きつつ、フェースを開くことで「飛ばない構え」を作ることも大事だ

バックスウィング
体の回転主体で体重は左に乗る

左足体重のままテークバック。このとき両わきを締めることで、クラブがねじれず自然とインに上がる。アウトサイドに上げるとその後の動きが複雑になるので注意

インパクト
ハンドレイト気味でOK

ハンドファーストでインパクトすると、ロフトが立ってしまうため球が前に行く力が強くなる。「スピンをかけたいときはハンドレイトくらいが良いです」

フォロー
手の位置は低く、インに振り抜く

手が高いフォローはアッパー軌道で振っている証拠。「これではスピンがかかりません。また、左ひじを抜くとヘッドが走らないことから、こちらも×です」

>>後編へ続く

週刊ゴルフダイジェスト2024年7月2日号より