トップアマに聞くティーショットの知恵とワザ<後編>「“ティーアップする場所”にこだわろう」
ドライバーを握ると、つい飛ばしたくなってしまうが、2人のベテラントップアマに話を聞くと、飛距離よりも大切なことがあるという。後編では、トップアマの富田雅之さんに、ティーショットで大切にしていることを聞いてみた。
PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/麻倉GC
※アマチュアのみなさんにはボランティアとしてご協力いただきました
富田雅之さん(59歳・HC2)
平均220ヤード前後の飛距離ながら、持ち前の勝負強いゴルフでトップ競技のコースセッティングを攻略する。使用ドライバーは「狙った方向に打っていける」というテーラーメイド「ステルス2」、シャフトはN.S.プロ Regio Formula M+55(S)
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- ドライバーを握ると、つい飛ばしたくなってしまうが、2人のベテラントップアマに話を聞くと、飛距離よりも大切なことがあるという。まずは、トップアマの関澤誠さんに、ティーショットで大切にしていることを聞いてみた。 PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/嵐山CC※アマチュアのみなさんにはボランティアとしてご協力いただきました 1. OKゾーンを決める ……
ティーアップする
場所が重要
もう一人のベテラントップアマ、富田雅之さんはこう語る。
「ティーショットは“立ち位置”でほぼ決まると思っています。ホールロケーションやその人の持ち球に合ったベストなポジションが必ずあります。立ち位置を間違えると、違和感があって、いつものスウィングができなくなったり、いいショットをしたのにOBへ行ったりしてしまうんです。
たとえば、上の写真の麻倉GCの1番ホール。左はOBでバンカーがあるのですが、ティーイングエリアの左側にティーアップして、右方向を狙っていくと、かなり右方向に飛び出していくことが多い、だから私にとってのティーアップの“ベスポジ”は右側。ここからフェアウェイの上にボールを運んでいくイメージですね。ティーイングエリアはコースのなかで唯一ボールを自由にセットできるところ。『ただなんとなく』でティーアップするのではなく、頭を使えば誰でも『打つ前のミス』は避けられると思います」
「球筋イメージが決まったら出球だけを意識します」
「構えたら、出球だけを意識。『左へ行かせたくない』なんて余計なことを考えると、フェースが開いて、右にすっ飛んでいくようなミスになりやすいです」
富田さんの“立ち位置”をCHECK!
No.10/445Y/Par4
やや打ち下ろし、ストレート長めのパー4。「右のバンカーを避けてフェアウェイを広く使いたいので、右にティーアップ」
No.12/406Y/Par4
ほぼフラットな右ドッグレッグのパー4。「左のバンカー方向を狙っていくイメージで右側にティーアップします」
No.14/417Y/Par4
軽い右ドッグレッグのパー4。「右のOBを考慮して、ティーイングエリアの右側に立ち、左方向を狙います」
No.15/439Y/Par4
フラットでやや右ドッグレッグの長いパー4。「左がOB。右側に立ってグリーン奥の小さい山と山の間を狙います」
No.16/410Y/Par4
やや打ち下ろしの左ドッグレッグのパー4。「左に見えるバンカーの右サイドのフェアウェイが狙いどころ。やや右にティーアップ」
No.18/541Y/Par5
「第2打のことを考えて、左に立って、右の林スレスレを狙っていきます。右サイドに行けば、次のショットが打ちやすくなるんです」
狙ったところに行かなくても心を乱さない!
15番のティーショットが右の林に行った富田さん。「3打目が打ちやすいところに出せるから全然大丈夫です。林に入って、慌てたり、心を乱すほうが、プレーの流れが悪くなります」
狙ったエリアに
落とすことが最重要
「やはりティーショットで大切なのは、コースマネジメントから考えた狙いどころ。次のショットをどうしたいのか、で狙いどころは決まってくる。そのためにティーイングエリアでは、“立ち位置”が大切になってくるわけです。
もちろん、アマチュアですから、すべて上手くいくとは限らない。ただ、上手くいく、いかないは別として、そこに頭を使うのが、“飛ばし”よりも大切なことだと思います。
2打目、3打目でグリーンを狙うように、ドライバーショットもエリアをイメージしたいですね。飛距離が250ヤードの人も230ヤードの人も、180ヤードの人もその人なりの飛距離に応じた狙うエリアを常に考えることが大事だと思います。
ティーショットはそのホールのマネジメントの“序章”。そこでエネルギーを使い切ってはいけないんです」(富田)
富田さんの攻め方をプレイバック!
No.11/551Y/Par5
「バンカーを考慮しながら、どこにボールを運ぶか考えます」
いつもフルバックのティーから回る富田さん。551Yのパー5のプレーから、本当の“ティーショットの大事”が見えてきた!
【第1打】1W/210Y
狙い通りにバンカー手前のフェアウェイ右サイドに
「飛ばす人は左から2~3番目のバンカー越えを狙いますが、私は立ち位置を左にして、右バンカーの手前狙いです」
【第2打】3U/190Y
3Uで残り150Y付近に打っていく
ティーショットは狙いどおり。つま先上がりにならないライからの2打目。「3Uで残り150ヤード付近を狙いました」
【第3打】6I/149Y
6Iで大きめに。グリーンやや奥にこぼれる
フェアウェイ左サイドからの3打目。「2段グリーンでピンは奥。7番と迷いましたが、奥にこぼれてもいいという気持ちで、大きめの6番で打ちました」
【第4打】56度/8Y
寄せやすいところへ外したらチップイン!
56度で足を使ったアプローチでグリーン奥からチップインのバーディ! 「マネジメントの勝利です(笑)」
「コースではしっかり振り切ることを心掛けます」
「コースに出たら、あれこれスウィングのことを考えないようにしています。どっしりしたアドレスで、バランスよくクラブを振っていければいい。ただ、どうしてもボールに当てに行く意識が強くなるので、しっかり振り切ることを心掛けています」
週刊ゴルフダイジェスト2024年6月4日号より