【通勤GD】高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.39 「気分は30センチオーバー」ゴルフダイジェストWEB
「返しのパッティングがしびれるのは、“あかん”という気持ちが原因だ」。今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第三十九話。
【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【ゴルフ芸人 高松志門】
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
【志門流一番弟子 奥田靖己】
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。
高松 時々質問されるんやけど、パッティングが同じ外れるのでも、ショートしたほうがいいのか、オーバーしたほうがいいのかと聞かれるんよ。
奥田 うーん。それは同じとしか答えようがないですよね。
高松 そやな。パッティングは入るか、入らないか、0か100かやから、外れたという意味では変わりない。
奥田 たぶんそうやって聞く人は、その次のパッティングはどっちが入りやすいですか、ということを知りたいんでしょうね。要は3パットしない確率が高いのはどっちかということを。
高松 そんなもんどっちでも同じやろ。外す人は外すし、外さん人は外さん。それだけのことや。
奥田 ただ強いプレーヤーでパッティングがつねにショートという人はあんまりおらんというのは事実ですね。
高松 強いプレーヤーほどポコン! と入れてくるわな。昔、自分のパッティングがおかしくなったときは、テレビでそういう場面を見ただけでドキッとしとったもん。自分が全然打てへんのに、平気でボコボコ! くるやろ。
奥田 そういえば、以前、伊澤利光プロがトーナメントでジャンボのバッグを担いだ時、ジャンボのパッティングが1メートルくらいオーバーしたらしいんですわ。それを見て伊澤プロは「ちょっと打ちすぎた」と思ったんでしょうね。またその返しのラインをしゃがんで読み始めたらしいです。そしたらジャンボさんに「お前、なにやってるんだ。こんなもんは入るに決まってんだよ!」って怒られて、それでジャンボさんは素振りもせんと、パッと構えてボコン! と入れたらしいですわ。
「あかん、行ってもうた」と思ったら、返しは入らない
高松 ジャンボなんか1メートルオーバーしても自分の頭の中で「打ちすぎた」という感覚は絶対ないやろな。そやから返しのパッティングも絶対しびれないし、外さない。
奥田 「あかん、行ってもうた」では、入るものも入らへん。パッティングでしびれたら終わりですからね。
高松 そら、1メートルでしびれんかったら強いよ。残り1メートルが普通の人間の30センチくらいの感覚でパッティングできるんやからな。だいたい賞金王を獲るようなプロの距離感は、そういうもんやと思うで。
奥田 つまり、最初のアマチュアの話でも、ショートがええのか、オーバーがええのかというより、距離感が合わなかったときに、「あかん」という気持ちを持たない方がええということですね。
高松 そうそう。「あかん」という感覚が、しびれを生むから。
奥田 それでもまだ「どっちに曲がるんやろ」とか、そういう迷いが出た場合は、どうすればええんですか。
高松 迷ったらまっすぐ行ったらええわ。パッティングは迷ったときほど曲げて打ちたくなるからな。必要以上にラインを探そうとするから。
奥田 そしたら一般的に言われる「迷ったらまっすぐ」というセオリーは、当たってるんですね。
高松 当たってるね。車で道に迷ったら絶対曲がりたくなるやろ。このまま進んだら余計にあかんと思って。でも、道を間違えたという確信が来るまでは、絶対真っすぐ行った方がええ。それが心理やと思う。
奥田 なるほど。ただその世間のセオリーとうちの流儀がちょっと違うのは、同じ真っすぐ打つのでも、そこに“諦める”という部分が入ってないところですね。
高松 そういうこと。しかもそれが一番大事。迷って打つより、諦めて真っすぐ行った方が、絶対結果はええはずや。
【通勤GD・今日のことば】どっちに曲がるかわからんかったら、真っすぐ打つ
月刊GDより