【アプローチ苦手からの脱却】秋葉真一プロ「ヘッドをきっちり入れなくてもいい。そのメカニズムがわかった!」(前編)
シニア入りしてからの活躍が著しい秋葉真一プロ。2019年はとくに好調で、目下のところ賞金ランク2位。「前はビクビクしながら打っていたアプローチに自信を持てているのが一番の要因だと思います」と語る。アプローチの開眼ポイントは何だったのか? その真相に迫った。
キッチリ打とうとしてだんだん恐怖症に
── アプローチが怖くなっていたとのことですが、具体的にはどのような症状だったのでしょうか。
秋葉 グリーンの近くからのアプローチでザックリやトップがよく出るようになり、スコアにならなくなりました。そうなると、練習もしたくなくなる。完全な恐怖症ですね。
── いつ頃から、そのような症状だったのですか。
秋葉 45歳くらいからです。ボールのライがよくても、ボールをキッチリと打たないといけないという気持ちになって、少し噛んだだけで何がいけなかったのか、思い詰めてしまう。今思うと、あのころはアプローチを難しく考えすぎていたんでしょうね。試合にも出られなくなって、シニアまで4~5年ありましたので、少し時間をかけてもう一度アプローチの技術を見直すことにしました。
── 当時はどのような打ち方だったのでしょう。
秋葉 フェースを開いてボールをカットに打っていました。上から入れたくてボールの位置がどんどん右になってしまっていました。
── クラブはSWですか?
秋葉 転がしたほうがいい状況ではPWを使うこともありましたが、やはりアプローチはSWが主体です。でも構え方や打ち方は変えました。
── どう変えたのでしょう。
秋葉 ごくベーシックなスタイルです。ボールの位置を真ん中にして、フェースもスクェア。これだけで構えたときのストレスが不思議なくらいなくなって、スウィングがシンプルになったんです。
イチかバチかではなくリスクの少ない攻め方をする
── アプローチの基本的な打ち方を変えたことが、マネジメントにも大きく影響しているのでしょうか。
秋葉 一番は確率を考えるようになったことです。たとえばボールが砲台グリーン手前の中腹にあって、グリーンエッジからすぐのところにピンが立っている。しかもグリーンが下っていて、ボールが止まっている芝の状態があまりよくない場面を想定しましょう。こんなときも以前なら上げて止めることを考えていました。うまく決まればカッコいいかもしれないけど、ザックリやトップの危険性も高いですよね。
── プロでも失敗することがあるほどですから、確かに怖いですよね。
秋葉 スピンをかけるためにヒール側から入れて、フェースを斜めに使おうとか、カット軌道に打ってからフェースターンしようなど、技術面のことばかり複雑に考えていて、確率のことはあまり頭になかったんです。
── 今の秋葉プロならどう打ちますか?
秋葉 ボールがラフに浮いていれば上げるのは簡単。でもライがあまりよくなければ、グリーンの手前にワンクッションさせて乗せることを考えます。ボールを真ん中に置いてフェースをスクェアにセットし、パットに近い感覚でスウィングします。
── SWのピッチエンドランというイメージですね。
秋葉 そうです。これならザックリもトップもしませんし、確実にグリーンに乗ります。以前はピンの近くに寄せようと自分にプレッシャーをかけていましたが、今は自分に完璧を求めません。グリーンに乗ればOKくらいの気持ちで打っていますよ。
シニア入り前の打ち方
スピンをかけるためにヒール側から入れてフェースを斜めに使うため、オープンに。上から打ち込みたいので、ボールをかなり右に置いていた。
そして、アウトサイドに上げてインサイドに振り抜く、カット軌道でスピンをかけていた。
シニア入り後の打ち方
ライのよし悪しに関係なくボールを真ん中に置き、フェースをスクェアにセットする。このアドレスから、パッティングのようにフェースを返さず打つ。
秋葉 ザックリやトップのミスの危険性が高い打ち方よりも、確実にグリーンに乗る打ち方を選択してスコアメークするため、成功する確率が上がりましたね。
傾斜なりに構えるのではなく、左足に体重がかかるようスウィング軸を立てて構える。これで自然と
上からボールがとらえられる。
TEXT/Takashi Mishiro
PHOTO/Yasuo Masuda
アプローチ苦手からの脱却「後編」はこちらから↓
週刊GD2019年8月6日号より