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【江連忠のPROJECT E】Vol.247 ニック・ファルド「作り込まれた形なのに“力み”がどこにもない」

片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroyuki Okazawa、Blue Sky Photos、小社写真部 THANKS/オーシャンリンクス宮古島

前回のお話はこちら


●今月のレジェンド●

ニック・ファルド

1957年英国生まれ。欧州ツアー30勝、PGA9勝(メジャー6勝)。タイガー登場までの世界ゴルフ界の中心人物だった。97年ゴルフ殿堂入り。エリザベス女王からナイトの称号を受けている


いいスウィングは「強い」
ことを証明した

左足の上に真っすぐ立つきれいな“Iの字フィニッシュ”のファルドの活躍によって、それまで主流だった“逆Cの字フィニッシュ”の時代が終わりを告げました。

フィニッシュに限らずどの部分を切り取っても欠点がない教科書のようなスウィングは、レッドベターをコーチに付けて作り込まれたもので、この2人がコーチングの重要性を世界に知らしめた最初のコンビともいえます。


それまでのプレーヤーは打ちたい球からスウィングを作る人がほとんどでしたが、ファルドは体の動きから軌道、球筋という順番でスウィング作りをした“左脳派”ゴルファーだったことも特徴的です。

そして、ある意味自分の感性を殺して作り込んでいる動きにもかかわらず、無駄な力みがなく滑らかに振れているのがファルドの最大の強み。

普通は、形を作ろうとすると動きが硬くなりがちですが、ファルドの場合はまるで素振りをしているかのような完璧な形と柔らかさを兼ね備えていたのです。

ファルドの4番アイアンが他のプロの8番アイアンの精度だと言われたショット力のゆえんです。

左足の上で真っすぐピタッと立つフィニッシュ

フィニッシュでピタッと止まれるのはスウィングバランスがいい証拠。バランスを崩す人や左足に乗っていけない人はファルドのフィニッシュを真似しよう

ファルドの系譜を継ぐのはこの選手

ザンダー・シャウフェレ

形が良くて柔らかさがあるから強い
ザンダーもスウィングの各ポジションの形の良さに定評がある選手。教科書のようなスウィングで力みがなく振れているからこそ、飛距離と方向性を両立したショットが武器になっている

江連忠

江連忠

1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた

月刊ゴルフダイジェスト2024年5月号より