【ゴルフの急所】Vol.1「止める」からミスになる。スウィング中は“動き続ける”ことが重要です
TEXT/Toshiyuki Funayama PHOTO/Takanori Miki、Masaaki Nishimoto THANKS/六甲国際GC
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
1月号の特集で、スウィング中に動きを止めないことが大切とおっしゃっていましたが、その効用について詳しく教えてください。(神奈川県 坂本忠さん 54歳)
自然なリズムで打てるから、再現性が上がる!
―― 最初に、シニアツアーの賞金王、おめでとうございます!
寺西 ありがとうございます。日本シニアオープンのタイトルも獲れて、2020年は本当に素晴らしいシーズンになりました。
―― 2019年に出場した全英シニアで予選落ち。来シーズンは海外メジャーでリベンジですね。
寺西 出場できる試合はすべて挑戦しようと思っています。出るからには勝つつもりで戦います。
―― 期待しています。さて、今月から新連載がスタートしますが、寺西プロには読者からの質問、疑問にズバッと答えていだきます。
寺西 わかりました。アマチュアの方々のゴルフの上達に、少しでも役立てればうれしいです。
―― スウィングを始動したら、動きを止めずに打つ、というのが、寺西流スウィングのキモですが、具体的にどのような効果があるのでしょうか?
寺西 読者の方にはシニア世代の方も多いと思いますが、ゴルフを始めたときから、「頭を残せ」とか、「左の壁を作れ」と教えられてきたと思います。
―― 雑誌のレッスンでも、使われる頻度が高いですよね。
寺西 ゴルフ雑誌が私の教科書でしたから、アマチュア時代はそれが正しいと信じて、忠実に守ってきました。でも、50歳を目前にして、世間に広まっている理論の多くは、体の動きを制限するものばかりだということに気づいたんです。
―― わざわざスウィングにブレーキをかけてしまう?
寺西 たとえば、普段歩くときや走るときに、足の出し方とか腕の振り方を細かく考えていたら、スムーズに歩けませんよね。スウィングもそれと同じなんです。
―― なるほど。
寺西 大事なのは、いかに自分にとって気持ちいい動きでスウィングするか。体は全身が連動することで大きなパワーを生み出せるんです。一瞬でもどこかで動きに制限をかけると、連動性が失われてしまいます。
―― 動き続けることで、その人にとって気持ちのいい動きでスウィングできるようになる、と。
寺西 自分にとって心地いいリズムやテンポも、動き続けることでスウィングに取り入れることができます。歩くときのリズムやテンポは人それぞれですが、無意識だからいつでも一定になるわけです。いかに再現性を高めるかも、スウィングには大事な要素ですからね。
―― 効率よくパワーを引き出せるからボールも飛ぶようになるし、正確性もアップするんですね。
寺西 素振りのときはみんな気持ちよく振れますよね。あの感覚でボールを打てるようになれば、ショットの質は格段に向上します。
―― そのための効果的な練習方法が、寺西プロが実践するステップ素振りやステップ打ちですね。
寺西 この練習にはスウィングのすべてが詰まっていると、私は思っています。ゴルフは止まっているボールを打つスポーツなので、体の動きを止めてボールに当てにいきやすいんです。アマチュアの「飛ばない」「曲がる」といった原因はすべてここにあります。動きのなかでボールをとらえる感覚を、このドリルでつかんでください。
スウィングの大事がすべて凝縮
「ステップ素振り」
「素振り用の練習器具など、クラブよりも重い棒を使って、ステップ素振りをします。まずフォローに振り出したら、右足に体重を乗せ、その動きにつられるようにしてバックスウィング。そしてクラブがトップに上がり切る前に、今度は体重を左に移動。それにつられるようにダウンスウィングを開始し、フィニッシュまで振り抜いていく。常に下半身が先行して動くのがポイントです」(寺西)
寺西明
1966年生まれ、兵庫県出身。会社経営との二足のわらじで2017年から4年連続シニアツアー優勝。安原ホールディングス所属
月刊ゴルフダイジェスト2021年2月号より