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【浦ゼミナール】Vol.14「素振りは“軽いモノ”と“重いモノ”、2種類やりましょう」

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。浦プロは、素振りよりも「叩く」ことでインパクトを意識する練習を重視するが、目的を理解すれば素振りも有効な練習だと話す。浦プロが普段やっている素振りを教えてもらった。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

素振りもスピードアップには有効

――浦さんは、飛ばしに素振りはムダだと言っていますが本当ですか?

 僕が普段言っている、飛ばせる強いインパクトを作るためには、素振りはほとんど役に立ちません。飛距離を伸ばしたかったら、ちゃんとボ—ルをぶっ叩く練習をしなきゃダメ。でも形を作るためには素振りも有効ですし、飛ばしのポテンシャルという意味でのスピードアップには素振りもすごく役に立ちます。そこは誤解しないでほしいですね。

――なるほど、スピードアップですか。クラブをピュンピュン速く振ったりするってことですか?

 うーん、それだけじゃダメ。軽いものをビュッと振る素振りと、重いものをブ—ンと振る素振りの両方をやることが大事なんです。

――ビュッとブーンですか?

 素振りのときの風切り音ですよ。この音ができるだけ大きく出るように振る。前者は、ヘッドを外したシャフトなんかを使って、手先でとにかく速く振る。体の右斜め前で、棒の先端から短く高い音が出るように振るんです。後者は、このデカい羽子板のような重いものを体全体で大きくスウィングする。ダウンスウィングからフィニッシュまで、ブーンと長い音が出るように振ってください。素振りで「こうやって振る」というのを形で考えてもなかなか本質は身につきませんが、大きくいい音が出てさえいれば絶対いい動きができているんです。だから大きくいい音を出すためにはどう振ればいいかを自分で試行錯誤することが大事。

軽いモノは“ビュン”と振る

軽いものは、指先で握り手先を使って体の右側で速く振る。棒の先端から短く高い「ビュッ」という音が、できるだけ大きく出るように振ろう


重いモノは“ブーン”と振る

重いものは手のひらで握り、スウィング全体を通して長い「ブーン」という音が大きく鳴るように振る

――なるほど。しかしこの羽子板みたいな器具はすこいですね。

 これはウチの父の自作なんですが、コイツで11代目。面の向きが少しでもズレると空気抵抗で暴れてしまうので、面がつねに軌道にスクエアになるように安定させる必要があり、体で振る感覚が身につきます。竹箒みたいなもので代用してもOK。

――この2つの素振りで飛距離が伸びるんですか?

 メッチャ伸びますよ。速く振るコツをつかむには、これがいちばんいい練習です。

アイアンにはブレーキが必要

――この素振り、スピードアップに有効とのことですが、ドライバー用のスウィングってことですか?

 そうです。前回、ドライバーとアイアンのスウィングの差について話しましたが、あれはインパクトでのボールのとらえ方の話。じつはスウィングにも違いがあって、この素振りはまさにドライバーを振るときに必要な「アクセル筋」を鍛えるのに有効なんです。

――アクセル筋?

 ドライバーは距離のコントロールとか不要ですから、減速は考えずに最後までベタ踏みで振り切ればいい。この加速に使うのがアクセル筋です。でもアイアンは狙った距離を確実に打つためにコントロールされ抑制の利いたスウィングが必要ですから、アクセル筋に加えて「ブレ―キ筋」も使うんです。
ドライバーのフィニッシュは、突き当たりまで突っ走ってぶつかって「止まる」感じですが、アイアンはアクセルを踏んだあとちゃんとブレーキを踏んで、停止線で「止める」フィニッシュって感じですね。

飛ばしたいドライバーは最後までノーブレーキで振り抜くので「アクセル筋」だけでOKだが、正確な距離を打ちたいアイアンは「ブレーキ筋」を使ってバランスよくスウィングを止める必要がある。当然フィニッシュの位置も力感も違ってくる

――なるほど。アクセル筋、ブレーキ筋って、具体的にはどの筋肉なんですか?

 体全体を使った動きなので、どこって言われるとむずかしい。でも、クラブを振るのは腕ですから、アクセル筋に関しては腕が大事。そして腕を速く振るにはその土台の肩とかお腹や背中がしっかりしていないとダメで、そこを動かす下半身も大事ということになる。だからこそ、さっきの2種類の素振りみたいな練習で体で感じてほしいんです。ブレーキ筋を使ってキレイに止まろうとすると、腹筋はメチャメチャ疲れますね。そういう大きな筋肉の役割が大きいことは確かです。

――筋力があるほどアクセルも開けられて、そこから急ブレーキもかけられるということですね。

 そのとおり。ブレーキ筋の鍛え方は、予定したフィニッシュに止める練習がいちばんですね。スウィングする前にフィニッシュの位置を決めておいて、そこにピタッとブレずに止める。ポイントは、フィニッシュ時のクラブのボジションを意識すること。フォローの胸の前くらいの空中にクラブが収まる位置を見つけておくんです。そしてそこに車庫入れするみたいにピタッとクラブを置く感じ。急ブレーキすぎると止めるときにガタついてピタッと収まりませんし、早くからブレーキをかけすぎたりアクセル自体も抑えてしまうと飛ばなくなる。

アイアンのフィニッシュは「空間にクラブを置く」イメージ

――これ、むずかしいですね!

 人によってアクセル動作が得意な人とブレーキが得意な人がいるので、苦手なほうは重点的に練習するといいと思います。これができるようになったら、スウィング的には70台くらい余裕で出るレベルですよ。

ドライバーはブレーキをかけずに最後まで降り抜く

「アクセル筋」だけで振り抜くドライバーのフィニッシュは、 最後まで振り切ったあとバウンドして少し戻ったところでボールを見送る感じなので、「止める」というよりは「止まる」イメージ

アイアンはブレーキをかけてスムーズに止まる

「ブレーキ筋」を使ってアイアンを振るにはフィニッシュの位置にピタッと収める練習が有効。 クラブが収まる空間をイメージして、そこにクラブを置くように、バランスを崩さないように過不足なくスウィングを終えることが大事だ

月刊ゴルフダイジェスト2021年3月号より