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【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.101「なぜか寄る! 必殺“死にコロ”アプローチ」

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!

ILLUST/Masaaki Takauji

前回のお話はこちら

プロの世界では最近、バックスピンをかけるアプローチは主流ではない。溝規制によってスピンをかけにくくなったこともあるが、ラフが深く、硬くて速いグリーンセッティングが増えたことも大きいだろう。そういうコースだとピッチ&ランのほうが寄る確率が高いからね。

ボク個人も、多用しているのは低スピンアプローチ。見た目はスピンのほうが躍動感があってかっこいいかもしれないけど、実用的なのは断然低スピン。だってせっかくいいところに落ちても、バックスピンで2メートル戻ったら意味なかろ。それより、2メートル手前に落ちて1メートル転がるほうがナンボか次のパットがラクチンだよね。

そもそもアプローチにはいろんな種類がある。転がし、ピッチ&ラン、ピッチショット、ロブ……。これらのメジャーどころもやろうと思えばできるが、あまりやらんな~。この前ラウンドしたときも18ホール中、ピッチショットをしたのは1ホール。あとはすべて低スピンのアプローチ。それもポーンと上がって、ボテっと落ちて、ちんたらちんたら転がるという謎の動きを見せる球筋だ。ボールが空中にある間はブランド名が見えるほど、ゆっくり回転。そして着地して一回息をひきとるんだけど、また息をふきかえし前に転がることから、ボクは勝手に“死にコロ”と呼んでいる。

“死にコロ”に適したクラブはSW。僕は基本的にSW1本でいろいろな球を打ち分けてるね。打ち方はハンドレートに構え、フェースローテーションを使わず、わざと芯を外しフェースの先っちょ(溝とツルツルしたところの境目くらい)で打つ。ボールをフェースに乗せるとスピンがかかってしまうので、イメージ的には当てた瞬間にポンと弾く感じの激短インパクト。成功するとインパクトでカツンではなく、カンという乾いた音がする。誰もがミスショットを疑わないような汚い音なんだけど、気づくとワンピン以内に寄っている。芯でとらえていないので、当然手にもジ~ンとくる。

そんな汚くて痛いショットのメリットは勢いよく転がるでもなく、止まりもしないこと。だから落としどころさえ的外れでなければ、ラインに乗ってスーッとピンに寄っていく。また、勢いのいい球だとカップの手前からしか入らないが、弱々しい“死にコロ”の転がり方だとカップの横からストンと落ちることもある。従って、カップインも少なくない。

もちろん、バックスピンをきかせたアプローチがいらないというわけではない。ただ、もう一段階上を目指すならいろいろな技を増やしたい。そんな人におすすめなのが“死にコロ”。

技術的には難易度は最高レベルではあるが、挑戦し甲斐はある。今年の目標に「死にコロ習得!」を掲げてみてはいかがだろうか。

フェースの溝とツルツル部分の境目で打つ。するとスピンがかかりにくくなり、落ちた後にゆっくり転がる


全員がチャンピオン! 二宮家

(左から)●慎堂(ボク)1983年生まれ。13、15年四国アマ優勝。HC+2。ベストスコア59 ●英二(父)1958年生まれ。90、95年四国アマ優勝。HC0。練習場経営 ●薫(母)1960年生まれ。94~97、01、03年四国女子アマ優勝。HC2。主婦 ●歌奈子(妹)1985年生まれ。07年四国女子アマ優勝。HC5

週刊ゴルフダイジェスト2019年2月26日号より