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【浦ゼミナール】Vol.45 アマチュア同士の“教え合い”は百害あって一利なし

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。仲間と練習しながらお互いのスウィングについて語るのはゴルフの醍醐味の一つ。でもやはり、上達には「害でしかない」と浦さんは言う

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Tanaka THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰

素人のアドバイスで
上達するわけがない

――今回もアマチュアの素朴な疑問なんですが、自分より下手な人にスウィングを教えるときって、どうすればいいんでしょうか。教えるとまではいかなくても、どんなアドバイスをすればいいか教えてください。

 本音を言えば、アマチュアがアマチュアに教えるのは悪影響しかないので絶対にやめてほしいです。

――そうですよね(笑)。でも、友達と一緒に練習に行ったときに「スウィングどうかな?」とか「スライスで困ってるんだよね」って相談されることはあるんです。自分よりも下手な人だと、少しでも助けてあげたいと思ってしまいます。

 少しでも助けてあげたいなら「プロのレッスンを受けるといいよ」って言ってあげてください。
アマチュアは、ちょっとしたひと言のワンポイントアドバイスでゴルフが劇的に上手くなると思っている人が多いですが、そんなことはないし、ましてそれはアマチュア同士のアドバイスでは起こり得ません。

――でも浦さんは、ちょっとしたひと言で上達させますよね?

 私たちは教えるプロですので、スウィングの問題点やその原因にアクセスするテクニックがあります。だからどこをどう変えたいか、そのためにどういう伝え方をすべきかというキモを押さえられる。それだって、実際はあの場のひと言で上達しているわけではなくて、そのきっかけを与えているにすぎません。そのきっかけを定着させるために適切な別の言葉もつなげていきますし、そのための練習方法なども伝えていく。アマチュアの思い付きで「もっと手首をこうやって使ってみたら?」みたいなアドバイスが上達につながるなんてことはあり得ないんです。

――ごもっともです。


 たとえばスライスを直すにしても、カット軌道でフェースが開いているのを、軌道とフェースどっちから直すのか。どっちにしろ、何十通りもの直し方があるなかから、私たちは最適と思えるものを理由があって選んでいるんです。アマチュアの教え合いは、腕時計の調子が悪いからって、素人が「開けてみようぜ」って工具を持って修理しようとするようなものですよ。

――無謀ですね。

 仲間が集まって練習するなら、プロの形態模写とかがいいですよ。もしくは出球のチェック。これはアマチュア同士でもできます。

――出球ですか?

 おすすめはウェッジ。仲間同士で、同じウェッジで同じ距離をみんなで打ちます。一番上手い人の球の高さを基準に、みんなの出球を見るんです。出球が高い人はローバウンスが、低い人はハイバウンスが合うので、ウェッジ選びの基準作りになります。それに、看板を狙って当てっこをやるほうが、教え合いをするよりも確実に上手くなれますよ。

出球のチェックならアマ同士でもできる

仲間と練習するなら、看板を狙って競争したり、出球のチェックをするのが一番上達には貢献すると浦さん。同じウェッジで同じ距離を打ち、仲間の一番上手い人を基準に、球が高ければローバウンス、低ければハイバウンスが合うという診断をするのもいい

初心者が困っていたら
当たる方法を教えよう

――でも実際に、友達と一緒に練習しながら、ああでもない、こうでもないってスウィングの話をするのは楽しいんですよね。

 それは認めます。ゴルフの醍醐味の一つかもしれません。でも楽しいけれど、上達には悪影響しかない。学生時代、仲間内でそうやってアドバイスし合っていた連中で、上手くなったヤツは1人もいません。

――初心者とゴルフをするときはどうすればいいでしょう。全然ボールに当たらなくて困っているのを、見ていられません。

 そうですね。当たらなくてつまらないまま、ゴルフを嫌いになってほしくないですよね。その意味でも、誰にも教わったことのない初心者には、ちょっとアドバイスしてあげたいのはわかります。では、初心者でもできる「絶対に当たる打ち方」をお教えしましょう。

――そんなのあるんですか?

 はい。まずはグリップを目いっぱい短く握ること。両ひじを曲げてクラブを持って、腰を落とし、おへそと顔をボールに向けるように前傾する。そこからターゲットが見えるところまで左を向いて構えます。そして体を回そうとか考えず、手で上がるところまでバックスウィングして、思いっ切りボールを叩くんです。ボールから目を離さずにちょっとクラブを引いて、「こうやって当てるぞ」っていうインパクトの予行演習をして、そのままバーンとぶっ叩くだけでいい。

初心者が当たらなくて困っていたら、確実にボールを前に飛ばす方法を教えてあげよう。クラブを目いっぱい短く持って、手だけで腰までバックスウィング。そこからボールをぶっ叩いてゴロを打つ。これができればとりあえず球は前に進んでゴルフにはなる

――なるほど、ゴルフのスウィングをしようとしないってことですね。

浦 これだって立派なゴルフスウィングです。プロみたいなキレイな形とか、収まりのいいフィニッシュを気にする必要は一切ありません。初心者のカッコなんか誰も見ちゃいないんです。これで170~180ヤードのライナーを打ったら、みんな「すごいな!」って褒めてくれます。そうしたら、ゴルフも楽しくなります。
大事なのは球を上げようとせず、ゴロを打つイメージでボールを横からぶっ叩くこと。これでボールは前に飛びます。当たる自信がついたら、自然と振り幅も少し大きくなっていって、距離も出るようになります。これだけで、初ラウンドで140くらいは出せますよ。
でもその先は、できる限りプロに教わるように誘導してあげてください。そのほうが上達が速いのはもちろん、絶対にゴルフも楽しめます。

月刊ゴルフダイジェスト2023年12月号より