【浦ゼミナール】Vol.41 人気YouTuberが教えるYouTubeレッスン動画活用術
身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。ゴルフ系YouTubeチャンネルは膨大な数がありどれを見れば上手くなれるのか皆目見当がつかない。ならば人気YouTubeチャンネルをやっている浦さん自身に、動画レッスンの活用法を聞いてしまえ! と思ったのだが……。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー
浦大輔
うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・赤坂で√d golf academyを主宰
再生回数が多い動画を
見ても意味がない
――YouTubeをやっている浦さんにあえてお聞きしたいのですが、たくさんあってどれを見ればいいかわからないYouTubeチャンネルの中から役に立つレッスンを選ぶには、どうすればいいでしょうか?
浦 率直に言えば、「YouTubeだけを見て上手くなれると思うな!」というのが本当のところですね(笑)
――ええっ!? 浦さんがそれを言いますか(笑)
浦 YouTubeにしろ雑誌にしろ、そういうレッスンは情報を得て知識を増やすためにはすごく有効です。私自身、昔は雑誌も本も徹底的に読みあさりましたし、それが私の知識の土台になっています。でも、それを見れば上手くなれるのかと言ったら、そういうものではありません。とくに、「この人の理論が面白そう」とか「再生回数が多い」とか、そういう視点で見ているんだったら、上達の役にはまったく立たないですね(笑)。あとサムネイルは詐欺みたいなもんですから(笑)、あんまり信用しちゃいけません。私の動画も、ちゃんと見てもらえばわかりますが「こういう人にはこれが有効」とか「これがやりたかったらこうしろ」とか必ず条件付きなんです。だからそのニーズを満たす人にとっては有効ですが、見た人すべてがそれで上手になるようなものではありません。
――じゃあ動画では上達できないってことですか?
浦 そうは言っていませんよ(笑)。「これをやれば上手くなりそう」と、漠然と見るんじゃなくて、ちゃんと自分の役に立つ動画を探して見てくださいということ。上達したい、つまりいいスコアで回りたいということは、何かを改善したいということでしょう。だったら、いまの自分に必要なのはスライスを直す方法なのか、アプローチでザックリしないコツなのか、マネジメントなのか、それをちゃんと決めてキーワード検索すればいいんです。
――なるほど、検索ですか。
浦 このネット社会、必要なことを検索するなんてみんな当たり前にやっているでしょう? なのにいざゴルフとなると「床反力」とか「シャローイング」とか、自分に関係ないワードに引かれて、上達と関係のないものばかり見る。自分に本当に必要なことを探し当てるのは難しいですが、それでもちゃんと目的意識と意図をもって探せば必ず身になります。それから、動画レッスンは必ず「アイミツ(相見積り)」を取ってくださいね。同じテーマで別の人がやっている複数の動画を見て比較するのは必須です。同じテーマでいろいろ見ていると、みんな同じことを言っていたり、逆に1人だけ全然違うことを言っていたりする。紙とペンを持って動画を見ながら、自分で気になったポイントを3つ書き出すんです。
まずはそれをやってみることが上達の秘訣というか、動画レッスンの有効な活用法だと私は思います。
●Step 1 得意分野は除外する
自分の得意分野ばかり見ても上達にはあまり寄与しない。興味があって見たくなっても、とりあえず除外しよう。
●Step 2 スコアを崩す原因を特定
自分がスコアを崩している原因は何か、問題点を絞っていく。得意か苦手かではなく、スコアへの影響度が大事。
●Step 3 キーワード検索
問題点を決めたら、その周辺の用語をキーワードにして動画を検索して視聴。再生回数や知名度は関係ない!
●Step 4 3つ以上を比較する
必ず複数の動画をメモを取りながら見比べ、気になったポイントを3つ書き出して、練習場で試してみよう。
上達のベースになるのは
己を正確に知ること
浦 一応言っておきますが、動画を見ただけで上手くなるなんて思わないでくださいね。試して、練習して、コースで使って初めて自分のものになるんです。
――おっしゃるとおりですが、つい見ただけで上手くなった気になっちゃうんですよね。
浦 そもそも論としては、本当に上手くなりたいんだったら、プロのレッスンを受けに行きましょうって話です。結局ゴルフって、自分のことが見えないから上達するのが難しいんです。レッスンを受けるということは、そういう第三者の目を持つという意味合いが強い。だからプロだってコーチをつけるんです。
――やはり自分で自分の問題点を把握することはできないんですか?
浦 とても難しいですが、不可能ではありません。とくに最近は弾道計測器やシミュレーターが普及しているので、これを使えば自分の問題点はある程度はっきりします。
最近はインドア施設を中心に弾道計測器が普及している。ゴルフでは自分を客観的に見ることは難しいが、弾道計測器なら自分が打ったボールの「真実」を客観的に教えてくれる。これを活用しない手はない!
――具体的には、弾道計測器で何を見ればいいんですか?
浦 上下の打ち出し角、左右の打ち出し方向、そしてサイドスピン量の3つです。各番手30~50発球を打って、自分のベストショットを基準に、どんな高さでどの方向に飛び出し、どう曲がる球が出たかを下のようなシートに記録して統計を取るんです。打ち出し角だったらナイスショットより5度以上高ければ「高」、5度以上低ければ「低」のところ。左右の打ち出し方向なら3度以上ズレたら「左」もしくは「右」。さらにサイドスピンが右に入ったか左に入ったかを記録しておく。
自分のショットの問題点と向き合おう!
打ち出し角、打ち出し方向、サイドスピンの3つの要素に絞り、打った球がどれに該当するかを1球ごとに記録。「正」の字を書き込んで記録しよう!
――これで自分の特徴がわかる?
浦 打ち出し方向が右なら軌道がインサイドアウト、左ならアウトサイドインでほぼ間違いないですし、そこからフックするなら軌道に対してフェースがかぶっているし、スライスしたなら開いていることがわかる。高い球はフェースが開きながら当たっていて、低い球は閉じながら当たっている証拠です。たくさん打てば必ずデータに偏りが出て、自分のスウィングの特徴がはっきりします。
――なるほど!
浦 あと、個人的におすすめなのが、体験レッスンを受けまくること。何か教わろうとせず、「僕のスウィングってどうなってますか?」「どこが悪いですか?」ってあちこちに聞きに行くんです。私は昔、これを20件やりました(笑)。絶対に嫌われますけど、これをベースに練習すれば、効率的に上手くなれますよ。
カメラ位置も大事! スウィング撮影は「体の後方」
スウィング動画を撮って見ることも有効だが、カメラ位置は要注意。毎回同じ位置から撮るのはもちろんだが、クラブ(ボール)の真後ろではなく、体(グリップ)の真後ろから撮影しないと見え方がズレてしまう
自分のショットの傾向と問題点がわかる
チェックシート
月刊ゴルフダイジェスト2023年8月号より