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【キミこそ王子だ】Vol.296「3つのトレーニング」で驚異の飛びを手に入れた注目の逸材

雑巾王子こと武市悦宏プロが、全国の有望なジュニアゴルファーのもとを訪れ、大人ゴルファーにも役に立つゴルフのヒントを探る当連載。今回の王子候補は、兵庫県出身、日ノ本学園高等学校の新2年生の進藤太雅くんだ。爆飛びのドライバーを武器に、常に試合で好成績を残す彼のスウィングを、武市が徹底解剖!

今回の王子候補

進藤 太雅くん

しんどう・たいが ●主な戦歴/2020 全国高等学校ゴルフ選手権 4位タイ ●ベストスコア 64(ダンロップゴルフコース) ●トレーニング/ランニング&ダッシュ&素振り ●練習/毎日2時間、300球


父親の勧めで小学校1年からゴルフを始めた太雅くん。最初は渋々練習していたが、試合に出ることで徐々にモチベーションがアップしていったという。

そんな彼の特徴は、振りっぷりがいいこと。身長は163センチと小柄だが強靭な下半身で、ドライバーは軽いフェードで飛距離は300ヤード近い。

「いい体格してるけど、どんなトレーニングしているの?」

「ランニングとダッシュと素振りです」

太雅くんは年に数回、江連忠プロにスウィングをチェックしてもらっているが、小学生のときに、「上達したければ、これを続けなさい」と、3つのメニューを言い渡され、それがランニング、ダッシュ、素振りだ。


「普通にクラブを振るの?」

「重さの異なる3種類の素振り棒を使います。軽→普通→重の順番で20回ずつ5セットやっています」

「300回? スゴイ!」

「毎日やっていたら飛ぶようになりました」

「飛距離の方程式はパワー×スピードだからね。軽い棒でスピードを体感し、そのイメージのまま重いクラブを振ると、パワーとスピードの両方が出せるようになるよね。重い棒をゆっくり大きく振るっていう練習方法もあるけど、飛距離アップを目指すなら、太雅くんのような素振りが正解だね」

さらに、実際のスウィングで心掛けていることを聞くと、「バックスウィングで右足に100パーセント乗せた体重を、ダウンスウィングですべて左足へ移すこと」と答えてくれた太雅くん。それに対して武市は次のように解説した。

「体重移動は、ただやっても飛距離アップにはつながらない。バックスウィングで右に動こうとするクラブに対し、体も一緒に右に動く。ダウンスウィングも同じ。左に動こうとするクラブに対し体も左に動く。これだとヘッドが全く走らないよね。実は、ヘッドを効率よく走らせるためには、体とクラブを“引っ張り合いっこ”させるのが肝なんだ。その点、彼はパーフェクト。バックスウィングで右足に100パーセント体重を乗せているんだけど、頭が全く動いていない。いや、それどころか、左にちょっと傾いて見える。それは、クラブと体が引っ張り合いしているから。ダウンスウィングで左に体重移動したときも、頭がちょっと右に傾いて見え、クラブと体が“引っ張り合い”している。だから、ヘッドが走って爆飛びするんだよね。デコピンと一緒よ。普通に中指でおでこをたたいても痛くないよね。でも、一旦おでことは逆のほうに中指を引き、引っ張り合いすると、指にスピードが出て痛いでしょ(笑)」



太雅くんは思い切り振ると、反動でかぶっている帽子が飛ぶことがあると言う。

「尾崎直道プロみたいじゃん! それこそ体が引っ張り合いしている証拠。だって、クラブと体が同調して動いたら帽子なんて飛ばないからね。直道さんみたいに日米で活躍するプロになってほしいな」

また逸材を発見した武市だった。

週刊ゴルフダイジェスト2023年4月4日号より