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【人気連載アーカイブ】遊ぶつもりでやってみて Vol.60「あえて難しいクラブで練習してみよう」

家族全員がチャンピオンの経験のある四国イチのゴルフ一家「二宮家」。その長男でありベストスコア59(!)のトップアマ・慎堂さんが、ゴルフに対する独特の考え方や一風変わった練習法を紹介。上達のヒントが満載!

ILLUST/Masaaki Takauji

前回のお話はこちら

うちは家族全員が四国アマで優勝経験があることから、毎日ゴルフばっかりしているのかと思われる。

確かに、ボクは毎日球を打つ。でも、多くて50球だし、少ないと10球ぐらい。父も月に(「日」の間違いではなく「月」で正解)200球くらい。

「友達に誘われて、今年初めてラウンドしたわ。寒いから気が進まなかったけど、行くとやっぱり楽しいわね~」。母はつい先日、こんなことを言っていた。というわけで、みなさんが想像するほどゴルフ漬けではないのだ。

「70歳になっても楽しみたい」というのが母の口癖で、それにはやっぱり基礎が大事だと感じているようだ。そこで最近は、あえて難しいクラブを使い、スウィングを鍛え直している。

歳が歳だけに(今年58歳)、それまでは無理せず低・深重心のアイアンを使っていた。いわゆる『飛びキャビ』ってやつ。

しかしあるとき、マッスルバックアイアンを打ったところ……「はぁ~?」というくらい当たらなかったらしい。そのダメっぷりにショックを受け、スウィングを見直す決意をしたようだ。

「簡単なクラブは球が上がって、飛ぶから楽よね。小手先で打っても、それなりに飛んでくれる。ハーフトップしても球が上がるしね。それに慣れてしまって、ずいぶんスウィングが雑になった気がするの。マッスルバックアイアンはハーフトップなんかしたら、ダメでしょ。小手先で振ると、球が上がらないし飛距離も出ない。やっぱり、ゴルフは楽しちゃダメよね」と言う母。

現在は、肩を十分に捻転させ下半身を使ったスウィングを心がけているそうだ。真面目にやると、左腕のつけ根が筋肉痛になり、打ち終えた後にひぃひぃ言っているが、なぜか楽しそう。

上達するには、難しいクラブで練習するのがいいか、それとも簡単なクラブで練習するのがいいか、よく議論になる。確かに初心者が、あまり難しいクラブを使うと、全然当たらないから途中で嫌気がさしてしまう。

また、芯に当てたい気持ちが強すぎて、かえって小手先だけのスウィングになることもある。なので、年に何度か楽しくゴルフをしたいエンジョイ派は、最先端のミスをカバーしてくれるクラブがいいかもしれない。

ただ、もう少しだけストイックにゴルフと向き合いたい、なんていう人はあえて難しいクラブを使うのもあり。

母のようにスウィングを作り直すためだけでなく、単に難しいクラブと簡単なクラブの差がどれほどのものか、実感するだけでも十分に勉強になるはずだ。

一見、意味がなさそうなことでも、遊ぶつもりで試してみる、というのがボクの考えだからね。

というわけで、物置きに昔のクラブが眠っている人は、引っ張り出してみてはいかがだろう。おそらく、今よりヘッドが小さく難しく感じるはずだが、それで練習してみるのも面白いかもよ。

難しいクラブで練習することで、ミスに対してシビアになる。結果、しっかりしたスウィングが身につくようになる


全員がチャンピオン! 二宮家

(左から)●慎堂(ボク)1983年生まれ。13、15年四国アマ優勝。HC+2。ベストスコア59 ●英二(父)1958年生まれ。90、95年四国アマ優勝。HC0。練習場経営 ●薫(母)1960年生まれ。94~97、01、03年四国女子アマ優勝。HC2。主婦 ●歌奈子(妹)1985年生まれ。07年四国女子アマ優勝。HC5

週刊ゴルフダイジェスト2018年2月20日号より