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【通勤GD】時松プロを育てた異次元打法「みんなの桜美式」  Vol.1「引いて、引く」スウィング ゴルフダイジェストWEB

桜美式スウィングには「押す」方法と、「引く」方法があるとたけひさ先生は話してくれました。今週の通勤GDは、新連載「みんなの桜美式」第1話です。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ向学者
たけひさ先生
篠塚武久・73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信」

日本人に合ったスウィングがある

GD スウィングは「押す」「引く」ですか。「振る」や「打つ」とばかり考えていましたが。

篠塚 アマチュアのスウィングを私から拝見すると、ほとんどの方が押しているように見えるんです。まずは両手を重ね合わせたグリップにして右手を殺し、テークバックでは体と腕をネジり上げながら、左手主導でクラブを上げていく。この動作を言い換えれば、クラブを左手でグーッとトップまで押し込んでいることになります。

GD テークバックで押している、ですか。

篠塚 さらにトップからも、体と腕をネジり戻しつつ、やはり左手主導で、ヘッドを球にぶつけるように、やはり押す感じになります。

GD では多くのアマチュアのスウィングは、二度押しているわけですね。

篠塚 両手合体型グリップでのテークバックでの押しも、ダウンスウィングでの押しも、ときには飛ばそうとして目一杯押し込んでいる人などを見かけると、私にはとても不自然で、苦しそうに見えてしまう。

GD とすると、「桜美式」では、スウィングとは「押す」ではない?

篠塚 両手合体型で左手主導のオーバーラッピンググリップは、約100年前にハリー・バードンというイギリス人プロが考案したものです。つまり、両手合体型グリップから始まる「押す」スウィングも、欧米人に適しているものとして普及し、それを日本人が真似ているということになる。

GD 欧米人が押していたから、日本人も押すようになったと。

篠塚 でもね、欧米人と日本人とでは、骨格や肉付きも違えば、なにより文化も違う。私たち日本人には、「押す」スウィングはとても難しいのだと、私は思っています。たとえば、日本刀は引いて斬る武具で、柔道も襟を握って互いに引き合う武道です。日本生まれの合気道も、引いて相手の攻撃をかわす武術。一方、フェンシングは剣を押して使い、ラグビーやアメリカンフットボールは体を使って押します。

GD なるほど……。でも相撲は押しますよね。つっぱりなんか。

篠塚 だから相撲は、押すのが得意な外国人が活躍しています。スポーツで日本が強いのは競泳。あれは引きの動作だから。スポーツのみならず日常生活においても、日本人は引きの文化です。ノコギリは押さずに引いて使いますし、大八車も引いて運ぶ。寺の鐘は引いて離すだけで音を鳴らすし、稲は引いて収穫しますよね。

GD ゴルフも日本人には「引く」スウィングが合っている?

篠塚 ここに、分担型グリップの利点が出てきます。テークバックで右ひじを引いて、インパクト以降では左ひじを引いて、「引いて、引く」スウィングができる。

GD 「引いて、引く」?

引く引くスウィングは再現性が高い

篠塚 まずは、グリップは両手合体型ではなく、左右分担型のナチュラルなテンフィンガーが基本。そして右手を殺した左手主導でテークバックするのではなく、右手主導で右ひじを曲げてスッと引き上げる。これが1つ目の引くです。

いわゆるテンフィンガーグリップ

GD 確かにこれまでは、左手主導で左腕をピンと伸ばし、トップへと押し込む動作をしていました。

篠塚 するとね、余分な動きをせずにテークバックがとても自然で楽に上げられるようになるんです。左腕を伸ばす不自然なことをするとネジリも多く、腕も背中も、脚までもすべてが苦しい。自然で楽な動作こそが再現性が高いことを日本人は知っている。

篠塚 再現性の高さは、ゴルフには必須の素。やってみてください、右手主導で右ひじを曲げてスッと引き上げるテークバックなら、いつも同じところへ簡単に上げられる。トップの位置などに迷うことがないし、ケガの原因になるネジる動作もなくて済みますしね。

GD 確かに、圧倒的に簡単ですね。

篠塚 そして引き上げたクラブは、インパクト以降、今度は左手のひじを曲げてまたスッと引き上げるイメージで。今季も活躍した「桜美式」出身の源蔵くん(時松隆光プロ)のスウィングは力感がないとよく評されますが、それはダウンスウィングで押す意識、つまりは打ち込むことなどしておらず、「引いて、引く」、ただそれだけだから。

GD 右ひじを曲げて引き、左ひじを曲げて引く、ですね。

篠塚 いい練習法があります。練習というとみなさん球を打つことばかり考えますが、ゴルフは家でも上達できる。不要なアイアンのシャフトを短く切ったクラブを、テンフィンガーで握る。そして先ほどの「引いて、引く」動きをしてみる。

篠塚 そのとき、ヘッドがどんな動きをしているか見てほしいんです。長いシャフトだと、トップにいくまでにヘッドの動きなど見失ってしまうが、短いシャフトなら、右手とヘッドが連動しているのが見た目でわかります。

GD ヘッドを見つつ「引いて、引く」動きをしてみると、フェース面がローテーションしていないことがわかります。

篠塚 そう! それこそが「引いて、引く」スウィングの大切な成果です。フェースローテーションをムリにしなくてよいし、フェースが常に球を見た状態だから、圧倒的に簡単だし、ミスが激減します。

篠塚 「引いて、引く」は、球を打つことがプロに比べて少ないアマチュア向きだし、なにより私たち日本人向きです。自然で楽な「引いて、引く」スウィング、まずは短いクラブから試してみてください。

週刊GDより

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