【ヘッドデータは嘘つかない】低スピンのフェード系弾道が打ちやすい! プロギア「RS Fジャスト」ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はプロギアの『RS F ジャスト』ドライバーを取り上げる。
谷原秀人のエースドライバー
今年から契約プロになったJGTO選手会長の谷原秀人が、昨年末から使用をはじめたエースドライバー『RS F ジャスト』を紹介する。8月16日号で紹介したノーマルモデルの『RS』と同様に、フェースセンターに重心点、最大たわみ点、最高反発点を集約させることでボール初速がアップ。フラットなライ角とつかまりを抑えた重心設計で左へのミスを軽減させ、叩けるモデルになっている。
クラブとヘッドの計測結果を記載していく。いつもどおり、数値はすべて実測値だ。クラブ長さは45.31インチとやや長く、クラブ重量は307.4gとやや重い。加えて、スウィングウェイトもD3.2と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが293万g・㎠と大きくなっている。この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが46~47㎧くらいのゴルファーがタイミングよく振れる設計といえるだろう。
今回の『RS ジャスト』シリーズのなかで、いわゆるノーマルモデルの『RS(以下、ノーマル)』よりも縦の長さ(トウ〜ヒール)が長く、全体にやや縦長形状になっている。アドレスではオープンフェース(1.0度オープン)+フラットなライ角(56.5度)で、縦長のヘッド形状と相まって、球をつかまえ過ぎないイメージが出ている。
Point1 クラブ重量が307.4gとやや重い
Point2 クラブ慣性モーメントが293万g・㎠と大きい
Point3 左右方向のヘッド慣性モーメントは4616g・㎠と標準的
強いフェードが打ちやすい
試打クラブはヘッドがロフト角10.5度、シャフトがメーカー純正の『ツアーAD FOR PRGR(フレックスS)』仕様。シャフトは適度なしっかり感があり、インパクトの再現性も高いと感じた。『ノーマル』に比べ浅い重心深度(38.3mm)で、左右方向のヘッド慣性モーメントも4616g・㎠と小さいが、そのおかげで、インパクト付近でレベルにスウィングしやすくなり、結果的に厚いインパクトがしやすくなっている。
『RS F』はフェースの中央よりもトウ寄りにスイートスポットがあることが特徴で、フェースの中央で球をヒットしてもスライス系スピンが入りやすく、『F』(フェードの頭文字)の名前のとおり、全般に球をつかまえ過ぎない設計となっている。また、『ノーマル』同様に、前モデルよりも左右方向のヘッド慣性モーメントは小さく、結果、ネック軸周り慣性モーメントも7145g・㎠と小さくなっているので、前モデルよりもインテンショナルにヘッドの返りを操作しやすく、弾道もコントロールしやすいと感じるはずだ。フェースの反発自体は標準的な感じだが、『ノーマル』よりも少し低スピンで弾道は強く、ストレート~フェード系の弾道を打ちやすい。個人的には『ノーマル』よりも『RS F』のほうが飛距離は出ると感じた。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
プロギア
RS F ジャスト ドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月13日号より