【ヘッドデータは嘘つかない】パワーがなくてもつかまえて飛ばせる! ブリヂストン「B3 SD」ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はブリヂストンゴルフの『B3 SD』ドライバーを取り上げる。
ヘッド形状は兄弟モデルの
『DD』とまったく同じ
ボディをカーボン単一構造にした結果生まれた余剰重量をヘッド後方に配したブリヂストンゴルフ『B3 SD ドライバー(以下・SD)』を紹介する。
早速クラブとヘッドを計測していこう。なお、すべて実測した数値を掲載する。クラブ重量は277.6gと非常に軽いが、クラブ長さが45.75インチと長いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが285万g・㎠となっている。この数値はドライバーのヘッドスピードが41~42m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計だ。
メーカー発表のとおり、一緒に発売された『B3 DD(以下・DD)』とまったく同じ形状で、ヘッドの横幅が広めの丸型形状で、時計盤で表現すると4~5時方向の張り出しが大きく、いわゆる日本のつかまり系モデルらしい形状をしている。アドレスではフェースアングルが1度フックのフックフェースで、60.0度とアップライトなライ角もあり、球をつかまえるイメージが出ている。ちなみに、『DD』の回でも触れたが、商品説明にある「カーボンモノコックボディ」は17年前の2005年に発売された『ツアーステージ シナジー ドライバー』でも同じ言葉が使われていることから、『シナジー』の進化版と言えそうだ。
Point1 クラブ重量が277.6gと非常に軽い
Point2 ネック軸周り慣性モーメントが8047g・㎠と非常に大きい
Point3 クラブ全体慣性モーメントは285万g・㎠と標準的
純正シャフトはシニアゴルファーに最適
実際に試打したところ、まず構えた段階で球をつかまえたいイメージが伝わってくる。しかし、『B2』や『DD』同様に、アップライトなライ角度だが、トウ側の高さを低くすることで、アドレスでアップライトに見え過ぎないように工夫されていて、つかまり過ぎるイメージはない。
試打クラブは9.5度でメーカー純正の『テンセイ Red40(フレックスSR)』仕様で、シャフトはクラブを手にしただけでもたわむ、非常に軟らかいモデルで、ヘッドスピードが35~36m/sくらいの非力なシニアゴルファーでも十分扱えそうだ。
『SD』は重心深度が43.2ミリと『DD』よりも深いため左右方向のヘッド慣性モーメントが5176g・㎠と大きくなり、同時にネック軸周りの慣性モーメントも8047g・㎠と非常に大きいので、『DD』よりもダウンスウィングでヘッドの返りが緩やかになっている。また、『DD』のスイートスポットはヒール寄りで、フェースの真ん中で打っても球にドロー回転がかかりやすいのが特徴だったが、この『SD』のSS位置は、ほぼフェースの中央かつ高めなので、『DD』よりもスピンが適度に入りやすく、より弾道が安定する。実際に自分のクラブでキャリーが170ヤードくらいのシニアゴルファーに試打してもらったが、力みのないスウィングでも綺麗な弾道で効果的に飛距離が出ていた。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
ブリヂストンゴルフ
B3 SD ドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2022年9月6日号より