発売前からザワザワ…「HONMA“GS”が飛ぶらしい」ウワサの真相に迫る!
PHOTO/Hiroaki Arihara、Takanori Miki、Shinji Osawa
THANKS/横浜スポーツマンクラブ、ゴールデンクロスCC
2021年、ドライバーが新製品ラッシュを迎えるなか、試打会で「なぜかわからないけど、飛ぶ」と噂になっているのが、本間ゴルフの『GS』だ。月刊GDギアラボ取材班がその噂を検証すべく、調査に乗り出した。
どうしてそんなに真っすぐ遠くへ?
練習場に潜入し、飛距離を調査すると、90%のゴルファーが自分のドライバーより『GS』のほうが飛ぶという結果に。取材班も正直ここまでとは思っていなかった。この結果を受けて、クラブデザイナーの松尾好員氏に理由を聞いてみた。
「長さは45.5インチと若干長めですが、重さは296g(S)とやや軽く、スウィングウェートも実測でD0.8と大きすぎない。結果、振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメント(MOI)が抑えられ、さほどヘッド速度が速くない人でも振りやすくなっています」
なるほど、重さやバランスによって振りやすい。それが好結果の一因のようだ。
「またネック軸周りMOIが大きすぎないので、ヘッドを返しやすく、つかまった球が打てることもあるでしょう」(松尾)
それでは、実際にどういう構造になっているのか。詳しく見てみることにしよう。
「自分のドライバーより飛んだ」が90%!
アマチュアだけじゃない
谷原秀人が実戦投入!
早くも結果を出した
本間ゴルフには上位モデルの『TR20』があるが、谷原秀人はやさしい『GS』に替え、昨年の日本シリーズ2位という結果を出した。小田孔明も『GS』を使うなどプロの使用率も高まる気配だ
なぜ90%の人が飛んだのか
「飛びとやさしさが高い次元で融合」
振りやすく、つかまりやすい『GS』だが、ヘッド自体はどのような性能なのか。
「最近は寛容性を高めるためにMOIを上げる設計が主流ですが、『GS』は左右MOIが4578g・cm2、ネック軸回りのMOIが7091g・cm2と大きすぎない。その一方で極大MOIのモデルは、ネック軸回りのMOIも大きくなるため、ヘッドの帰りが悪くなる。『GS』はそれを回避することを意識した可能性はあります」(松尾)
松尾氏の基準によると、左右MOIは“やや大きい”、ネック軸回りMOIは“標準的となる。これが扱いやすさにつながっているのは間違いないようだ。
また、ソールのフェース近くに、クランク上のスリットを配していることも特徴のひとつ。このスリットには、フェースのたわみを作り、それを受け止めて弾き返す効果がある。試打会で“弾きの良さ”を口にする人が多かったのは、こうした理由があったのだ。
もうひとつ多かった声の“やさしさ”については、フェースの偏肉構造および後方のウェイトが寄与。偏肉構造は広い反発エリア、後方のウェイトはつかまりの良さにつながっている。
<KEYテクノロジー1> クランクスリット
センターヒット時の初速アップとミスヒット時のロスを防ぐ
『GS』のスリットはクランク形状なのが特徴的。これによってセンターヒット時の瞬時の反発性能は確保しつつ、トウヒットしたときには高いギア効果を発揮し、飛距離ロスを最小限に食い止める。
<KEYテクノロジー2> キールデザイン
タングステンでつかまりUPとMOIの増大
ヘッド後方に標準で9gのタングステンウェイトを装着。慣性モーメントを高めるとともに、ややヒール寄りに配置することで、つかまりの良いヘッドになっている。
<KEYテクノロジー3> ノンローテーティングシステム
調角してもシャフトの向きが一定
『GS』も本間ゴルフ独自の“ノンローテーティングシステム”を採用。調角したときにも、シャフトが回転しないため、シャフトの挙動が常に安定する。
<KEYテクノロジー4> ラジアルフェース
放射状の偏肉フェースで下め打点でも高初速
フェースを放射状に偏肉させることで、特にアマチュアに多い“下めヒット”でも高初速を維持。下部でもセンター比で98%の反発力を誇る
<KEYテクノロジー5> スピードチューンシャフト
ヘッドを最大限に加速させ、かつ当たり負けしない
先中調子で走りの良い設計だが、先端はやや剛性を高めることで過度のスピンと当たり負けを防ぐ。「今回のシャフトもよく吟味されて設計されています」
シャフトスペック(R)=重量/48g、振動数/225dpm、トルク/5.7、キックポイント/先中調子
T//WORLD『GS』ドライバー
ロフト角/9.5度、10.5度、11.5度
長さ/45.5インチ
ヘッド体積/460cc
価格/74,800円(税込)~
「高初速」なだけじゃない!
『GS』3つの特徴
「ブレない」:カーボン複合ヘッドと同等のMOI
フルチタン構造は、カーボンコンポジットに比べ設計の自由度が低く、MOIを大きくしづらいが、『GS』は同社の『TR20 460』と同等のMOIを実現。
「つかまる」:低重心なのに深重心も確保
通常、重心を低めにすると重心は深くなりにくいが、そのなかでも極力重心を深くすることに成功。つかまりの指標となる重心角も25.5度を達成。
「高弾道」:フルチタンでも重心は低め
フルチタンのヘッドは、カーボンコンポジットに比べて重心が高くなりがちだが、『GS』は重心を低めに抑え、高弾道の球が打ちやすくなっている。
HONMAの伝統が息づいている
「違和感ゼロの顔」これも大事な性能
本間ゴルフのクラブといえば、構えたときの“顔”の良さに定評がある。『GS』にもその伝統は継承されているようだ。
「ヘッドの横幅が広い丸型形状。そしてきれいなスクエアフェース(フェース角0度)で素直に構えやすい」(松尾)
プロ目線からの試打を担当した福永和宏プロも、顔の良さに太鼓判を押す。
「やさしいクラブって、フェースがかぶっているものが多いなか、『GS』はきっちりスクエア。僕らはパッと見で違和感があると打ちたいと思わない。そういう意味では、目の肥えたゴルファーでもすんなり手に取れる。この顔ならプロが使うのもうなずけます」
さらに弾道がイメージできることも大きいという。
「シャローフェースで、ヘッドが後方に長いのでボールが上がりそう。丸型だからつかまりも良さそう。で、実際に打ってみると高弾道でつかまる。見た目にラクそうだな、と思ってそのとおりの球が出る。つかまりが悪そうなのにつかまるとか、またはその逆だと、スウィングに影響が出ますから。コースで頼りになるクラブは、顔の感じと弾道が一致するもの。これも立派な性能です」(福永)
福永和宏プロの試打インプレッション
「顔のイメージどおりの球が打てる」
1. ドローンとした高弾道でキャリーが伸びる
「ヘッドの見た目どおり、高弾道の球が打ちやすい。スピン量はやや少なめで、風にも強いドローンとした大きな放物線弾道で飛ばせる」
2. 芯を外してもヘッドの挙動が安定している
「トウやヒールに打点がズレてもヘッドのブレが少ない。弾きが良いので動く前に飛んでいくような雰囲気。当たり負けないシャフトの性能も見逃せない」
3. 実際より短く見えてとても安心感がある
「45.5インチとやや長めのドライバーにも関わらず、ヘッドの投影面積が大きいこともあって、実際よりも短く感じる。コンパクトに振り抜けそう」
4. 弾きの良いエリアがとても広い
「歴代の本間ゴルフのドライバーの中では、最も弾きが良い。さらに多少芯を外しても弾き感があまり変わらないのが驚き」
アイアンまでラインナップ
FWとUTで役割が明確に分かれている
T//WORLD GS FW
ドライバーの流れを汲む弾きの良さ
「弾き感が強くて、高弾道の球が打ちやすい。さらにミスヒットにも強い。いずれもドライバーとの共通点で、ドライバーからの流れがしっかりとできている」(福永・以下同)
T//WORLD GS UT
グリーンで止められる高さを出しやすい
「FWの弾き感とは異なり、音も静かで“運ぶ”
イメージが強い。グリーンに対していかに高い球で運べるか、というUTで最も必要な性能がしっかり詰まっている」
T//WORLD GS アイアン
飛び系だけどしっかりスピンも入る
「ポケットキャビティの効果で、やや下め打点でも球が上がる。驚いたのは打感。飛び系(7番で29度)とは思えない軟らかさ。スピンも適度に入ってグリーンで止まりそう」
ニュー「D1」ボールと組み合わせたら
さらなるビッグキャリーに!
アベレージゴルファーを中心に「飛ぶ」と評判のHONMA『D1』ボール。今回『D1スピードモンスター』という新モデルが登場。さっそく『GS』ドライバーで試してみることに。
「基本はディスタンス系だけど、ほどよくソフトなフィーリング。でも弾き感が強くて、『GS』ヘッドの弾きとあいまって、飛距離が期待できる。実際、かなり飛びましたね。バックスピンもサイドスピンも少なめなので、真っすぐ遠くへ飛ばせる。ドライバーとの相性は良さそうです」(福永)
飛距離性能で人気の『D1』を超える飛びとグリーン周りでのスピン性能向上を目指して開発された。メーカーによると、D1と比べ、プラス5Y(HS42m/s)飛ぶという