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【ヘッドデータは嘘つかない】左を嫌うパワーヒッターに最適! キャロウェイ「ローグST ◆◆◆」ドライバー

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はキャロウェイゴルフの『ローグST ◆◆◆』ドライバーを取り上げる。

いかにも左に行かなさそうな設計

ツアープロが求める弾道や操作性を高め、ソール前方のウェイトで浅重心を実現した『ローグST ◆◆◆(トリプルダイヤモンド)ドライバー』を紹介する。

早速クラブとヘッドを計測していこう。表記している数値は実測値だ。クラブの長さが45.0インチと標準的とはいえ、近年ではやや短めの設定だが、クラブ重量が320.1gと重く、スウィングウェイトもD4.5と非常に大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが296万g・㎠と非常に大きくなっている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが48~50㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計だ。

ヘッドを見ていこう。最近のキャロウェイの形状らしく全体に丸型だが、標準モデルの『ローグST MAX(以下、ST MAX)』よりもひとまわり小ぶり感が出ている。アドレスでは米国モデルらしいオープンフェース設計(1.0度オープン)で、フェースはまったくかぶっておらず、フェース面のトウ側に逃げ感が出ている。また、ヘッドのトウ側の高さが低めなので、アドレスでは58.0度のややフラットなライ角が数値以上にフラットに見える工夫がされている。

Point1 ヘッド重量が204.5gと非常に重い
Point2 ネック軸周り慣性モーメントは7530g・㎠と大きい
Point3 スウィングウェイトがD4.5と非常に大きい

ハードヒッターがさらに飛ばせる

実際に試打したところ、球をつかまえ過ぎないイメージが出ている。試打クラブは9.0度でメーカー純正の『スピーダー TR(フレックス6S)』仕様だが、シャフトはかなりのしっかり感があり、このシャフトならヘッドスピードが50クラスの超パワーヒッターでも大丈夫だろう。ヘッドは標準モデル『ST MAX』よりも更にヘッド重量が重くなり、ボール初速を上げやすくなっている。また、重心深度は37.5ミリと『ST MAX』よりもかなり浅くなり、インパクト付近をアッパーではなくレベルにスウィングしやすくなっている。

ヘッドサイズが451㏄と『ST MAX』より小ぶりで、左右方向のヘッド慣性モーメントは4798g・㎠、ネック軸周り慣性モーメントも7530g・㎠と『ST MAX』よりも小さいので、ヘッドの操作性は良くなりインテンショナルに球を操れそうだ。キャロウェイとしては珍しくフェース中央よりもややトウ寄りにスイートスポットを配置してあり、フェース中央で球をヒットしてもギア効果で球にスライス系回転が入りやすくなっている。基本、球をつかまえ過ぎずにフェード系で攻めるドライバーになっているのが大きな特徴だ。クラブ長が長過ぎないことも良く、ミート率を上げ、しかも、重いヘッド重量でボール初速が出るので、ヘッドスピードが48㎧以上のゴルファーにとって、今以上の飛距離を出しやすいクラブだ。

米国モデルらしく、構えたときにまったくかぶって見えないオープンフェース設計とフラットなライ角度、そして逃げ顔なので球がつかまり過ぎないイメージが出ている

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

キャロウェイゴルフ

ローグST ◆◆◆ ドライバー

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2022年8月9日号より