【ヘッドデータは嘘つかない】左を嫌う中上級者にオススメ! ヨネックス「イーゾーン CB511 フォージドアイアン」
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はヨネックスの『イーゾーン CB511 フォージドアイアン』を取り上げる。
軟鉄鍛造の打感と安定したスピン量が魅力
フェース裏にグラファイト制振材を内蔵することで振動を抑えるとともに低重心化を実現した『イーゾーン CB511 フォージドアイアン』を紹介する。
今回もアイアンなので、7番のクラブ(計測シャフトは日本シャフト『NSプロ モーダス3 ツアー105フレックスS』仕様)やヘッドを試打・計測していこう。すべて実測した数値だ。クラブ長さが36.75インチとやや短いが、クラブ重量は421.3gとやや重いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが269万g・㎠とやや大きくなっている。この数値であれば、本来はドライバーのヘッドスピードが44~45㎧くらいのゴルファーがタイミング良く振れる設計といえるだろう。
ではヘッドの細部をみていこう。全体的にはフェース長さが短めのプロモデル形状。フェースのヒール側の高さと比較してトウ側の高さが低いので、アドレスではライ角がフラットに見え、球がつかまり過ぎるイメージが出にくく、また、同時にヘッド全体には四角いスクエア感があり、スクエアインパクトをイメージさせている。
Point1 クラブ長が36.75インチとやや短い
Point2 重心深度が1.6ミリと浅い
Point3 クラブ全体の慣性モーメントが269万g・㎤とやや大きい
フェード系弾道が打ちやすい
実際に試打したところ、短めのフェースの本格派ツアーモデルで、リーディングエッジやトップラインのエッジがシャープに研磨され、全体にシャープ感が出ている。そして、日本メーカーの標準的なグースネックで球を包み込む感じはあるが、フェーストウ側が低いので、左へのミスが出にくいイメージもある。
試打クラブの『NSプロ モーダス3 ツアー105フレックスS』は適度なしっかり感があり、インパクトの再現性も高い。そして、7番のリアルロフトが32.5度とまったくストロングロフトではないので、フェアウェイのあるがままの状態(球をドロップした状態)からでも球を上げられ、スピンも適度に入るので、グリーン上で球をしっかり止められる。また、軟鉄ヘッドで打感も良く、インパクト音も低いので、上級者は打っていて気持ちいいと感じるはずだ。そして、ソールのバウンス角は6.5度と適度についているので、ターフを取るようなダウンブロースウィングでのソールの抜けはいい感じだ。
そして、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが5052g・㎠とやや小さく、ヘッドの操作性が良いので、インテンショナルに弾道を操作しやすい。とはいえ、フェース面のスイートスポット位置がセンターよりヒール寄りのため、ダウンスウィングで球をフェースのヒール側に引きつけて打てるフェード系プレーヤーに向いているだろう。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
ヨネックス
イーゾーン CB511 フォージド アイアン
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2022年7月26日号より