【ドライバー研究】2020年「春発売モデル」徹底試打! マーベリックマックス、本間、ミズノ…あなたはどのドライバーを選ぶ?
年明けの新製品ラッシュから少し遅れて、「春モデル」ともいうべきドライバーが各メーカーから続々発売される。注目の「マーベリック」をはじめ、3月以降発売のモデルを試打キング・堀越良和プロが試打チェックした!
【試打・解説】堀越良和プロ
週刊ゴルフダイジェストでお馴染みのキング・オブ・試打。ドライバーからパターまであらゆるギアを試打するスペシャリスト
春モデルはセミアスリート向きの個性派が勢ぞろい
「AI」(人工知能)を使ったフェース設計がさらに進化し、プロの間でも「飛距離が出る」と話題のキャロウェイ「マーベリック」シリーズ。
先行発売された2機種に加えて第3のモデル、「マーベリック マックス」が、満を持して春モデルとして登場。果たしてその実力は?そして、先行2機種との違いは何か?
堀越 投影面積の大きさ、ヘッド慣性モーメントの大きさなどが、『マックス』のネーミングに込められているはずですが、その狙いどおり、『スウィートエリアの広さ』や『直進性』が、先行2モデルと比べてもかなり高いという印象です
年明けに発売されるモデルはすでにシーズンがスタートしている米ツアーに実戦投入済みであることが多く、プロ・アスリート向けモデルの色合いが濃い。
対して本格的なシーズンインを目前にした春モデルは、アマチュアゴルファーに向けたモデルが多い。
堀越 『サブゼロ』は完全にアスリート向け、ノーマルの『マーベリック』は、それより上下方向に芯を拡大した感覚ですが、『マックス』はさらに全方位に芯を広げた感じです。少しくらい芯を外しても弾道、手応えが、芯で打ったときとほとんど変わらない。方向性が安定するうえに、飛距離が落ちないという頼もしい性能です。
マックスはつかまる中弾道。サブゼロはハードヒッター向き
マーベリック マックス(キャロウェイ)
長さ:45.75㌅
ライ角:59度
ヘッド体積:460cc
ロフト角:9度、10.5度
クラブ重量:288g
シャフト:ディアマナ40
芯を外しても問題なく真っすぐ飛ぶ
マーベリックシリーズ最大の投影面積と慣性モーメントで直進性が高い。AIの設計による高初速性能は前モデルよりもアップしている。
堀越 弾道からは芯を外したことすらわからないほどの直進性。シャフトが40㌘台と軽量で振りやすいが、頼りなさは一切ない。
飛距離 :5/5
球の高さ :4/5
打感 :4/5
操作性 :4/5
ミスの強さ:5/5
マーベリック サブゼロ(キャロウェイ)
プロ好みのハード系。思い切り叩ける
450ccと少しだけ小ぶりなヘッド。ライ角が他の2モデルよりフラットで左に飛びにくい。プロや上級者が安心して叩ける仕様。
堀越 打ち手を選ぶものの十分な高さが出て飛距離性能が高い。ボールを曲げられる操作性もある。
飛距離 :5/5
球の高さ :3.5/5
打感 :4/5
操作性 :5/5
ミスの強さ:3.5/5
マーベリック(キャロウェイ)
キャリーで距離を稼ぐ高弾道タイプ
他2モデルの中間的位置付け。AIによる高初速フェース、空気抵抗の少ない空力ボディなどを搭載。
堀越 信を外したときの飛距離ロスの少なさ、直進性の高さはエピックシリーズよりも向上している。
飛距離 :5/5
球の高さ :5/5
打感 :4/5
操作性 :4/5
ミスの強さ:4.5/5
「マーベリック」以外に春モデルで注目なのは?
続いて紹介する4メーカー8機種のヘッドには、共通点が2つある。
ひとつはカーボン複合ヘッドだということ。もうひとつは、ヘッドが後方に長く、フェースから離れるほど薄くなる「シャローバック形状」だということだ。
堀越 単に重心深度を深くするだけだと、フェース上の重心高さが高くなってしまうので、重心を下げつつ、深くしていく必要があります。それを実現するのが『シャローバック』ということで、ヘッド形状からは、各メーカーとも、慣性モーメントの高さ(方向性のよさ)と、ボールの上がりやすさを追及していることがわかります。
メーカー別に特徴を見ていくと、
堀越 本間ゴルフは、シャフトを含めたトータルパッケージでの完成度の高さがすごい。とくに『TR20-460』は、プロが試合で使えるクオリティでしょう。
日米共同開発。本間ゴルフ「TR20」
T/ /WORLD TR20-460(本間ゴルフ)
長さ:45.25㌅
ライ角:59度
ヘッド体積:460cc
ロフト角:9.5度、10.5度
クラブ重量:308g
シャフト:ウィザードTR20-50
キャリーで飛ばすオートマモデル
チタン製のボディを上下からカーボンで挟む形の構造で、高いカーボン含有率による設計自由度の高さをいかんなく「やさしさ」につなげている。
堀越 芯の広さと音のよさが、素直に「いいクラブ」と感じさせる。スペックによってはプロが試合で使える完成度。
飛距離 :4.5/5
球の高さ :4/5
打感 :4/5
操作性 :4/5
ミスの強さ:4.5/5
T/ /WORLD TR20-440(本間ゴルフ)
長さ:45.25㌅
ライ角:59度
ヘッド体積:440cc
ロフト角:9.5度、10.5度
クラブ重量:308g
シャフト:ウィザードTR20-50
操作性が高くトータルバランスがいい
小ぶりヘッドながら「460」同様、カーボン含有率の高さで、やさしさが際立つ。
堀越 ヘッドの基本設計がよく、シャフトとのマッチングも◎。いろんな打ち方ができる。
飛距離 :4/5
球の高さ :4/5
打感 :4/5
操作性 :5/5
ミスの強さ:4/5
堀越 オノフは、とくに『RD5900』の直進性の高さが抜群です。
オノフはやさしさがコンセプト
AKA RD5900(オノフ)
長さ:45.25㌅
ライ角:62度
ヘッド体積:460cc
ロフト角:10.5度
クラブ重量:298g
シャフト:ハイリプレッションキックD5900
高慣性モーメントで芯を外しても曲がらない
5ピース構造で、ソール後方にステンレスウェートを装着。ルール上限に近い慣性モーメントを実現した。
堀越 重心距離が長いのでつかまりは中程度だが、その分曲がらなさはピカイチ。シャフトの先端側がしっかりしていて、それが安定感をさらに増している。
飛距離 :4.5/5
球の高さ :4.5/5
打感 :4/5
操作性 :3.5/5
ミスの強さ:5/5
AKA(オノフ)
長さ:44.75㌅
ライ角:60度
ヘッド体積:460cc
ロフト角:10.5度、11.5度
クラブ重量:298g
シャフト:スムースキックMP-520D
弾いて上がる。球筋も作りやすい
たわみ、復元することで初速をアップするリブがヘッド上下に配されている。
堀越 「RD5900」より弾き感が強く、よく上がる。手元側までシャフト全体がなめらかにしなり、扱いやすい。
飛距離 :4.5/5
球の高さ :4.5/5
打感 :4.5/5
操作性 :5/5
ミスの強さ:4.5/5
堀越 ミズノは2機種とも、いい意味で〝ミズノらしさ〟が薄れた機能性重視タイプで、新しいファンを獲得できそう。
ミズノが送り出す世界戦略シリーズ
ST200X
長さ:45.75㌅
ライ角:59度
ヘッド体積:460cc
ロフト角:10.5度
クラブ重量:286g
シャフト:20MフュージョンD49
つかまりがよく球が上がりすぎない
フェースのたわみを増加させ、スウィートエリアを広げる「ウェーブソール」に加え、偏肉カーボンクラウン、あえて反発力の高いベータチタンを使用した新フェースなど、新機能を多数搭載した世界戦略モデル。
堀越 ミズノ史上最高と言っていい弾きのよさ。「ST200」より重心距離が短めでつかまりがいい。
飛距離 :4.5/5
球の高さ :4.5/5
打感 :4/5
操作性 :4/5
ミスの強さ:4.5/5
ST200
長さ:45.5㌅
ライ角:56.5度
ヘッド体積:460cc
ロフト角:9.5度
クラブ重量:288g
シャフト:ツアーAD GM-200 D55
これまでのミズノになかった弾き感が新鮮
鍛造ベータチタン製フェースは、打感もよく、フィードバックが得やすい。
堀越 強くて前に前に進む球。内部の重心位置が絶妙で球も上がる。手元側がしっかりしていてヘッドスピード45m/sは欲しい感じ。
飛距離 :5/5
球の高さ :3.5/5
打感 :4/5
操作性 :4.5/5
ミスの強さ:4/5
堀越 コブラは、4メーカーの中では、いちばんアスリート向けの印象が強く、やや打ち手を選ぶかもしれません。
コブラはレーシングカーから発想
キング スピードゾーン エクストリーム
長さ:45.25㌅
ライ角:58.5度
ヘッド体積:460cc
ロフト角:10.5度
クラブ重量:296g
シャフト:スピーダーエボリューションSZ
適度なスピンが入る高弾道ヘッド
ノーマルの「スピードゾーン」よりウェートを増やして、慣性モーメントを増大。空気抵抗を減らすヘッド形状で振り抜きがいい。
堀越 ノーマルよりかなり高さが出るが、強弾道なのは共通。つかまりは普通で直進性重視タイプ。難しいというほどではないが、どちらかというとアスリート向け。
飛距離 :5/5
球の高さ :4/5
打感 :4/5
操作性 :4/5
ミスの強さ:4/5
キング スピードゾーン
長さ:45.25㌅
ライ角:57.5度
ヘッド体積:460cc
ロフト角:10.5度
クラブ重量:304g
シャフト:ツアーAD 65
弾き感のある打感で初速性能が高い
精密ミーリングフェースで高反発ゾーンを拡大。
堀越 打感が硬めで叩きたくなる性能。ヘッド自体の基本性能はやさしいが、シャフトとの組み合わせによってはかなりハード仕様になる。アスリートにぴったり。
飛距離 :5/5
球の高さ :3.5/5
打感 :4/5
操作性 :4.5/5
ミスの強さ:4/5
球筋の傾向としては、どちらかというと「左に行きにくい」モデルが多かった。
飛距離性能は、なかなか甲乙つけがたいようだ。
堀越 全体としては、それぞれのモデルが『個性強め』で、いわゆる『万人向け』というより、ターゲット層に対しては『ひたすらやさしい』という印象です
週刊ゴルフダイジェスト2020年4月7日号より