【ヘッドデータは嘘つかない】低めの強弾道で飛ばしたいアスリート向け! ブリヂストン「Bリミテッド B1」ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はブリヂストンゴルフの『Bリミテッド B1』ドライバーを取り上げる。
中・低弾道の強い球が打ちやすい
ブリヂストンの新シリーズである『B ドライバー』。3モデルあるドライバーのなかで、もっとも逃げ顔でつかまり度合いの小さいカスタム専用モデルの『Bリミテッド B1』を紹介する。
では、クラブとヘッドを計測していこう。数値はすべて実際に測定した値になる。クラブ重量は308.1gとやや重いが、クラブ長さが45.19インチと長すぎないので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが290万g・㎠に抑えられている。この数値であればドライバーのヘッドスピードが44~45m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえるだろう。
細部を見ていこう。ヘッドの横幅が狭めで、アドレスでやや縦長形状のイメージもあるが、時計盤の4~5時方向の張り出し感もあり、日本のつかまり系モデル的なイメージも残されている。そして、米国モデルのような強いオープンフェース(1.5度オープン)が特徴で、またヘッドのトウ側の高さを低めにすることで、アップライトに見えすぎない工夫もされている。そして、リアルロフト角が8.8度と標準の『B1』よりも設定が厳しく、より中・低弾道を打ちやすくなっている。
Point1 クラブ慣性モーメントが290万g・㎠とやや大きい
Point2 ヘッド体積は427ccと標準的
Point3 ネック軸周り慣性モーメントが7714g・㎠と大きい
パワー系ゴルファーにピッタリ
実際に試打したところ、アドレスでは強いオープンフェースなのでスクエア感が強く、ヘッド体積が427㏄とやや小ぶりなプロモデルらしく、インテンショナルに弾道を操作できそうなイメージが出ている。
試打クラブは9.5度でメーカー純正シャフト『ツアーAD BS-6』(フレックスS)仕様だったが、シャフトはプロモデルにしては軟らかめで、素直なしなりでヘッドスピードが42~43m/sくらいのゴルファーでも十分に扱えそうだ。標準『B1』に比べ、ヘッドの重心距離が38.5ミリと長く、重心深度も41.3ミリと深く設定されているため、結果、標準『B1』よりもヘッドの慣性モーメントが4997g・㎠と大きくなっている。同時にヘッドのネック軸周りの慣性モーメントも7714g・㎠と標準『B1』よりも大きく、ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかなので、球のつかまり感を抑えたフェード系弾道を打ちやすくなっている。リアルロフト角設定が厳しいので自然と中・低弾道になりやすく、ボール初速が速めの強い弾道を打ちやすいクラブといえるだろう。
9.5度のワンスペックで8.8度とリアルロフト角が厳しいため、ヘッドスピードが43㎧くらいのゴルファーでは難易度が高いだろう。ヘッドスピードが48㎧くらいあるパワー系ゴルファーにとっては、標準『B1』よりも強弾道でさらに飛距離を伸ばせそうなクラブだと思う。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
ブリヂストンゴルフ
Bリミテッド B1 ドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2022年4月26日号より