「ソールを使う」ってこういうことか! ウェッジのバウンスは“滑らせる”よりも“当てる”が正解です
「ウェッジはバウンス(ソール)が大事」などとよく言われるが、そもそもなぜバウンスが大事なのか、どうすればバウンスを生かすことができるのか、そして様々なタイプがあるソール形状はどのように選べばよいのか。アプローチの上達に役立つ、バウンスの役割や考え方についてご紹介!
PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/大宮GC
バウンスは積極的に“当てる”
解説/高梨祥明さん
ゴルフ専門誌の副編集長として長年ギアの取材活動を行い、その後独立。ゴルフクラブの機能や歴史に関して圧倒的見識を持つ
アプローチが苦手だという人は、バウンスについてネガティブな印象を持っているように感じるという高梨さん。
「バウンスって“跳ねちゃう”とか“刃が浮く”とかそんな声を聞きます。でもバウンスがないと地面でも砂でもヘッドがどんどん潜ってしまう。ジーン・サラゼンがソールに出っ張りをつけてウェッジを世に出した1932年以前に逆戻りです」
ゴルフショップなどでウェッジを品定めする際、床の上でソールするとウェッジの刃が浮く。それで跳ねそうとかトップしそうとか感じてしまうのかもしれない。
「でも刃が浮かないものはウェッジじゃない。実際に使うのはコースです。芝が薄い時季でも床の上にボールがあるわけではありません。ベアグラウンドとかでない限り、ボールはティーアップされているようなものですから、バウンスによってボールとの高さがちょうど合ってくるんです」
ここでポイントとなるのが、バウンスを地面に“当てる”感覚だという。
「バウンスを地面に当てたときに感じる“抵抗”を“跳ねる”と感じるかもしれませんが、これを避けてはウェッジを使う意味がありません。嫌がってボールを右に寄せてハンドファーストが強くなるとバウンスが消える。刃が刺さりやすくなるのはわかると思います。そうでなくてもウェッジはクラブが短いので軌道がアップライト。クラブが鋭角に入ってくるので、ヘッドの動きを下向きから目標方向へと変える必要があります。そのために必要な“抵抗”を作るのがバウンスの最大の役割です。抵抗という言葉にもプラスのイメージは持ちにくいかもしれませんが、ヨットなら帆で風の、船なら舵で水の、飛行機ならフラップで空気の抵抗を作って、進みたい方向に進むわけです。ウェッジはバウンスを当て、地面の抵抗を受け、進行方向へとヘッドを向かわせる。それがボブ・ボーケイさんの言う“バウンスはウェッジのエンジン”という言葉につながると思います」
ヘッドの動きを下から前(目標方向)に変える
これがバウンスの役割
バウンスが使える構えとは?
PGAツアーではシャフトを真っすぐ構える選手が多い。「バウンスを積極的に使おうとしている意図が見えます。これなら絶対に刺さらないしアプローチが簡単なはず。こうやってバウンスを使えるようになれば“感性”が生まれます」(高梨)
15Yのアプローチで合うソールはほぼわかる
解説/堀越良和
「キング・オブ・試打」の異名を取る。特にウェッジへの造詣が深い
バウンスの正しい使い方を踏まえたうえで、次はグラインドを見てみよう。堀越プロは約15ヤードキャリーやチップショットで試すといいと言う。
「短い距離はヘッド速度が遅いのでクセが出やすいんです。打ち比べると“なんか打ちやすい”とか“これはダメ”というものがわかります」
具体的にはフル型か三日月型かで性格が変わる。
「フル型はよりバウンス効果を感じるので、接地後に目標方向だけでなく上向きにもベクトルを感じます。ですからやや球は高めに出ます。三日月型は、接地後目標へ向かう力が強いので球が低めに。いずれにしても、思い切って地面に当てないとグラインドの意味はない。そこは意識を変えていきましょう」
たとえばボーケイSM9は
フル型、三日月型それぞれ3タイプのグラインドを用意
●グラインド量が少ない「フル型」ソール
バウンスの頂点は後ろ側にある
フル型ソールは基本的にバウンスの頂点が後ろ。入射角がきつくなく最下点近くで拾っていくタイプに合う
【フィットする打ち方】
ボールは真ん中寄り。拾うように振っていく
ひざも頭も動かさないで、腕を主体にひじから先をやわらかく使っていくイメージだ
●グラインド量が多い「三日月型」ソール
バウンスの頂点は真ん中寄りにある
三日月型はバウンスの頂点がフル型よりも前。鋭角に入ってきても頂点が当たりやすくなるので抜けていく
【フィットする打ち方】
やや鋭角に上からとらえていく
体の軸よりボールを右に置いて、ハンドファースト気味にとらえていく人でも使いやすい
バウンス効果の大きいものほど高弾道の傾向に
バンカーでもチェック
やさしく出したいならK、D、Fの順
月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より