【ギアラボ】タイガーがボールに求める「ディープ感」とは? ブリヂストン・新「ツアーB X/XS」の性能に迫る
タイガーがボールに求めた「ディープ感」。新しい「ツアーB X/XS」にはその要素が盛り込まれたという。ボールの研究と試打でその真の性能に迫った。
PHOTO/Tomoya Nomura、Hiroaki Arihara THANKS/マグレガーCC
2月11日にニューモデルが発売されたブリヂストンのプロボール「ツアーB X/XS」。このニューモデルは、タイガー・ウッズの感性をフィードバックして開発されたのだという。
前作、2020年モデルの「ツアーB X/XS」は、スピン量に加えてボール初速をコントロールすることを目指し、ロングショットは高初速・低スピン、ショートゲームでは低初速・高スピンを実現。「飛んで止まる」を高い次元で両立させたことでプロやトップアマからの評価が非常に高く、「とくに不満はない」「満足している」という声が多く聞かれるほどの完成度だった。
このように完成度の高いボールを刷新するのは難しいものだが、使用者の声を細かく拾いながら改善の方向性を探るなかで、タイガー・ウッズの「アプローチにもう少しディープ感がほしい」という声が進化の方向性を決めるヒントになったという。
タイガーの言う「ディープ感」とは何なのか。開発チームがタイガーとのコミュニケーションや製品テストを繰り返すなかで見えてきたのは、低めの打球音と、フェースとボールの接触時間中に感じられる、フェースへの「乗り感」だった。
インパクト時のフェースとボールの接触時間のうち、ボールがフェース面上を滑る時間を極力短くし、フェースがボールにくっついて回転を与える時間を長くすることで、フェースにボールが乗り、プレーヤーの感性がしっかりとボールに伝わる。カバーのウレタンに新開発の衝撃吸収材を配合することでこれを可能にし、前モデルのよい部分を継承しつつ、さらに進化することに成功したのが新しい「ツアーB X/XS」なのだ。
タイガーの言った「ディープ感」。その答えは…
フェースの「乗り感」と「低い打音」だった!
インパクトでボールがフェースを滑らない
新たに開発された「リアクティブiQ・ウレタンカバー」の効果で、インパクトでのフェースとボールの接触時間中、フェース面をボールが滑る時間が短く、フェースとボールがくっついてボールに回転を与える時間が長くなったことでフェースにボールがより長く「乗る」ようになった
カバーの衝撃吸収率アップ
「乗り感」と低い打球音を実現したのは、カバーのウレタンに配合する衝撃吸収材を改良したため。左のウレタン素材に比べ、右の衝撃吸収材に鉄球を落としたときは跳ね方が全然違う
ロングショットではさらに低スピン
風に強い球が出る
新しい「ツアーB X/XS」は、ショートゲーム性能が上がっただけではない。ロングショットにおいても「より風に強い弾道がほしい」というプロの声を受け、高初速・低スピン性能にさらに磨きをかけた。
具体的には既存の「ハイスピード・インナーカバー」を継承しつつ、新開発の「ハイドロLSコア」を採用したことで、内部の硬度差を拡大。中心ほど軟らかく外側ほど硬い「内軟外硬」を強調したという。
これによってロングショットの弾道がより強くなり、アゲンストでも伸びていく強弾道を得られるようになった。
「内軟外硬」がさらに進化した
インナーカバー層は初速性能の高い硬い素材を前モデルから継承しつつ、コア層はより軟らかい新開発のものを採用。中心部と外側の硬度差を大きくすることで、ロングショットでの高初速&低スピンをパワーアップさせた
試打した芹澤大介プロは、前モデルから「乗り感」も球の強さも明らかにアップしたと話す。
「『XS』はフェースにボールがくっつく感じの軟らかい打感でスピン性能が高い。本当によくフェースに乗ります。『X』はしっかりした打感でわずかに弾きが強く飛距離性能で上位。球も強い。ただし性能面の大きな差はないので、ほぼ打感の好みで選ぶのがいいと思います」
打感や弾道に若干個性は出たが、極端な性能差はない。しっかりした打感が好きでスピンを抑えたいなら「X」、フェースにくっついて押し込める打感が好きなら「XS」がおすすめ。計測にはガーミン「Approach R10」を使用
月刊ゴルフダイジェスト2022年4月号より