頑固おやじのクラブ工房Vol.29 アイアンのシャフトがヘタるってアマチュアでも起こるの?
気に入ったクラブを長いこと使っていると、シャフトがヘタってしなり具合が変わってくるという人もいる。でも、大丈夫、あることをすればすぐ解決だぜ! 今週の通勤GDは「頑固おやじのクラブ工房Vol.29」
Q、シャフトのヘタり時期を教えて!
最近、アイアンのスチールシャフトが切り返しでクチャっと中折れする感じでがして、タイミングが合いません。使い始めて3年目ですが、これが“シャフトがヘタる”ということですか?(37歳・HC7・会社員)
“金属疲労”
なんて起こらない
「オヤジさん、やっぱりスチールシャフトって、ヘタるんですか?最近、どうもアイアンの調子が悪くて」
「ああ、そうだよ、シャフト交換しなきゃな…と言いたいところだが、シャフトがヘタる、なんて
ことはねえよ」
「でも、よくプロも言ってるじゃないですか、ヘタるって……」
常連さんの親戚で、以前から面倒を見てる飛ばし屋なんだけど、まあ練習量もそこそこ多いから、スチールは“金属疲労”でヘタる、なんてプロや上級者の話を真に受けても仕方ないかな。
「お前さんの言うヘ夕るってのは、しなりのフィーリングが変わったってことだろ?」
「そうです。切り返しでグニャッというか、中折れ感がして。振り遅れる感じなんです」
「本当に“金属疲労”でグニャッとくるようなら、すぐポッキリ折れちまうよ。スチールシャフトな
んて、メッキの表面にサビが浮いてくるくらいでも、なかなか折れないけどね」
「じゃ、しなり感が変わったのは、気のせいですか? 寒さのせいとか…」
「ウーン、ちょっと違う。たぶん、バランスが崩れたんだよ」
「え? 別に鉛とか貼ってないですよ?」
「違うよ。グリップが汚れて、コンマ数㌘、重くなったのさ」
短く握ってみるか
グリップ洗浄で解決
奴さん、怪訝そうに、
「汚れって、手垢とか手の脂ですか? それでバランスが変わるなんて…」
「大体0.5~1㌘ぐらいは乗るかな。バランス計では微々たるモンだけど、それが“違和感”になるんだよ」
ヘッドに鉛を2㌘とか貼ると、確実に重くなったことが分かる。だから、無意識にしなりが変わるのを予測できるから、それなりのフィーリングで振れる。
ところが手元に、知らずに1㌘弱でも重さが乗ると、ワッグルぐらいでは感じないような違和感を、振るスウィングで感じる。微妙なずれだからこそ、余計に気持ち悪い、というわけなんだ。
「試しに、5㍉とか1㌢とか、短く持って振ってみな。元のしっかり感が出るから」
「短く持てば、なんでもしっかりに感じるんじゃないですか…アレ? 元のしなり感がするけど、なんか、だまされてる感じだなぁ」
「失礼なヤツだな、コイツめ(笑) だったら次はグリップを洗ってみな、そこの流し台で」
グリップはラバー、コード入りなんかは中性洗剤をスポンジに含ませて、ゴシゴシ洗って水で流す。そのまま乾かせばOK。シリコン系は、石鹸で手洗いしてもいい。水分や油分を内部に含まないから、表面だけ洗い流せばいいんだ。
「オヤジさん、なんでグリップの汚れでしなり感が割るって考えたんですか?」
「グリップ交換で、厚めの下巻きテープを使ったとき、乾かした1日目と2日目で振った感じが全く変わったんだ。下巻きに浸み込んだ溶剤の、揮発で重量が変わったんだな。で、試しにグリップエンドにガムテープを張ったりして、いろいろ比べたんだよ」
結果、数㌘も変えると、「違いがはっきり分かる分、それなりに振れて、コンマ数㌘ぐらいが一番“違和感”が出るって気づいたんだ。ヘタる、てのは違和感の産物。グリップを洗えば、大抵、元通りさ(笑)
月刊GDより(イラスト/コーチはじめ)