【ヘッドデータは嘘つかない】飛んで、やさしく、操れる! ピン「i525」アイアン
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はピンの『i525』アイアンを取り上げる。
ブレード形状ながら
飛距離が出て上がりやすい
マレージングC300フェースと中空構造で、ブレードのような見た目なのに、7Iで29度と少しストロングで飛距離も出る『i525 アイアン』を紹介する。フェースは素材以外にもアンダーカット・ソールの効果で、高弾道が打てるという。
今回はアイアンなので、いつもどおり7番のクラブやヘッドを計測していく。数値はすべて実測した値だ。試打・計測クラブのシャフトは軽量スチールのなかでも軽い部類に入る『NSプロ850GH neo』(フレックスS)だ。クラブ長さが37.0インチと標準的だが、クラブ重量は396.9gとやや軽く、スウィングウェートもC8.7と小さいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが262万g・㎠に抑えられている。この数値だと、ドライバーのヘッドスピードが39㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計といえるだろう。
Point1 クラブ重量が396.9gとやや軽い
Point2 スウィングウェートがC8.7と小さい
Point3 ヘッド重量が263.5gと軽い
ダウンブローのスウィングに合う
ピンが好きなマッスルバック風の中空ヘッドで、『i』系プロモデルの雰囲気が出ている。そして、『i59』よりもフェースが長く、少しやさしく打てそうなイメージがあり、FP値も大きい超ストレートネックが特徴だ。『i59』はプロモデルなので、それに比べるとひと回りフェースの高さが高いディープフェースで、アドレスでは実際のロフト角よりも大きめに見えて打ちやすそうに感じるはずだ。
実際に試打したところ、ヘッドは『i』系プロモデルのようなオーソドックスな形状だが、トップラインが丸めで球を包み込むイメージが出ている。プロモデルにしてはやさしい『i210』とほぼ同じのフェース長とソール幅だ。試打クラブのシャフトは軟らかめのフィーリングで、ヘッドスピードが38~40㎧くらいのゴルファーが合っている。そして、ロフト角は『G710』や『G425』に近い、ストロングロフト29度設計で、フェース面も『G710』と同様に非常に硬いので打感も硬い。インパクト音はパチーンと高いが、球はしっかり弾いてくれるイメージがある。フェース面のスイートスポット高さは24.1ミリと非常に高く、ソールのバウンス角も8.8度と大きいので、ターフをとるようなダウンブロースウィングだと、フェースの芯を食いやすく、かつソールの抜け感も良くなりそうだ。
ヘッドの重心距離は38.6ミリと標準的で、ネック軸周りの慣性モーメントも5841g・㎠とやや小さく、『i210』と似ているので、ヘッドの操作性は良く、インテンショナルに弾道を操作することも可能だ。プロモデルの雰囲気が好きで、打感は硬くても『i210』や『i59』よりも飛距離を求める人にはいいだろう。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
ピン
i525 アイアン
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2022年3月1日号より