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【ゴルフ初物語】Vol.65 ゴルフボールの「丸い窪み」はどう生まれた? 1971年には六角形のディンプルも

直径42.67mmのゴルフボールには300以上もの小さな丸い窪み、ディンプルが配されている。より遠くへ飛ばすため、ボールメーカーは素材や製法と同様に、ディンプルの研究にも余念がない。

航空宇宙工学から生まれた形

19世紀半ばに「ガッタパーチャ」と呼ばれる天然樹脂を使ったゴルフボールが登場すると、使い込まれて表面に傷がついたほうが、より飛んだことから始まったといわれるディンプルの歴史。当初はメッシュ模様や突起など、いろいろな形が作られたが、1908年に初のディンプルボールが誕生して以来、大きさや数は違えど、丸い窪みの時代が長らく続いた。そこに一石を投じたのが1971年に誕生したユニロイヤル社の「プラス6」。当時のボールの大多数はディンプル数336個だったが、このボールは252個と少なく、数以上に特異なのはディンプル形状で、なんと六角形だったのだ。

この六角形ディンプルの生みの親はノートルダム大学のジョン・ニコライデス博士。かつて米海軍のもとで衛星の打ち上げに携わり、その後、NASAで重職を担った航空宇宙工学の世界的権威で、コンピューターと風洞実験装置を駆使してゴルフボールの飛び方を徹底解明。実際にランチャーでボールを打ち出してテストを繰り返した結果、当時のどのゴルフボールよりも6.3ヤード飛んだことから「プラス6」と名付けられた。革新的なボールは、この年の9月からアトランタ、サンディエゴ、ヒューストン、タンパでテスト販売され、72年春から全米デビュー。日本には翌73年に輸入された。

それから約30年後の2002年。キャロウェイから六角形ディンプルを採用したゴルフボール「HX」が発売され、この年に米女子ツアーで11勝を挙げたアニカ・ソレンスタムが使用したことでも話題になる。キャロウェイ独自のこの六角形パターンは「ヘックス・エアロネットワーク パターン」と呼ばれ、進化を続けながら最新ボールにも採用されている。

2000年からゴルフボールに参入したキャロウェイは、2002年の「HX」から独自の六角形ディンプル「ヘックス・エアロネットワーク パターン」を採用している

週刊ゴルフダイジェスト2021年12月7日号より