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【ヘッドデータは嘘つかない】西村優菜の2週連続Vを支えたキャロウェイ「Xフォージド スター」アイアン

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はキャロウェイの『X フォージドスター』アイアンを取り上げる。

単一素材の軟鉄鍛造アイアン

契約プロで、前週にスイッチしたばかりの西村優菜が「住友生命Vitalityレディス東海クラシック」と「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で2週連続優勝して話題になったキャロウェイ『Xフォージド スター』アイアン。海外ブランドではプロモデルですら珍しくなった単一素材の軟鉄鍛造アイアンだが、7番で29度とセミストロングロフト化がされていて、アイアンに「打感」と「飛距離」の両方を求めるゴルファーがターゲットになっている。19年の前作モデルから低重心化し、ロフトは立ったが球の上がりやすさを向上させた。

7番アイアンのクラブやヘッドを計測していく。数値はすべて実測した値だ。クラブは日本シャフトの軽量スチール仕様だが、クラブ重量は418.0gとやや重い。しかし、クラブ長さは36・75インチとやや短く、かつスウィングウェートもD0.0とやや小さいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが267万g・㎠に抑えられている。この数値であれば、ドライバーのヘッドスピードが43㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振れる設計だ。

Point1 軟鉄鍛造アイアンなのにリアルロフト角が28.6度と小さい
Point2 クラブ全体慣性モーメントが267万g・㎠でHS43㎧くらいに対応
Point3 クラブ重量が418.0gとやや重い

シャープなヘッドで操作性が高い

では、ヘッドを見ていこう。全体にオーソドックスな形状で構えやすく、小ぶりなプロモデルヘッドとなっている。そして、『APEX DCB アイアン』に比べ、FP値が3.9㎜とストレートネックで、かつ薄いトップラインでスクエア感とシャープさが出ている。

試打クラブはNSプロ950GH neo(S)だったが、軽量シャフトながらも適度なしっかり感もあり、ダウンブロースウィングにも耐えてくれる。また、標準よりも1番手ずらしてシャフトが装着されていて、少し先側の軟らかさを出していることも特徴だろう。

軟鉄鍛造モデルながらもロフト角が29度というストロングロフト設計で、より飛距離を出そうとしていて、打感と飛距離の両立を試みている。米国モデルらしくソールのバウンス角が8.3度と大きく、ダウンブロースウィングでのソールの抜けはいい感じだ。

小ぶりなヘッドで重心距離が35.8㎜とやや短く、ヘッドのネック軸周り慣性モーメントも5023g・㎠と小さいのでヘッドの操作性が良く、インテンショナルに弾道を操りやすい。また、小ぶりなヘッドのため、ラフからのヘッドの抜けもいい。スイートスポットの位置がフェース中央よりもややヒール寄りなので、球を引きつけて打てるフェード系プレーヤーに合っているクラブだ。

軟鉄フェースなので球の弾き感は少なめだが、むしろ飛びすぎがなくなり、キャリーが安定しているので、スコアメイクには良さそうなアイアンだ。

左から5I(23度)、7I(29度)、9I(38度)。海外モデルらしく、ストレートネックでターゲットに対してスクエアに構えやすい。また、ストロングロフトだがトップラインは薄くプロモデル仕様

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

キャロウェイ

X フォージドスター アイアン

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月16日号より