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【ST200 ドライバー ミズノ】浅い重心深度で操作性が向上球を操れるドライバー

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新ギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップ。「ウソをつかない本当の顔」=「ヘッドデータ&クラブデータ」を読み解く。今回はミズノの「ST200ドライバー」だ!

ミズノの世界戦略
逆輸入ドライバー

2.5度のオープンフェースとフェーストウ側に丸みを持たせた逃げ顔でフェースが被って見えず、上級者が叩きにいける形状

 

Point1
フラットなライ角はつかまり過ぎないイメージが浮かぶ
Point2
フェースアングルが2.5度オープンで国産メーカーらしくない形状
Point3
ネック軸回り慣性モーメントが6950g㎠と操作性の高さがウリ

昨年の米PGAツアーでキース・ミッチェルが優勝し、注目されたミズノ「ST190」。欧米モデルとして発売していた「ST」シリーズを、世界戦略モデルとして満を持して日本に逆輸入されたのが3
代目となる「ST200」だ。最新モデルのポイントは大きくわけて2つ。

ひとつ目は、現在主流のチタン合金に比べ、約8%たわみやすく、約17%強度が強いβチタンをフェースに採用したこと。ふたつ目がカーボンクラウンの採用で、余剰重量を下部に再配分することができ、低重心化を実現したこと。

いままでのミズノとは
"顔"が違う

計測データをみていこう。クラブ重量は実測で300gと標準的だが、クラブ長さが実測で45.25インチとやや長く、スウィングウェートも実測でD2.6とやや大きいため、振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが290万g㎠とやや大きくなり、本来はヘッドスピードが45くらいのゴルファーがタイミング良く振れる設計だ。

低重心率が60%前後なら低重心、66%前後なら高重心といえる。標準的とはいえ、スピンがかかりにくいスペックで、HSが速いゴルファーに合っている

 

ヘッド形状に話をうつすと、全体的にオーソドックスな丸型だが、ミズノが謳う「世界戦略」の理由からか、いままでのミズノとは違う形状(フェースのトウ側の逃げ感、強いシャローバック)になっている。

また、日本モデルとしては珍しいアドレスでの強烈なオープンフェース設定も大きな特徴といえる。そして、重心深度が浅いことからも各メーカーが競っている最近流行の大慣性モーメントを狙った設計ではないことがわかる。

逆にヘッドのネック軸回りの慣性モーメントを大きくせず、むしろ操作性重視の設計であるといえるだろう。

重心深度が36.5ミリと浅く
レベルブローで振りやすい

実際に試打したところ、やはりいままでのミズノのドライバーでは記憶にないくらいの強烈なオープンフェースに目がいく。決してフェースがかぶらないスクェア感を大事にしていることがわかる。

そして、兄弟モデルの「ST200X」よりもフラットなライ角で球をつかまえ過ぎないフェード系弾道がイメージできる。さらにヘッドの後方が低いシャローバック形状ながらも、浅い重心深度によりインパクト付近をレベルにスウィングしやすい振り心地だった。

ミズノらしくないシャローバック形状だが、浅い重心位置のおかげでヘッド後方に垂れることなく、インパクト付近ではレベルに振れる

 

試打クラブは9.5度でツアーAD GM-200 D55のSシャフト仕様。シャフトはプロモデルにしては軟らかめの設定で、ヘッドスピードが42m/sくらいでも十分に扱えそうな印象を受けた。

浅い重心深度によりヘッドのネック軸回りの慣性モーメントがやや小さめに抑えられ、ヘッドの操作性が良いので球をつかまえやすく、インテンショナルにドロー、フェードを操作できるクラブといえる。

インパクト音はプロモデルにしては軽く高めだが、球をつかまえた時はやや低スピンの強い中弾道で飛んでいき、飛距離性能の高さを感じることができた。

逃げ顔で、操作性が良く
中弾道の強い球を打ちたいゴルファーに

試打クラブスペック/9.5度 + 標準 ツアーAD GM-200 D55・Sシャフト
ヘッド素材/本体:α-β系チタン合金(Ti811)精密鋳造、
フェース部:β系チタン合金(2041Ti)鍛造、
バック側ウェート部:アルミニウム合金(AL6061)、
クラウン部:カーボン
ロフト角/9.5度(±2度)
長さ/45.5㌅
シャフト/ツアーAD GM-200 D(S)
総重量/約301g
価格(税別)/6万5000円
メーカー公表値

解説:クラブ設計家 松尾好員

ST200ドライバー

 

週刊ゴルフダイジェスト2020年8月25日号より