【アイアン研究】第2弾「プラス2番手」を超える驚異の飛び! “激飛び系”11選
PHOTO/Hiroaki Arihara、Tomoya Nomura
THANKS/ゴルフ倶楽部成田ハイツリー、フライトスコープ ジャパン
前回紹介した「飛びキャビ」&「中空」アイアンも「プラス1番手」のアドバンテージを手にすることができたが、それをさらに上回る「プラス2番手」以上の飛距離を手に入れられるのが、今回紹介する「激飛び」アイアン。厳選11モデルを徹底試打!
データ分析&解説/松尾好員
小誌「ヘッドデータは嘘つかない」でお馴染みのクラブ設計家。数多くのクラブを計測・分析中。ジャイロスポーツ主宰
試打&解説/鈴木悠介
2016年プロテスト合格。試合に出場しながらインドアスタジオ「千葉銀座CC」でレッスンも行う。千葉学芸高校出身
【計測方法】
鈴木プロのドライバーHSは48m/sで7番アイアンの飛距離は170ヤード。ボールはタイトリスト「プロV1」を使用し、弾道計測器「フライトスコープ」で計測。試打データは5球打った平均値。SS(スイートスポット)の広さは、わざと芯を外して打って判断した
長い・軽い・振りやすい
だから飛ばせる!
7番でロフト角25〜26度と、かつての5番アイアンのような超ストロングロフトの「激飛び」アイアン。だが、単純にロフトが立っているだけではない。
「まず、クラブ重量が軽いことが挙げられます。たとえばキャロウェイの『EPIC MAX FAST』は実測で337.6gと女性用クラブ並みに軽い。純正カーボンシャフトはやや長めですが、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体慣性モーメントが非常に小さく抑えられ、ヘッドスピードが遅めのゴルファーでもタイミングよく振りやすい設計になっています」とクラブ設計家の松尾好員氏。
「実際に構えると超ストロングロフトで、5〜6番アイアンの感覚なのですが、確かに軽くて振りやすい。クラブでヘッドスピードが上がる感覚です。シャフトもかなり軟らかめの設定なのでドライバーのHSが30㎧半ばのゴルファーでも振れるでしょう。フェース面は硬く、インパクト音も高めですが、球の弾き感はいい。ネック軸周りの慣性モーメントがやや小さめなので操作性がよく、球をつかまえられます」
確かに“プラス2番手の飛距離”でこのジャンルを確立した「インプレスUD+2」も、元祖ぶっ飛びの「egg」も、どれもロフト角が立っているだけでなく、クラブが長くて軽い。さらに重心が深くミスに強いのも「激飛び」アイアンの特徴といえそうだ。
“激飛び系”には
2つのタイプがある
「スッキリ顔」5モデル
「激飛び」アイアンは、見た目は普通のアイアンなのに、打つとぶっ飛ぶタイプと、ヘッドが大きく、構えたときにUTのような安心感のあるタイプに分けられると鈴木プロ。「アイアンで飛ばしたいけど、ボテッとしたヘッドは好きではないという人には前者がオススメ。コントロールもしやすく、打感もそこまで硬くありません」(鈴木)
キャロウェイ「EPIC MAX FAST」
【ロフト角】26度
飛距離 | 196.4Y |
キャリー | 195.1Y |
初速 | 60.8m/s |
打ち出し角 | 16.1度 |
スピン量 | 5815rpm |
高さ | 36.2m |
長くて軽いからヘッドスピードが上がる
「長いけど、軽くて振りやすいのでヘッドスピードが上がり、初速も出ます。ロフトが立っているので打ち出しはそれほど高くないのに、スピンが入り高さが出る。7番アイアンの高さで5番の飛距離が楽に打てます。見た目もアイアンらしく、打感はソリッドですが弾きがよく、ボールもつかまります」(鈴木・以下同)
フォーティーン「ゲロンD IX-001」
【ロフト角】26度
飛距離 | 199.6Y |
キャリー | 198.3Y |
初速 | 61.6m/s |
打ち出し角 | 15.3度 |
スピン量 | 5769rpm |
高さ | 36m |
飛距離も方向性も出しやすい
「普通のアイアンっぽいコンパクトな顔。シャフトが長いけど、しっかり振り抜けてつかまりすぎない。“ドーン”と弾くようなタイプではないが、飛んで方向性も出しやすい」
タイトリスト「T400」
【ロフト角】26度
飛距離 | 190.5Y |
キャリー | 189.3Y |
初速 | 59.5m/s |
打ち出し角 | 16度 |
スピン量 | 6017rpm |
高さ | 34.8m |
中空構造でボールが楽に上げられる
「37インチと『激飛び』にしては短く振りやすい。振り切れるから飛距離も出るし方向性も安定。タングステン内蔵の中空構造のおかげか、スピンが入ってボールが楽に上げられる」
ミズノ「JPX 200X」
【ロフト角】26度
飛距離 | 196.4Y |
キャリー | 194.7Y |
初速 | 60.3m/s |
打ち出し角 | 13.5度 |
スピン量 | 5544rpm |
高さ | 30.6m |
激飛びの割に打感が硬すぎない
「すっきりした正統派の顔で構えやすい。打ち出しが低く、中弾道のライナー系の強い球で前へと飛んでいく。ミズノにしてはしっかりした打感だが、そこまで硬くもない」
ヨネックス「EZONE GT」
【ロフト角】26度
飛距離 | 197.3Y |
キャリー | 195.6Y |
初速 | 60.1m/s |
打ち出し角 | 15.7度 |
スピン量 | 5278rpm |
高さ | 34m |
厚すぎないブレードでシャープな顔つき
「幅広ソールだがトップブレードが厚すぎないので、シャープに見える。ソールがV字形になっているので、しっかり打ち込んでも抜けがよく、ボールを拾いやすく上がりやすい」
「安心顔」6モデル
ソール幅が厚く、構えたときにUTのような安心感のあるタイプは、7番アイアンながら200ヤード超の飛距離を連発。「アイアンと呼ぶには大きなヘッドは好みが分かれますが、とにかくやさしく飛ばせます。見た目を気にせず、アイアンでも楽に遠くへ飛ばしたいというゴルファーにはピッタリでしょう。プラス2番手どころか3〜4番手飛びます」(鈴木)
テーラーメイド「SIM2 MAX OS」
【ロフト角】25.5度
飛距離 | 207.6Y |
キャリー | 205.2Y |
初速 | 61.8m/s |
打ち出し角 | 16度 |
スピン量 | 4804rpm |
高さ | 35.6m |
大きなヘッドで球が伸びる
「深いキャビティの大型ヘッドで、UTのような顔つき。グースネックで球のつかまりがよく、ボールも上がる。低スピンの強い球で驚くような飛距離」
ダンロップ「ゼクシオ クロス」
【ロフト角】25度
飛距離 | 206.4Y |
キャリー | 204.7Y |
初速 | 62.3m/s |
打ち出し角 | 17.2度 |
スピン量 | 5060rpm |
高さ | 39.4m |
誰でも簡単に球を上げて飛ばせるクラブ
「ゼクシオの名を冠するだけあって、やさしく、つかまりもいい。払うイメージで打てば、勝手にボールが上がって、ハイドローで楽に飛ばせる」
ヤマハ「インプレスUD+2」
【ロフト角】25度
飛距離 | 201.7Y |
キャリー | 200.1Y |
初速 | 61.3m/s |
打ち出し角 | 15.8度 |
スピン量 | 5291rpm |
高さ | 35.7m |
長いけど振りやすい。楽に球が上げられる
「すっきりした正統派の顔で構えやすい。打ち出しが低く、中弾道のライナー系の強い球で前へと飛んでいく。ミズノにしてはしっかりした打感だが、そこまで硬くもない」
グローブライド「オノフ 赤 FF」
【ロフト角】25度
飛距離 | 196.3Y |
キャリー | 194.8Y |
初速 | 60.4m/s |
打ち出し角 | 14.2度 |
スピン量 | 5603rpm |
高さ | 32.1m |
直進性が高く真っすぐ飛ぶ
「幅広ソールでボールが上がりやすく、ミスにも強く直進性が高い。グースネックなのに左にも行きにくい。弾くような硬めのしっかりした打感」
プロギア「New egg」
【ロフト角】25度
飛距離 | 197.0Y |
キャリー | 195.7Y |
初速 | 61m/s |
打ち出し角 | 15.1度 |
スピン量 | 5826rpm |
高さ | 34.8m |
プロギア「New egg FORGED」
【ロフト角】26度
飛距離 | 202.4Y |
キャリー | 200.7Y |
初速 | 61.2m/s |
打ち出し角 | 18.5度 |
スピン量 | 4968rpm |
高さ | 40.3m |
スピンの入る「egg」、球が高い「egg FORGED」
「ソールが幅広の『egg』は構えたときに大きく見えて安心感がある。『egg FORGED』はブレードとソールが『egg』よりも狭いのに、出球が高くボールが上がる。打感もいい」
週刊ゴルフダイジェスト2021年8月24・31日合併号より