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【ヘッドデータは嘘つかない】中・上級者が好む顔と打感と操作性。プロギア「01」アイアン

多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はプロギアの『01』アイアンを取り上げる。

インテンショナルに球を操りやすい

軟鉄(S25C)と純チタンを2000トンの高圧で鍛造した、チタニウムコア構造の複合鍛造ヘッドがプロギア「01アイアン」。内部に低比重の純チタン、外部に高比重の軟鉄を配置し、チタニウムコアで得た余剰重量を生かし、低重心、大慣性モーメントを実現した。

いつもどおり、数値は7番アイアンの実測値を記載する。クラブ長さが36.625インチと短めだが、クラブ重量は425.6g(軽量スチール仕様)とやや重いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体慣性モーメントが270万g・㎠と大きくなっている。この数値は本来、ドライバーのヘッドスピードが45㎧くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計だ。

プロモデルらしくオーソドックスなヘッド形状で、適度なストレートネックということもありスクエアに構えやすくなっている。構えてみると7番ながらもトップラインは丸く、8番アイアン的なイメージが出ている。ヘッドのフェース長は短めで、インテンショナルに操作できそうなイメージが出ており、アドレスで見えるリーディングエッジも全体に丸く、球をつかまえすぎないイメージの「トウ側の逃がし感」が出ている。

Point1 クラブ長は36.625インチと最近計測したなかではもっとも短い
Point2 クラブ全体の慣性モーメントが270万g・㎤と大きい
Point3 リアルロフト角が30.6度とストロングロフトすぎない

適度にスピンが入り
飛距離が安定しやすい

試打クラブは日本シャフト製の軽量スチール(スペックスチールⅢ Ver2)のS(M-43)で、やや先側に軟らかさが感じられ、素直なしなり感がいい感じだ。ロフト角31度と、最近流行りの25度くらいの超ストロングロフトではないので球は上がりやすい。インパクト音は低めで、打感も上級者好みだろう。

ヒール寄り重心でヘッドの重心距離が36.1㎜とやや短く、ネック軸周りの慣性モーメントも5515g・㎠とやや小さいのでヘッドの操作性が良く、インテンショナルにドロー、フェードと弾道を操作しやすい。また、フェースの長さが短いのでラフからのヘッドの抜けも良い感じだ。ただし、ソールのバウンス角が1.7度と小さいので、ダウンブロースウィングでしっかりターフを取るよりも、あまりターフを取らないスウィングのほうが合うだろう。また、一般の7番よりもバックスピンの量が多めで、シニア向けの硬いフェースのアイアンと違い飛びすぎ感はなく、むしろ飛距離が安定してスコアメイクに役立ちそう。

フェース面のスイートスポット位置はヒール寄りで、ヘッドの左右慣性モーメントも小さいので、球がフェースのトウ寄りに当たりやすいアベレージゴルファーよりも、球をフェースのヒール寄りに引きつけて打てる、フェードを持ち球としているゴルファーに向いているだろう。

左から、5I(25度)、7I(31度)、9I(40度)。eggやRS、LSシリーズでは大慣性モーメントを標榜するプロギアだが、このモデルは操作性が高く、インテンショナルに球を操作できる

【クラブ&ヘッドデータ実測値】

プロギア

01 アイアン

松尾好員

まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰

週刊ゴルフダイジェスト2021年8月3日号より