PHOTO／Hiroyuki Okazawa、Hiroaki Arihara

小祝さくらや鈴木愛をはじめ、近頃、女子プロの間で「センターシャフト」のパターを使用する選手が増えている。果たしてセンターシャフトを使用するメリットとは?

解説／南秀樹

岡山絵里など多くのプロを抱える人気コーチ。香川で「3.7.3ゴルフアカデミー」主宰、アマチュアにもレッスンを行っている

1度使ったら病みつきに

センターシャフトは難しいというイメージを持っている人も多いが、女子ツアーでは今、空前のセンターシャフトブーム。その理由を南秀樹コーチに聞いた。

「センターシャフトの一番のメリットは、シャフトの延長線上に重心があるため、芯に当てやすく転がりがよくなることです。ただ、ちょっとでも芯から外れると出球がブレやすいというデメリットがあり、確実に芯で打てる自信がある選手以外はあまり使っていませんでした。しかし今ではヘッドが進化し、慣性モーメントが大きくなったことにより、ミスヒットにも強くなりました。それに、オフセットになっていないので、ターゲットに対して構えやすいというメリットもある。難しいという先入観を取り除けば、「いいとこだらけ」のパターになったわけです。だからこそ一度手にして打ってみると、『あれ? 難しくない。意外と簡単に打てるし、距離感も合うな』という感じで、みんなセンターシャフトを手放せなくなり、はやっているのだと思いますよ」

小祝さくらはセンターに替えてパット力がさらに向上

「スパイダーX」のショートスラントから「ストロークラボ セブンCS」へ変更した小祝。平均パット数は2019シーズンの1.808から2020-21シーズンは1.779に減少（データは6月10日時点）

女子ツアーでセンター派が増殖中

「センターシャフト」主な使用選手：東浩子、菊地絵理香、木戸愛、木村彩子、小祝さくら、西郷真央、菅沼菜々、鈴木愛、髙木優奈、田辺ひかり、畑岡奈紗、藤本麻子、山下美夢有など

センターシャフトは何がいいの?

＜センターのココがいい 1＞
ボールを芯でとらえやすい

シャフトの延長線上に芯（重心）があるので芯でヒットしやすい。芯で打てれば当然、転がりもよくなるため、距離感も合う。さらに手に打感が伝わりやすく感性を生かしたストロークができる

＜センターのココがいい 2＞
真っすぐなストロークがしやすい

シャフトがフェースの真ん中にあり、かつオフセットがないため、ヘッドを直線的に動かしやすい。ターゲットに対して打ち出すイメージが湧きやすく、方向性も安定しやすい

＜センターはココがいい 3＞
引っかけが出にくい

オフセットがあると、球のつかまりがいいぶん、左へ行くミスが出やすいともいえるが、センターシャフトはフェース面が前に出ているため、左に引っかけるミスが出にくい

加えて……
慣性モーメントの増大により
ミスヒットに強くなった!

センターシャフトは芯を外すとヘッドがブレやすいイメージが強く、難しいという固定観念があったが、近年ヘッドの慣性モーメントが大きくなったことで、ミスヒットでもフェース面がブレにくくなった

「トラス」はオフセットにすることで
センターシャフトでもつかまる!

月刊ゴルフダイジェスト2021年8月号より