「HS40m/sなら300gが基準」「FWが苦手な人は軽すぎの可能性も」クラブの“適正重量”を改めて考える
月刊ゴルフダイジェスト
軽くてやさしいクラブが増えている昨今アマチュアのクラブが「軽すぎる」傾向があると、多くの専門家が危惧する。クラブが軽すぎると何が問題なのか、そもそも適正重量とはどのくらいなのか、改めて“クラブの重量”について考える。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Takannori Miki ILLUST/Shinichi Hoshi THANKS/ゴルファーズラウンジ by tantanto

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- 軽くてやさしいクラブが増えている昨今アマチュアのクラブが「軽すぎる」傾向があると、多くの専門家が危惧する。クラブが軽すぎると何が問題なのか、そもそも適正重量とはどのくらいなのか、改めて“クラブの重量”について考える。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Takannori Miki ILLUST/Shinichi Hoshi THANKS/ゴルファーズラウンジ by tant……
振り切れる範囲で重い
ものが安定して飛ばせる
軽すぎるクラブはよくないとは言うが、筋力も体格も人それぞれ。自分に適正な重量はどうやって見つければいいのだろうか。
「本来、重量とかバランスといった“数字”は作り手が管理すればいいものなので、プレーヤーが過剰に気にしすぎるのもよくないんです。トッププロのなかには、自分のクラブ重量なんて知らない人も多かったですからね。でも彼らは持ってみて、振ってみればわかる。そうでない人は、まずはある程度“数字”で管理してほしいと思います。自分のクラブの重さ、量ったことがありますか? ご自宅にはきっとキッチンスケールがあると思います。まずはそれでドライバーと7番アイアン、できれば5Wの重さを量ってみてください」
まずは自分が総重量何グラムのクラブを使っているのかを知ること。バランスや長さなども関係するのでこれですべてがわかるわけではないが、知っておくことは、自分に合ったクラブを使うための第一歩だ。
そのうえで目安となる重量は、ヘッドスピード40前後の一般男性ならドライバーが300g。だいたい50g台のシャフトが装着されているスペックに相当する。これに対して5Wならドライバーよりも15~20g重いのが適正なので320g前後。7番アイアンはドライバープラス100~120gが目安なので400~420g程度。量ってみて、この基準値から大きく外れているクラブは要注意だ。
クラブの適正重量の目安

「これは個人差があるので絶対値ではありません。私は本当の適正重量は『振り切れる範囲でできるだけ重いもの』と考えていて、フィッティングの際には必ず球を打つ姿を見て判断します。自分で判断するのは難しいのですが、目安はフィニッシュ。軽すぎると手で振り回してバランスが崩れますし、重すぎるとクラブに振られてしまってやはりバランスが崩れる。“打つ”ことよりも“振り切る”ことを重視すると、適正重量にたどり着きやすいと思います」

“バランスのいいフィニッシュが取れる”が「振り切れる」目安
適正重量のクラブなら、フィニッシュでバランスよく立ててクラブがピタッと収まる。これをひとつの目安にしたい
また、日頃からクラブの重さに対するセンサーを磨くことも大事だと今井さん。ワッグルしてみてクラブの重さを感じられるようになると、重すぎ・軽すぎのクラブを選ぶエラーは減る。普段からいろんなクラブを持ってワッグルしてみて、重さを気にする習慣をつけよう。
重さを感じるのはワッグル。日頃からいろいろなクラブを持ってワッグルしてみて、自分の「重さセンサー」を磨くことも大事。スペックを見比べながらワッグルして比べてみよう

同じブランドでも
FWだけ軽い場合も
クラブの総重量を考える際に、とくに注意してほしいのがFWだと今井さん。他のクラブ以上に、市販のクラブが軽すぎる傾向が強いのがFWだというのだ。
「FWが苦手という人の中には、クラブが軽すぎるのが理由という人、かなり多いと思います。曲がるとかではなくちゃんと当たらないという人、コースでボールの頭を叩くミスが出る人はだいたい軽すぎです」(今井さん)
本来、5Wでドライバーよりも15~20gは重くしたいが、同じブランドでフルセットでそろえて買ってもFWだけがそこから外れて異様に軽いというケースは少なくないという。そうなると対策が難しくもあるが、必ずしもドライバーと同じブランドでそろえるのではなく、重さを見ながら他モデルを検討することも必要になってくる。
「FWが苦手という人はとくに、FWだけでもカスタムシャフトを選ぶことを考慮してほしいですね。ちゃんとマッチしたクラブを選べば苦手意識が一気に解消される可能性は大きいと思うので、ある意味では、一番お金をかける価値があるんじゃないでしょうか」
まずは前述のようにキッチンスケールで自分のクラブを量ってみよう。軽すぎたらまずは鉛を貼るだけでもOK。これだけで苦手を解消できる人も多いはずだ。

ドライバーが適正重量だと仮定して、3Wでドライバーよりも15g前後、5Wはそれよりもさらに5gくらい重いのが適正。一度重さを量ってみて、軽すぎないかチェック!
FWはもっとお金をかける価値ありです!
無造作に買うと重さが合っていない可能性が高いため、クラブのせいで苦手意識を持っている人も多いのがFW。カスタムシャフトを選ぶなど「お金をかけるならFW」と今井さんは言う


ちなみに、パターの重さは転がりに影響する
パターは近年どんどん重くなっているが、フルスウィングしないクラブなのでほかのクラブとは少し重量の考え方が異なる。一般的には重いパターのほうがボールがよく転がり「飛ぶ」傾向があるという
買い替える前に
まずは鉛で確認!
クラブが軽すぎる人が多い昨今、改めて有効なのが鉛によるチューニング。交換式のウェイトを備えたクラブも多いが、大概は別売りで1個の値段も意外にお高い。しかし鉛ならどんなクラブでも簡単に調整できて、1シート数百円とコストも超お手頃。切ったりはがしたりして微調整するのも簡単だ。クラブを量ってみて軽すぎた人は、買い替える前にまず鉛を貼って振り心地をチェックしてみよう。
「まずは重めに貼って、重すぎたら少しずつはがすのがポイント。基本的には5g単位で、それ以下の微調整はコースで使いながらの再調整でいいと思います。5g前後ならヘッド側。10g以上ならグリップ下にも振り分けて貼ってみてください。重さが同じでも貼る位置によって感じる重さが変わることもあるので、失敗を恐れずにとにかくいろいろ試してみましょう」
まずはヘッドの真ん中に4~5g貼ってみよう!


貼る位置も変えてみる
ソールの前後、ヒール寄り、トウ寄りなど、貼る位置を変えると同じ重さでも振り心地が変わる

グリップ側を重くするのも○
手元側を重くする場合は、グリップを重いものに替えるのも有効。グリップ重量も確認しよう

ウェイト位置も替えてみる
交換ウェイトの位置を入れ替えることでも振り心地が変わるので試してみよう
【購入時の注意】
試打するときは1発目が大事!
重さが適正かをチェックするうえでは試打も大事。ポイントは「1発目で当たったか」。3球以上打つと体が重さに慣れて合わせてしまうので、最初の1、2発を大事にしよう

月刊ゴルフダイジェスト2026年1月号より


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